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2015年02月02日

バカタレ社員とセクシー社長2【人生を変える他人と働き続ける為の一つの技術F誇大タイトル 笑 番外編後編】





秋、日に日に寒さが強まる小雨降るある日。

二ヶ月前から始めた店舗移転作業の完了の日。終了。

それは僕が生まれて初めて正社員で働いた職場を退社する日。終了。


おはようございます、アントニオ・アウディです。

見てない人は昨日の前編からご覧くださいませ。


二ヶ月前からこの日の為、社長含め全員で休みなしに店舗移転業務。

でも誰も休みなしなんて事にマイナス感情持たない大人の文化祭準備みたいな

楽しい時間は続きました。

もちろんこの二ヶ月間も当たり前に社長から僕への

「バカタレー、バカタレー」怒鳴り声は毎日鳴り響き続いたまま。

それも今日で終わり。そして僕もここでの仕事は終わり。

朝から始めた店舗内レイアウト作業も三時くらいに、ほぼ目処がつき、休憩。


{あー、オレにはあとちょっとでこの場所からのこの景色は違うものに変わってしまう・・・。}


社長に呼ばれます。行くとそこには見知らぬコジャレタ40代の二人。??

「おぅ、バカタレ。こちらのお二人、店舗ディスプレイ業者の方。

二階の大通りに面した側、ガラス張りの奥行き2mの小部屋あんだろ?

あれ今からディスプレイウインドーにするから。

業者さんが大通りからトランシーバーで指示するから、オマエ部屋ん中で家具動かしたりの作業しろや」

「アイアイアサー」元々好きなタイプな業務だったので持ち場へ。

外ではディスプレイ業者さんが傘指してトランシーバー持って、指示。僕は作業。指示。作業。指示。作業。

・・・指示・作業・指示・作業。指示。作業。指示。作業・・・・。



二時間ほど経った頃、ディスプレイ屋2人のみの外の会話がトランシーバーからこちらへ漏れ・・・・

「あーもう決まんない。なんか飽きた。寒いし。帰ろう?」

「チャチャとやっつけちゃお、面倒くさい。腹減ったし。」

と、うちの社長をなめきった発言が。


その会話は聞こえてないフリをして

「すいませーん、お二人とも寒くないっすか〜?中で休憩して下さーい。

で、お願いあるんすけどー、ちょっと僕やりたいレイアウト思いついちゃって〜、

お二人休憩中に完成させちゃうんで、やってみていいですか〜。後でダメ出しくださーい」


さっきからずーとずーとずーと思ってました。

{オレだったらこーすんのに。えーこうした方がよくね??こいつら本当にプロのディスプレイ屋??}

さてと・・・。


出番です!!ショータイムです!!!


20分で、家具位置、家具同士の距離感、ライティング。すべて自分の理想通りに。

外に出て大通りから確認。・・あれ??良いんじゃない???

すぐにディスプレイ屋を呼んで確認。

「あれ??いーじゃん!!コレでいこう!」

「うん、確かに良いね、完成!」

「あざーす!!」{おめえら、何しに来たんだよ}



完成した余韻にいい気になってふっと我に返ると・・・。

もうこれでここでの仕事がすべて終わった事を思い知らされます。


終わったんだ・・・終わってしまったんだ。


今までの事が、頭をグルグル。


・・・うん、楽しかった。

ここでの日々がなければオレは今頃何してたのかな。

面接まだ続けていたのかな、あきらめて死んじゃってたかもな・・・。

ここでなければこの先どうなっていたのかな。

ここで自分は正社員でもやっていける自信つけさせてもらえた。

でも社長みたいな人には、もう会えないんだろうな・・・。

社長の下だから、怒鳴られながらも、ただガムシャラに背中追いかけられたのかな。


{そうだ、社長にこのディスプレイ確認してもらわないと。結果素人がつくっちゃったんだから。}


「社長。ディスプレイ業者さんに無理言って僕、ディスプレイさせてもらいました。

完成したんですけど大通りから、確認お願いします。」

「あ?こんな時間かかってオマエの見んの?まぁいいよ。

おい、待て。風邪引くから傘入れ。



どれ?」


最後の仕事。相合傘で確認です。

大通りは帰宅ラッシュの時間で渋滞して騒がしい。

その車のヘッドライトと小雨で妙に場面がキラキラしてたのを覚えています。

この人に会えてよかった。

この人に会わなかったら・・・多分ダメになっていた。

僕はほこりっぽいルームで作業していたので、腕まくりでほこりだらけのワイシャツ一枚。

社長は面接で初めて出会った時と同じ、あの日の黒のロングコート。

僕を見ることなく、ウインドーを眺めながら

「・・・おい」

「はい??」

「あのよぉ・・・」

社長は僕の頭を、軽くたたき、クシャクシャと雑に撫で言いました。







「おれが今まで見た中で一番だ、バカッタレ・・・・・ありがとな。」




僕は泣きました。


雨の中、渋滞の中、人目を気にする事ができずに号泣しました。


声を出して泣きました。


膝から崩れて泣きました。


僕は不器用で、人より悔しい思いをたくさんしてしまったのかもしれない。

死にたくなるほどに。

ただ、この一瞬の本当の心の底からの幸せはそんな僕だからこそ味わえたんだと思えます。

もうこの思い出だけでも生まれてきて良かったと思えるものでした。


「今でも社長に教えてもらったたくさんの事はすべて忘れず」

身についたまま他人と働き続けられる社会人でいられています。

たくさんもらった「バカタレ」の数だけ。



































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