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2024年07月12日

検察側の証人(情婦)

kennsatugawa.png

検察側の証人(情婦)の感想







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このブログは
アガサクリスティーが好きすぎて
無人島になにを持って行きたいかと聞かれたら
「アガサクリスティーの本」と答えるくらいの熱量があります
この本のこの作品のココが好き
または
この本のこういう所が見所!
というのを紹介していくブログです
自分の独断と偏見で★を付けていますが完全好みの問題なので、皆様とは違う価値観かもしれません。
ご容赦願います


このブログの最初はこちら

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検察側の証人(情婦)

アガサのエンターテインメント度 ★★★

超有名作品           ★★★ 
           
誰も思いつかないミステリー   ★★★

後味の複雑な両面の味わい    ★★★

無人島に持っていきたい度    ★★☆

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感想(0件)




ネタバレしてます!

ネタバレを望まない方は、

これより下を読まないでくださいね!


この作品は

短編集のところでも

紹介しましたが、

アガサを知るなら

これも読んでない

なんてことあり得ない、

というくらいに有名な

戯曲作品です。

別名『情婦』とも言われます。

初演から

”絶対に

エンディングは誰にも

話さないで”

と観客に約束させてた

というくらいに

すべての謎が

エンディングにあります。 

まあ、ここでは

この後その謎をばらしますけどね!

ある富豪の老女が

惨殺される事件が起き、

直前に交際したとされる

若い男ヴォールが容疑者として

裁判にかけられます。

彼の弁護士いわく、

ハンサムでスポーツマンで

しかし裕福ではない

ヴォールが

お金以外の理由で

老女になんの下心もなしに

親切にするだろうか?

しかも、彼は自分に

妻がいることを老女に

隠していたし、

その老女は遺産相続人を

ヴォールに指定している。

その老女が死ねば

莫大な財産は

彼のものになる

という動機が出来ているのである。

真っ黒黒である!

アリバイもない、

動機はある、

その弁護を引きうけた

弁護士メイハーンは

負けを確信している。

ヴォールは、

殺人の時間には

家に帰っていた事を

妻ロメインが

証人になってくれる

というので、

弁護士は会いに行くのである。

ところが唯一彼の

アリバイ証言をした妻

ロメインに会いに行ったとき、

彼女は言う

『私が、

9時には夫が家にいたと

申したら、

無罪になるのでしょうか?

その他に無罪放免になる

可能性のある証言を

される方はいるのでしょうか』と。

彼はしぶしぶ『誰もいません』という。

そこから彼女は、

夫であるヴォールへの

激しい憎しみを告白し

『あの人が罪に問われて

縛り首になるのを見たいのだ』と

驚くことを言う。

それを聞いた弁護士は、

妻ロメインが夫を

有罪にするために

証言をでっちあげてると確信し、

それを崩すために妻の身辺を

探るのである。

すると次々と嘘が分かり、

結果ヴォールは無罪と

なるのである。

弁護士の汗と涙の結晶!

弁護士万歳!

とよろこんでいると、

実はそれこそが嘘であり、

夫ヴォールを助けるために

すべては妻ロメインが

仕掛けた嘘の痕跡の

数々だったのである。

献身的な妻が

証言したアリバイなど

なんの役にも立たないと

判断したロメインは、

わざと夫を憎んでいる

芝居をし、

夫のアリバイを逆に証明するのである。

まんまと、

だまされる弁護士、

そして裁判所と民衆、警察。

しかし驚くべきことは更にある。

その妻が付いた嘘は

彼の無罪を信じるが故と

思うではないですか!

違うんです!

ここまでで終われば、

献身的な妻の美しい話で

終わるはずなのに!

『誰よりもヴォールの

無実を信じてるから、

このような事をしたのですね?』

と弁護士がロメインに

聞いた後の一言が

『誰よりも私が彼が

犯人だと分かっているからです』

と言い放つので、さらに驚かせるのです。

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BBCドラマでは、その辺をもっとどす黒く描き、戦後の暗い影をひきずり(BBCドラマはわりとそうですね)ハッピーには終わりません。後味が悪いったらありゃしない!(個人的感想)でも美しく、おどろおどろしい世界観は観るべき価値があります。アガサの作品を普通にタダでは終わらせない感じです。

一度はこの情婦役のロメインを演じたいと思う女優さんが少なくないかも、と思わせるほど怪しい魅力です。原作は夫を愛するが故の賢い情婦、ある意味けなげ、と読み取れなくもない。実際最初読んだとき、そう感じ取れました。しかし、BBCドラマでは悪女色を強めています。実際、殺人犯を無罪にしてしまう話ですからね、倫理的には賛成しかねます。エンターテイメントとしては最高ですが。しかしそれを含め、素晴らしい作品だと思います。

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