2015年11月03日
つるバラの剪定理論2
つるバラの剪定 & 整枝について
残念なことに日本のつるバラの誘引技術はつるバラの魔術師が他界して、また混沌とした時代を迎えてきていると感じます。
有名なツルバラを得意とするバラ専門小売業者や生産業者…カタログやウェブサイトなどにあるつるバラの剪定方法などの掲載を見ているとどうしちゃったの?と思うほど書かれている技術や情報に疑問を抱くことが多くあります。
つるバラをどのように使ってもそれは個人の自由かもしれませんが場所に相応しくない品種選びは勿論、整枝を含め剪定を必要とするつるバラの使い方は如何なものかと思います。
先達の残してくれた数え切れないツルバラの使い方や管理技術も現在のガーデナーの都合で勝手な解釈をされていることが多いです。
枯れてしまった枝で取り除くのは別として
そもそもつるバラに剪定は必要ないと思います。
枯れてしまう(枯れ込んでくる)のを見越して剪定しましょうと教えているのを見かけます。
その発想かなりネガティブですよね、枯れてしまう枝だと分かっているならその枝を誘引し直して枝を枯らさないように花が咲くようにしたいですよね。
つるバラは木立生のバラとは大きく違い剪定すると失った枝を再生するのでなく株全体の枝の配置・バランスにより剪定した以上の枝の成長を見せることもあれば全く思ったような勢いのない芽が伸びることもあります。
咲かせたい位置・高さからの逆算による枝の切除・剪定は、木立性の剪定技術を無理に当てはめようとするもので実際には上手く行きません。
こんな事は先輩達に耳が痛くなるほど聞かされていたではありませんか。
そのため一般的につるバラは勢いのある枝・シュートを水平に近い状態に倒し、あるいは湾曲させ頂芽優勢を崩し多くの芽から花枝を伸ばさせます。
・・・いわゆる枝に負荷をかけるということです。
これにより花枝が伸び過ぎず誘引した枝の近くに花を咲かせ易くなります。
自然状態で放置した枝の伸び方を人為的な場所で再現させているわけです。
(枝の伸び方や湾曲の仕方を場所に合わせて曲げるのではなく、場所にあった枝の伸び方をする品種を選ぶということです)
例えば
この手法の場合枝の先端からは花芽が上がりにくいため枝の先を切除するという整枝・剪定方法がありますが、間違いだと思います。
自然状態で枝先からそんな風に花の枝が出るのでしょうか?
枝先には花の付かない枝葉が出ます。
花の時期だけがつるバラの役割では無いはずです。
庭での役割、建物やアーチなどの構造物との役割など『枝葉』が重要な役割を示すことが本質的です。
ですから花が咲かないからこの枝は不要という考えは浅はかなのです。
まず太く長いシュートを湾曲させて誘引させると弓なりになった枝の高い位置から新しく強いサイドシュートが出てきます。
サイドシュートが出てきた元の枝の枝先のほうはいずれ退化して枯れてくるので切って構わないという剪定理論が見受けられます。これは浅はかな手法です。
次の年の誘引する時にサイドシュートの太い枝は湾曲させ負荷をかけますが退化してくるはずの枝を上に起こす(イメージとしては枝の高さによる優位性を入れ替える)と古い枝にもサイドシュートにも花が付きやすくなります。
ランブラーやつるバラの中には2年め以降には花を付けにくい枝があります。
これまた切ってしまいましょうという理論があります。
切るということはその枝に数輪でも咲く筈だった花は咲かないのです。
花を付けにくいと分かっていればどこに誘引すれば効果的に演出できるかくらい分かりますよね?何故切ってしまうのですか?と思います。
やがて役目を終えて枯れる枝は必ずあります。そういう枝にも花を咲かせてあげたいと思うのが植物を育てる心情です。春のバラが咲いたあと新しい枝に役目を託して枯れていった枝にありがとうと感謝しながら枝を挟むようにしたいものです。
つるバラの誘引では古い枝を工夫して花を咲かせることが技術力の差になります。
新しい枝を湾曲して花を咲かせることは経験が無くとも簡単なことです。
味わい深い枝は花を待つ時期にも人を魅了させる役割もあり…やがてそういった枝に花が咲いた時は誰もが見惚れてしまう風景を創り出します。
年老いて味のある枝に花を咲かせられるかは経験を必要とする技術です。
つるバラは新しく枝が増えてくれば増えた分だけ花数を増やすことが可能な植物です。
誘引により全ての枝に太陽の光が当たるようにする、そして豊富な経験と優れた園芸技術があれば難しいことではありません。
その潜在能力を引き出すのが人間の仕事だと思います。
全てにおいて自然状態でというのなら放置していれば良いかもしれません。
