2014年11月16日
もったいなくない
「もったいない」
この言葉をよく使うのは年配の方が多いでしょうか。
物を粗末にしない、大切にするという気持ちはとても大切なことです。
でも、「もったいない」からといって、冷蔵庫が賞味期限切れのものであふれかえっていたり、形見の着物で箪笥が開かなくなっていたりする状態はいかがなものでしょう。
こういう状態は物が増えすぎてその人の管理能力を超えているし、使う予定もなさそうなので、すぐにでも捨てるべきなんですが、そんなことをいえば、捨てるなんて「もったいない!」と決まって反論されてしまいます。
そもそも物を保管しておくことが「もったいなくない」ことになるのか。
ここを考えなくてはいけないと思います。
本当に物を大切にするということは、物をきちんと管理して、使用し、手入れすることだと思います。たとえば、プロのシェフが使う鉄製のフライパンのように日々使われ、磨かれ、きちんと定められた場所へ収められているような状態が、物を大切にするということなのではないでしょうか。
ただ保管しておくということは、必要か不必要かという選択を先伸ばしにしているという状況です。
当然ながら、そんなことをしていると食べ物の場合は、品質は劣化していきます。
形見などの着ない着物も、定期的に干したり、手入れしなければ、カビが生えたり虫に食われたりして、着ようと思っても着れないような状態になります。
それ以前に、その着物を着る予定があるのかという疑問もわいてきますが、思い出の品だから捨てることができないというなら、枚数を絞って、定期的に手入れするようにしなければいけません。
よくあるパターンですが、自分は着る予定はないが、自分が亡くなったら、全部娘に譲るという方もいらっしゃいます。でも、これもある意味、必要か不要かの選択を他人に投げているだけで、たいていの場合、迷惑以外の何物でもないと思います。
思い出はあれど、古く手入れのされてない着物を誰が好んで着るでしょうか。たとえ着たとしても、半分は責任感から着たようなもの。自分が着ないものはたいてい他人も着ないものです。
「もったいない」という気持ちでただ物を保管しておくなら、それは「もったいなくない」
そう思います。
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