2018年10月23日
3-2. 指標間一致性分析
指標間一致性分析は、指標同士もしくは指標項目同士の発表結果と前回結果の増減方向(それぞれの指標の実態差異判別式の解の符号)を単月毎に見比べて、その方向一致率を調べる分析です。
同じ国の同じ種類同士の経済指標は、中長期的な上昇基調/下降基調が一致しがちです。けれども、それら指標間の単月毎の改善/悪化は必ずしも一致しません。毎月の経済指標発表時の取引では、単月毎の改善/悪化が一致しないと、ポジション方向の参考にはなりません。
例えば、米国製造業景気指標のNY連銀製造業景気指数(以下「NY連銀指数」と略記)とPhil連銀製造業景気指数(以下「Phil連銀指数」と略記」とISM製造業景況指数(以下「ISM指数」と略記)とは、上昇基調/下降基調が一致していても不思議ではありません。
ところが実際は、これら3指標の増減方向はあまり一致率が高くありません。
※ 各指標の2015年1月集計分〜2018年5月集計分の実態差異判別式の解の符号の方向一致回数を調査
このことを知っていれば、先に発表されたNY連銀指数が改善したことを根拠に、Phil連銀指数発表時にロングをオーダーすることが無くなります。両指標の単月毎の改善/悪化は関係ありません。Phil連銀指数発表時に取引するには、別の根拠が必要だということがわかります。
一方、NY連銀指数とPhil連銀指数の改善/悪化が一致した集計月のISM指数は、過去70%がそれらと改善/悪化が同じになっていました。そして、ISM指数が前回より改善したとき直後11分足が陽線で、悪化したとき陰線で反応したことは、過去73%に達しています。こうした事例は、上表から発生頻度49%です。ざっくり年6回の取引機会に勝率73%なら4勝2敗以上となり、ISM指数の直後11分足値幅平均値13pipsから、年26pips以上の収益が期待できる訳です。
※ 2015年1月集計分〜2018年8月集計分の44回の調査結果に基づく
取引方針(分析視点)は、
ということになります。
そもそも景気指標というのは、購買担当者の部材手配状況の増減や、消費者の現在と将来の購買意欲を調べて、先々の実態指標の改善/悪化を予測するためのものです。調査は多岐に亘り、受注・売上(生産)・価格・納期・在庫・雇用等について、それぞれ現在(事実)と将来(予測)を調査しています。
一方、実態指標もまた、受注・売上(生産)・価格・納期・在庫・雇用等について、それぞれ現在(事実)だけでなく、売上(生産)は過去の受注・在庫が影響します。
つまり、景気指標と実態指標は、互いに重複した時期のある項目も含めて総合値が算出されています。
だからもし、景気指標の受注と実態指標の売上(生産)の項目同士を比べるなら、きっと景気指標には先行性があるのでしょう。
けれども、重複した時期もある総合値同士を比べるのでは、景気指標の実態指標に対する先行性は弱まって当然です。更に言えば、景気拡大局面との経営判断があるとき在庫回転月数が1・2か月あるなら、受注急増には短納期(当月)対応することで、値引きをせずに済まそうとするのが営業部門(の幹部)です。このとき、景気指標と実態指標の総合値は、ほぼ同期してしまいます。
このように総合値同士を比べる限り、必ずしも景気指標が実態指標に先行するとは言えません。
例えば、英国サービス業PMIの改善/悪化は、英国小売売上高指数との相関が期待されます。ところが、下図をご覧ください。
※ 両指標の2015年1月集計分〜2018年8月集計分の実態差異判別式の解の符号の方向一致回数を調査
横軸は「小売売上高指数がサービス業PMIよりも〇か月先行/遅行」と読みます。縦軸は、両指標の実態差異方向一致率です。
両指標の同月集計分は37%の方向一致率があり、前後に月ズレしたときに比べて一致率が低くなっています。けれども、両指標の実態差異方向一致率が高くなるなら説明がつくものの、低くなるのでは説明がつきません。景気が良いとき売上が悪く、景気が悪いとき売上が増えるという内容では、とても当月のFX取引の参考にできません。
どちらかと言えば、サービス業PMIは小売売上高指数よりも先行しているなら納得できます。けれども、小売売上高指数より1か月前のサービス業PMIは方向一致率52%で、1か月後のサービス業PMIは55%です。
つまり、両指標間には、先行性/同期性/遅行性の関係がないか、あっても取引に有益な情報が抽出できないということです。
取引方針(分析視点)は、
ということになります。
【3-2-1. 同期分析による勝率向上効果】
同じ国の同じ種類同士の経済指標は、中長期的な上昇基調/下降基調が一致しがちです。けれども、それら指標間の単月毎の改善/悪化は必ずしも一致しません。毎月の経済指標発表時の取引では、単月毎の改善/悪化が一致しないと、ポジション方向の参考にはなりません。