人為的に園芸技術を使う中では、いかに人間が謙虚で無理のない楽しみ方を植物に求めていく、という姿勢でありたいものです。
剪定もしくは整枝で、つるバラの枝を切るときは、本当に切る必要があるかをよくよく考えて欲しいと思います。
そういうときは『どうすれば』切ろうとする枝にも他の枝にも、枝を切らずに工夫して花を咲かすことが出来るかを考えましょう。
創意工夫はこういう場面で磨かれ自身の技術テクニックになっていきます。
剪定によって開花位置をコントロールするのが高度なテクニックみたいに言う理論もありますがこれも素人騙しの目先のテクでしかありません。
誘引によって開花する姿を作り出すことが人間の想像力をもっともっと膨らませてくれます。そういったテクニックこそ魅力です。
思わぬ枝の動きで偶然に得られる風景もあります。つるバラの枝を切ってしまえば不自然な枝の伸び方は避けられません。
思わぬ枝の動きも枝さえ切らなければ自然に近い芽の動き方をしますのでバラが自然とバランスをとってくれます。
構造物に植物が這い上がって花を咲かせるのが自然との共演の様で素敵と感じるのであれば植物に剪定を加えて無骨な姿を見せるのはナンセンスです。
まあ、絶対に枝を切るなとは言いません。少し手を加えるのも良いかな〜とは思いますが手を加える剪定が前提なのはいかがなものかと思います。
つるバラの枝を切ったらあなたの負けです。
追記
余談ですが、実際につるバラの誘引作業のお仕事を受けると残念なことに既にその場所には相応しくない品種が植えられていることが多々有り「負け」の作業になることが殆どです。
流石に今ある株を処分するというのはエゴになり謙虚さの微塵もありませんので地植えの場合は鉢にあげることや誘引スペースの拡大などを提案することが多いです。
枝が多くなれば誘引する時間がお客様の御予算を圧迫していきますから時間をかけることも難しい…ということになれば誘引時間をかけられない範囲の枝は切ることにもなります。
手間に時間をかけることがつるバラの誘引、ならびにつるバラの手入れの本質です。
小枝や枝先も1本1本細かに誘引することで最高な風景を作り出すことが出来ます。
適材適所のバラ・素材を使っていただきたいと、せつに願います。
もしつるバラの植え付けから専門業者にお願いしたのに冬の誘引で結構な量の枝を切っている場合は専門業者の何かが間違っていると感じて欲しいと思います。
残念なことに日本のつるバラの誘引技術はつるバラの魔術師が他界して、また混沌とした時代を迎えてきていると感じます。
有名なツルバラを得意とするバラ専門小売業者や生産業者…カタログやウェブサイトなどにあるつるバラの剪定方法などの掲載を見ているとどうしちゃったの?と思うほど書かれている技術や情報に疑問を抱くことが多くあります。
つるバラをどのように使ってもそれは個人の自由かもしれませんが場所に相応しくない品種選びは勿論、整枝を含め剪定を必要とするつるバラの使い方は如何なものかと思います。
先達の残してくれた数え切れないツルバラの使い方や管理技術も現在のガーデナーの都合で勝手な解釈をされていることが多いです。
枯れてしまった枝で取り除くのは別として
そもそもつるバラに剪定は必要ないと思います。
枯れてしまう(枯れ込んでくる)のを見越して剪定しましょうと教えているのを見かけます。
その発想かなりネガティブですよね、枯れてしまう枝だと分かっているならその枝を誘引し直して枝を枯らさないように花が咲くようにしたいですよね。
つるバラは木立生のバラとは大きく違い剪定すると失った枝を再生するのでなく株全体の枝の配置・バランスにより剪定した以上の枝の成長を見せることもあれば全く思ったような勢いのない芽が伸びることもあります。
咲かせたい位置・高さからの逆算による枝の切除・剪定は、木立性の剪定技術を無理に当てはめようとするもので実際には上手く行きません。
こんな事は先輩達に耳が痛くなるほど聞かされていたではありませんか。
そのため一般的につるバラは勢いのある枝・シュートを水平に近い状態に倒し、あるいは湾曲させ頂芽優勢を崩し多くの芽から花枝を伸ばさせます。
・・・いわゆる枝に負荷をかけるということです。
これにより花枝が伸び過ぎず誘引した枝の近くに花を咲かせ易くなります。
自然状態で放置した枝の伸び方を人為的な場所で再現させているわけです。
(枝の伸び方や湾曲の仕方を場所に合わせて曲げるのではなく、場所にあった枝の伸び方をする品種を選ぶということです)
例えば
この手法の場合枝の先端からは花芽が上がりにくいため枝の先を切除するという整枝・剪定方法がありますが、間違いだと思います。
自然状態で枝先からそんな風に花の枝が出るのでしょうか?
