2018年10月09日
10月10日経済指標(結果検証済)
米最高裁判事に共和党が推す候補が議会承認されました。同判事の承認を巡る騒ぎで、民主党は支持率を下げていたことが報道されていました。議会戦術というのはそういうものかも知れませんが、どーせそーなるのに嫌がらせしてる、と世間に見られると、支持率が下がるものなのでしょう。
共和党への支持者は、米大統領が「それはないだろう」と思われていた選挙公約さえブレずに守ろうとしていることを挙げます。民主党への支持は、「それはないだろう」という理由と、要するに「あいつが嫌いだ」という理由に尽きるようです。TVではわかりやすい反応をした人の姿が放映されるので、それを見ているこちらも影響されます。日本で影響されても全然関係ないけど。
但し、支持率とは別に、米選挙結果の予想には寄付金額というバロメータがあります。こちらは民主党が昨年・一昨年の寄付金額を既に上回っており、共和党は苦戦が伝えられています。
中間選挙は11月6日で、あと1か月を切りました。
どうなるのでしょう。ちっとも関係ないけど。
さて明日10日は、
が発表されます。
17:30の取引は、今回見合わせることにします。事前分析の方針も適用外とします。
まず、貿易収支は過去に発表後の反応方向への影響がほぼないことがわかっています。ここは問題ありません。
月次GDPは、英国国家統計局が2018年7月から公表を開始したばかりの指標です。当該月最終日から約40日後に公表されます。
一方、従来の四半期速報値は当該期から約1.5か月後に公表されるようになりました(従来は約1か月後)。今後発表される速報値は支出面や所得面も踏まえて推計されます。これまでの速報値は生産面だけのデータで作成されていました。
このことは、鉱工業生産指数・製造業生産指数の位置づけが相対的に低下することを意味すると思われます。どのぐらい低下するのか(低下しないのか)は、まだ把握できていません。
月次GDPが発表され始めた7月以降先月まで、3回続けて鉱工業生産指数・製造業生産指数と同時発表されています。両指標が今後も同時発表されるのかどうかはわかりません。
両指標が同時発表された過去3回で、指標結果の影響力の強さを見比べておきましょう。
指標結果の良し悪しは事後差異判別式の解を用います。
鉱工業生産指数・製造業生産指数の事後差異判別式は、3✕鉱工業前月比の(発表結果ー市場予想)+2✕鉱工業前年比の(発表結果ー市場予想)+1✕製造業前月比の(発表結果ー市場予想)、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は過去79%となっています。つまり、この判別式は過去の実績からアテにできます。
一方、月次GDPの事後差異は前月比の、発表結果ー市場予想、を事後差異判別式の解とします。
下表Aは、鉱工業生産指数・製造業生産指数の事後差異判別式の解です。Bは月次GDPの事後差異判別式の解です。そして、Cは直後1分足の符号付き終値pipsです。
A B C
5月集計分 △5.4 0 △15
6月集計分 +0.9 △0.1 △ 5
7月集計分 △1.1 +0.1 △ 2
8月集計分 今回です
これでは残念ながら、どちらの指標の影響力が強いかをまだ判別できません。
よって、今回の取引は見合わせることにします。
発表のタイミングから言えば、1・4・7・10月に発表される月次GDPは、従来のGDP速報値に相当しそうな気がします。そうかどうかは、今回の発表結果と反応程度を見て検討するしかありませんね。
以下、10月10日12時過ぎに追記しています。
21:30は、米国PPIが発表されます。
本指標は発表直後もその後10分も最終的に指標結果の良し悪しに素直に反応しがちです。がしかし、反応は小さく影響持続時間が短い傾向があります。2017年以降は、直後11分足跳幅が20pipsに達したことが一度もありません。
変な話ですが、PPIの改善/悪化が大きいと、その後で発表されるCPIの発表前に盛り上がることが多い気がします。「変な話」というのは、本来、PPIはすぐ後でCPIが発表されても、同月集計分だから反映されないはずだから、です。「盛り上がる」とは、CPI発表前にPPIの改善が大きければUSD買、PPIの悪化が大きければUSD売になりがちなことです。盛り上がりは欧州時間序盤を終えた頃から始まります。
実際、CPI発表前の解説記事にもPPIの結果に触れたものが散見されます。けれども、事実は同月集計のPPIとCPIの改善/悪化が一致したことなんて過去53%しかありません。ほぼサイコロで丁半決めるのと同じです。
市場予想(前回結果)は、
・前月比が+0.2[%](△0.1[%])
・前年比が+2.8[%](+2.8[%])
・コア前月比が+0.2[%](△0.1[%])
・コア前年比が+2.5[%](+2.3[%])
で、事前差異判別式の解は△0.4です。
過去の反応程度(2018年発表分)は、
・直前10-1分足が3pips(3pips)
・直後1分足が8pips(3pips)
・直後11分足が11pips(6pips)
です。2018年に入ってからはほとんど反応しない指標となっています。