例えば、米国製造業景気指標のNY連銀製造業景気指数(以下「NY連銀指数」と略記)とPhil連銀製造業景気指数(以下「Phil連銀指数」と略記」とISM製造業景況指数(以下「ISM指数」と略記)とは、上昇基調/下降基調が一致していても不思議ではありません。
ところが実際は、これら3指標の増減方向はあまり一致率が高くありません。
※ 各指標の2015年1月集計分〜2018年5月集計分の実態差異判別式の解の符号の方向一致回数を調査
このことを知っていれば、先に発表されたNY連銀指数が改善したことを根拠に、Phil連銀指数発表時にロングをオーダーすることが無くなります。両指標の単月毎の改善/悪化は関係ありません。Phil連銀指数発表時に取引するには、別の根拠が必要だということがわかります。
一方、NY連銀指数とPhil連銀指数の改善/悪化が一致した集計月のISM指数は、過去70%がそれらと改善/悪化が同じになっていました。そして、ISM指数が前回より改善したとき直後11分足が陽線で、悪化したとき陰線で反応したことは、過去73%に達しています。こうした事例は、上表から発生頻度49%です。ざっくり年6回の取引機会に勝率73%なら4勝2敗以上となり、ISM指数の直後11分足値幅平均値13pipsから、年26pips以上の収益が期待できる訳です。
※ 2015年1月集計分〜2018年8月集計分の44回の調査結果に基づく
取引方針(分析視点)は、
- 実態差異と直後1分足や直後11分足の方向一致率が高い指標を狙うこと
- 先行指標は狙う指標と実態差異方向一致率が高いか同不一致率が高い指標同士を選ぶこと
- 狙う指標が「市場予想後追い型」ならば市場予想を超えて、指標間一致性分析の示す方向になる確率が一層高まること
ということになります。
【3-2-2:時差分析による先行性寄与度の判断効果】
そもそも景気指標というのは、購買担当者の部材手配状況の増減や、消費者の現在と将来の購買意欲を調べて、先々の実態指標の改善/悪化を予測するためのものです。調査は多岐に亘り、受注・売上(生産)・価格・納期・在庫・雇用等について、それぞれ現在(事実)と将来(予測)を調査しています。
一方、実態指標もまた、受注・売上(生産)・価格・納期・在庫・雇用等について、それぞれ現在(事実)だけでなく、売上(生産)は過去の受注・在庫が影響します。
つまり、景気指標と実態指標は、互いに重複した時期のある項目も含めて総合値が算出されています。
だからもし、景気指標の受注と実態指標の売上(生産)の項目同士を比べるなら、きっと景気指標には先行性があるのでしょう。
けれども、重複した時期もある総合値同士を比べるのでは、景気指標の実態指標に対する先行性は弱まって当然です。更に言えば、景気拡大局面との経営判断があるとき在庫回転月数が1・2か月あるなら、受注急増には短納期(当月)対応することで、値引きをせずに済まそうとするのが営業部門(の幹部)です。このとき、景気指標と実態指標の総合値は、ほぼ同期してしまいます。
このように総合値同士を比べる限り、必ずしも景気指標が実態指標に先行するとは言えません。
例えば、英国サービス業PMIの改善/悪化は、英国小売売上高指数との相関が期待されます。ところが、下図をご覧ください。
※ 両指標の2015年1月集計分〜2018年8月集計分の実態差異判別式の解の符号の方向一致回数を調査
横軸は「小売売上高指数がサービス業PMIよりも〇か月先行/遅行」と読みます。縦軸は、両指標の実態差異方向一致率です。
両指標の同月集計分は37%の方向一致率があり、前後に月ズレしたときに比べて一致率が低くなっています。けれども、両指標の実態差異方向一致率が高くなるなら説明がつくものの、低くなるのでは説明がつきません。景気が良いとき売上が悪く、景気が悪いとき売上が増えるという内容では、とても当月のFX取引の参考にできません。
どちらかと言えば、サービス業PMIは小売売上高指数よりも先行しているなら納得できます。けれども、小売売上高指数より1か月前のサービス業PMIは方向一致率52%で、1か月後のサービス業PMIは55%です。
つまり、両指標間には、先行性/同期性/遅行性の関係がないか、あっても取引に有益な情報が抽出できないということです。
取引方針(分析視点)は、
- 原理的に相関が高そうな指標同士であっても、多くの指標発表結果速報で我々が目にするのは総合値だけで、総合値同士では先行性/同期性/遅行性がない場合が多いこと(それを知らないと、指標発表前の解説記事・予想記事の間違った論拠に基づくポジションをオーダーしてしまいかねないこと)
- 先行性や遅行性がある指標同士は、同期性がある指標同士に比べて方向一致率が低いこと(時差がある間に、別の要因が両指標の相関を薄めてしまうため、と推察)
- よって、時差分析が寄与するのは、どちらかと言えばポジションを積極的に持つことよりも、分析結果と反対方向にポジションを持つことを思い止まること
ということになります。
以上
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