枝先には花の付かない枝葉が出ます。
花の時期だけがつるバラの役割では無いはずです。
庭での役割、建物やアーチなどの構造物との役割など『枝葉』が重要な役割を示すことが本質的です。
ですから花が咲かないからこの枝は不要という考えは浅はかなのです。
まず太く長いシュートを湾曲させて誘引させると弓なりになった枝の高い位置から新しく強いサイドシュートが出てきます。
サイドシュートが出てきた元の枝の枝先のほうはいずれ退化して枯れてくるので切って構わないという剪定理論が見受けられます。これは浅はかな手法です。
次の年の誘引する時にサイドシュートの太い枝は湾曲させ負荷をかけますが退化してくるはずの枝を上に起こす(イメージとしては枝の高さによる優位性を入れ替える)と古い枝にもサイドシュートにも花が付きやすくなります。
ランブラーやつるバラの中には2年め以降には花を付けにくい枝があります。
これまた切ってしまいましょうという理論があります。
切るということはその枝に数輪でも咲く筈だった花は咲かないのです。
花を付けにくいと分かっていればどこに誘引すれば効果的に演出できるかくらい分かりますよね?何故切ってしまうのですか?と思います。
やがて役目を終えて枯れる枝は必ずあります。そういう枝にも花を咲かせてあげたいと思うのが植物を育てる心情です。春のバラが咲いたあと新しい枝に役目を託して枯れていった枝にありがとうと感謝しながら枝を挟むようにしたいものです。
つるバラの誘引では古い枝を工夫して花を咲かせることが技術力の差になります。
新しい枝を湾曲して花を咲かせることは経験が無くとも簡単なことです。
味わい深い枝は花を待つ時期にも人を魅了させる役割もあり…やがてそういった枝に花が咲いた時は誰もが見惚れてしまう風景を創り出します。
年老いて味のある枝に花を咲かせられるかは経験を必要とする技術です。
つるバラは新しく枝が増えてくれば増えた分だけ花数を増やすことが可能な植物です。
誘引により全ての枝に太陽の光が当たるようにする、そして豊富な経験と優れた園芸技術があれば難しいことではありません。
その潜在能力を引き出すのが人間の仕事だと思います。
全てにおいて自然状態でというのなら放置していれば良いかもしれません。
人為的に園芸技術を使う中では、いかに人間が謙虚で無理のない楽しみ方を植物に求めていく、という姿勢でありたいものです。
剪定もしくは整枝で、つるバラの枝を切るときは、本当に切る必要があるかをよくよく考えて欲しいと思います。
そういうときは『どうすれば』切ろうとする枝にも他の枝にも、枝を切らずに工夫して花を咲かすことが出来るかを考えましょう。
創意工夫はこういう場面で磨かれ自身の技術テクニックになっていきます。
剪定によって開花位置をコントロールするのが高度なテクニックみたいに言う理論もありますがこれも素人騙しの目先のテクでしかありません。
誘引によって開花する姿を作り出すことが人間の想像力をもっともっと膨らませてくれます。そういったテクニックこそ魅力です。
思わぬ枝の動きで偶然に得られる風景もあります。つるバラの枝を切ってしまえば不自然な枝の伸び方は避けられません。
思わぬ枝の動きも枝さえ切らなければ自然に近い芽の動き方をしますのでバラが自然とバランスをとってくれます。
構造物に植物が這い上がって花を咲かせるのが自然との共演の様で素敵と感じるのであれば植物に剪定を加えて無骨な姿を見せるのはナンセンスです。
まあ、絶対に枝を切るなとは言いません。少し手を加えるのも良いかな〜とは思いますが手を加える剪定が前提なのはいかがなものかと思います。
つるバラの枝を切ったらあなたの負けです。
追記
余談ですが、実際につるバラの誘引作業のお仕事を受けると残念なことに既にその場所には相応しくない品種が植えられていることが多々有り「負け」の作業になることが殆どです。
流石に今ある株を処分するというのはエゴになり謙虚さの微塵もありませんので地植えの場合は鉢にあげることや誘引スペースの拡大などを提案することが多いです。
枝が多くなれば誘引する時間がお客様の御予算を圧迫していきますから時間をかけることも難しい…ということになれば誘引時間をかけられない範囲の枝は切ることにもなります。
手間に時間をかけることがつるバラの誘引、ならびにつるバラの手入れの本質です。
小枝や枝先も1本1本細かに誘引することで最高な風景を作り出すことが出来ます。
適材適所のバラ・素材を使っていただきたいと、せつに願います。
もしつるバラの植え付けから専門業者にお願いしたのに冬の誘引で結構な量の枝を切っている場合は専門業者の何かが間違っていると感じて欲しいと思います。
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