過去の傾向を踏まえた事前取引方針は次の通りです。
・直前10-1分足が10pips以上跳ねた場合は、直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切します。
・追撃は、指標発表直後に開始し短期で終えないといけません。2018年に入ってからは、たった3pipsを狙うことも難しくなっています。取引するなら欲張らないことが大事です。
・再追撃で抜けたら追うべき閾値は15pipsです。直後1分足跳幅が15pipsに達しないときは、上下動を利用して2・3pipsを狙うしかありません。
以下、10月10日23時頃に追記しています。
PPI結果は、PPI前年比が市場予想を下回った以外に、他の項目は市場予想通りでした。前回の対比では、PPI前年比が低下した以外は、前回を上回りました。コア指数は、前月比・前年比ともに前回を上回っていました。
事後差異は△0.6、実態差異は+0.5です。
指標発表後の反応はほぼなく、小さな上下動を続けていましたが、22:15過ぎぐらいから大きく下げ始めました。この下げは本指標とは関係ありません。チャートを見比べると、ダウが下げて、EURとGBPが買われているようです。
ダウの下げはわかりませんが、EURとGBPは週明けにも離脱条件の合意が近いとの報道が行われているからです。がしかし、そういった記事の内容は「今後数日の集中的な協議で週明けに国境問題で暫定的な合意が成立する可能性がある」ものの「多くの未解決の問題がまだ残っている」というものです。
一体どっちなんだという感じです。
ともあれ、本指標とは関係ない動きです。
事前詳細分析に基づく取引方針は、再追撃を「上下動を利用した2・3pips狙い」というのが判定に迷います。「判定不可」としておきます。
取引結果は下表の通りでした。
事前方針を示しての過去からの本指標取引での成績を下表に纏めておきます。
下表Aは、鉱工業生産指数・製造業生産指数の事後差異判別式の解です。Bは月次GDPの事後差異判別式の解です。そして、Cは直後1分足の符号付き終値pipsです。
A B C
5月集計分 △5.4 0 △15
6月集計分 +0.9 △0.1 △ 5
7月集計分 △1.1 +0.1 △ 2
8月集計分 +0.6 △0.1 0
データ数が揃わないと、やっぱりわからいようですね。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
共和党への支持者は、米大統領が「それはないだろう」と思われていた選挙公約さえブレずに守ろうとしていることを挙げます。民主党への支持は、「それはないだろう」という理由と、要するに「あいつが嫌いだ」という理由に尽きるようです。TVではわかりやすい反応をした人の姿が放映されるので、それを見ているこちらも影響されます。日本で影響されても全然関係ないけど。
但し、支持率とは別に、米選挙結果の予想には寄付金額というバロメータがあります。こちらは民主党が昨年・一昨年の寄付金額を既に上回っており、共和党は苦戦が伝えられています。
中間選挙は11月6日で、あと1か月を切りました。
どうなるのでしょう。ちっとも関係ないけど。
ーーー$€¥£A$ーーー
さて明日10日は、
- 17:30 8月集計分英国月次GDP・8月集計分英国鉱工業生産指数・製造業生産指数・8月集計分英国貿易収支
- 21:30 9月集計分米国PPI
が発表されます。
ーーー$€¥£A$ーーー
17:30の取引は、今回見合わせることにします。事前分析の方針も適用外とします。
まず、貿易収支は過去に発表後の反応方向への影響がほぼないことがわかっています。ここは問題ありません。
月次GDPは、英国国家統計局が2018年7月から公表を開始したばかりの指標です。当該月最終日から約40日後に公表されます。
一方、従来の四半期速報値は当該期から約1.5か月後に公表されるようになりました(従来は約1か月後)。今後発表される速報値は支出面や所得面も踏まえて推計されます。これまでの速報値は生産面だけのデータで作成されていました。
このことは、鉱工業生産指数・製造業生産指数の位置づけが相対的に低下することを意味すると思われます。どのぐらい低下するのか(低下しないのか)は、まだ把握できていません。
月次GDPが発表され始めた7月以降先月まで、3回続けて鉱工業生産指数・製造業生産指数と同時発表されています。両指標が今後も同時発表されるのかどうかはわかりません。
両指標が同時発表された過去3回で、指標結果の影響力の強さを見比べておきましょう。
指標結果の良し悪しは事後差異判別式の解を用います。
鉱工業生産指数・製造業生産指数の事後差異判別式は、3✕鉱工業前月比の(発表結果ー市場予想)+2✕鉱工業前年比の(発表結果ー市場予想)+1✕製造業前月比の(発表結果ー市場予想)、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は過去79%となっています。つまり、この判別式は過去の実績からアテにできます。
一方、月次GDPの事後差異は前月比の、発表結果ー市場予想、を事後差異判別式の解とします。
下表Aは、鉱工業生産指数・製造業生産指数の事後差異判別式の解です。Bは月次GDPの事後差異判別式の解です。そして、Cは直後1分足の符号付き終値pipsです。
A B C
5月集計分 △5.4 0 △15
6月集計分 +0.9 △0.1 △ 5
7月集計分 △1.1 +0.1 △ 2
8月集計分 今回です
これでは残念ながら、どちらの指標の影響力が強いかをまだ判別できません。
よって、今回の取引は見合わせることにします。
発表のタイミングから言えば、1・4・7・10月に発表される月次GDPは、従来のGDP速報値に相当しそうな気がします。そうかどうかは、今回の発表結果と反応程度を見て検討するしかありませんね。
ーーー$€¥£A$ーーー
以下、10月10日12時過ぎに追記しています。
21:30は、米国PPIが発表されます。
本指標は発表直後もその後10分も最終的に指標結果の良し悪しに素直に反応しがちです。がしかし、反応は小さく影響持続時間が短い傾向があります。2017年以降は、直後11分足跳幅が20pipsに達したことが一度もありません。
変な話ですが、PPIの改善/悪化が大きいと、その後で発表されるCPIの発表前に盛り上がることが多い気がします。「変な話」というのは、本来、PPIはすぐ後でCPIが発表されても、同月集計分だから反映されないはずだから、です。「盛り上がる」とは、CPI発表前にPPIの改善が大きければUSD買、PPIの悪化が大きければUSD売になりがちなことです。盛り上がりは欧州時間序盤を終えた頃から始まります。
実際、CPI発表前の解説記事にもPPIの結果に触れたものが散見されます。けれども、事実は同月集計のPPIとCPIの改善/悪化が一致したことなんて過去53%しかありません。ほぼサイコロで丁半決めるのと同じです。
市場予想(前回結果)は、
・前月比が+0.2[%](△0.1[%])
・前年比が+2.8[%](+2.8[%])
・コア前月比が+0.2[%](△0.1[%])
・コア前年比が+2.5[%](+2.3[%])
で、事前差異判別式の解は△0.4です。
過去の反応程度(2018年発表分)は、
・直前10-1分足が3pips(3pips)
・直後1分足が8pips(3pips)
・直後11分足が11pips(6pips)
です。2018年に入ってからはほとんど反応しない指標となっています。
過去の傾向を踏まえた事前取引方針は次の通りです。
・直前10-1分足が10pips以上跳ねた場合は、直後1分足の反応方向を示唆している可能性があります。指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切します。
・追撃は、指標発表直後に開始し短期で終えないといけません。2018年に入ってからは、たった3pipsを狙うことも難しくなっています。取引するなら欲張らないことが大事です。
・再追撃で抜けたら追うべき閾値は15pipsです。直後1分足跳幅が15pipsに達しないときは、上下動を利用して2・3pipsを狙うしかありません。
以上
以下、10月10日23時頃に追記しています。
【事後検証】
PPI結果は、PPI前年比が市場予想を下回った以外に、他の項目は市場予想通りでした。前回の対比では、PPI前年比が低下した以外は、前回を上回りました。コア指数は、前月比・前年比ともに前回を上回っていました。
事後差異は△0.6、実態差異は+0.5です。
指標発表後の反応はほぼなく、小さな上下動を続けていましたが、22:15過ぎぐらいから大きく下げ始めました。この下げは本指標とは関係ありません。チャートを見比べると、ダウが下げて、EURとGBPが買われているようです。
ダウの下げはわかりませんが、EURとGBPは週明けにも離脱条件の合意が近いとの報道が行われているからです。がしかし、そういった記事の内容は「今後数日の集中的な協議で週明けに国境問題で暫定的な合意が成立する可能性がある」ものの「多くの未解決の問題がまだ残っている」というものです。
一体どっちなんだという感じです。
ともあれ、本指標とは関係ない動きです。
事前詳細分析に基づく取引方針は、再追撃を「上下動を利用した2・3pips狙い」というのが判定に迷います。「判定不可」としておきます。
取引結果は下表の通りでした。
事前方針を示しての過去からの本指標取引での成績を下表に纏めておきます。
ーーー$€¥£A$ーーー
下表Aは、鉱工業生産指数・製造業生産指数の事後差異判別式の解です。Bは月次GDPの事後差異判別式の解です。そして、Cは直後1分足の符号付き終値pipsです。
A B C
5月集計分 △5.4 0 △15
6月集計分 +0.9 △0.1 △ 5
7月集計分 △1.1 +0.1 △ 2
8月集計分 +0.6 △0.1 0
データ数が揃わないと、やっぱりわからいようですね。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
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