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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2009年03月15日
『翔儀天使アユミ〜成淫連鎖』 馬原鶴花編 part4




         「龍華さん!」







鶴花が道場の戸をガラガラと引いて中に入ると、中は多数の剣道部員が竹刀の音を
響かせながら打ち合いをして…
おらず、龍華はおろか誰一人いなく電気もついていない稽古場が目に入ってきた。
「………え?」
そんな馬鹿な。今日女子剣道部は確かに部活はあるはずだ。それに龍華も今日は出
るといっていた。
なのに、この空気の冷え方は少なくとも今日ここで稽古が行われていたということはない。
「龍華さん?龍華さん!」
鶴花は大声で龍華のことを呼んでみたが、勿論何の返事も返っては来ない。
「どういうことなんですか……?」
龍華が自分に嘘をつくなんてことは考えられない。そんなことをするメリットがま
るで頭に浮かばないからだ。
だが、ここにきてさっきの大量の肉人形が思い出される。あの中には鶴花のクラス
メートまでいたのだ。
それと関連して最近の龍華のおかしな様子が思い起こされる。あの、いつもの龍華
とはまるで違う怠惰な龍華。
まさか、まさかとは思うが、もし龍華も肉人形になっているなんてことが……



「あはっ、いらしゃ〜い鶴花先輩〜〜〜〜」

鶴花の悪い妄想が暴走しかけているその時、稽古場の中に深刻な雰囲気に似合わな
い間の抜けた声が響いてきた。
しかも、鶴花と同じ翔儀天使の仲間であり後輩の歩美の声が。
「えっ、歩美さ……?」
何故こんなところにいるのかと一瞬思ったが、とにかく知っている人間に出会えた
喜びから鶴花は胸を撫で下ろして声が聞こえた方向へと振り返り…、言葉を失った。


「ふふ…、どぉうしたんですかぁ先ぱぁい……」
鶴花の前にゆらゆらと立つ歩美は全身の体毛を真っ赤に染め、瞳はこれ以上ないと
いうくらいの邪悪な光を放っている。
上に着ている物を全てはだけ素肌を晒した胸元には赤々と輝く『玉』の字が見えて
おり、足元には時折ビクビクと動く何かをぼろきれで被ったものが転がっている。
その中で一際鶴花の目を引いたのが、胸に輝く『玉』の字だ。鶴花にとって、今の
状況で『玉』の字を見て思い出すものはただ一つしかない。
「あ、あゆ み、さ……それ……」
鶴花が震える手で玉の字を指差すと、歩美は見せ付けるかのように胸を張った。
「うふっ、これですか?分かりますよね〜〜
『玉』の字ですよ。先輩もよぉ〜〜く知ってるあの人の印……」
歩美は玉の字に手を当て、うっとりとした視線を向けながら愛しそうに撫で回している。
「そう……」
が、顔を上げた次の瞬間歩美の雰囲気がガラッと変わった。

「この俺様、玉王の印だ!覚えているだろう鶴花ぁ!!」
顔も声も、そのものは確かに歩美のものだ。だが、尊大な態度、邪悪な気配、居丈
高な喋り方は間違いなくあの玉王そのものと言ってもいいものだった。
「ぎ、玉王?!なぜ歩美さんが玉王に……」
「ふふふっ、この俺がそう簡単にくたばるものか。隙を見つけてこの小娘の中に俺
の意識を潜り込ませ、こうして乗っ取ってやったのよ。こいつの体は既に、この玉
王様のものだ!」
慎みも無くゲラゲラと笑う歩美…いや玉王の姿を見て、鶴花は絶望に心を閉ざし…
ということはなく、逆に怒りの炎がメラメラと燃え上がっていった。
「では、高等部の皆さんを肉人形にしたのもあなたの仕業ですね…」
「ああ。この若い体を使って存分に吸ってやったぞ。数が多かったので貴様らに気
取られずに吸うのに難儀はしたがな。
ふふふ、俺に勝手に体を使われて元の小娘の人格は相当に泣き腫らしていたぞ。だ
が、その心ももうすぐ消える。そして、そのときがこの玉王様の完全復活のときよ!!」
「…そうですか。ではまだ歩美さんの心は残っているのですね」
ならばまだ救う道はある。鶴花は手に持った弓を歩美へ向けて構え、光の矢を番えた。
「ならば、この矢を以って歩美さんの中にいる貴方を浄化して見せます。覚悟しな
さい、玉王!」
鶴花の目は怒りに燃え、手に持つ矢は稽古場全体を照らすぐらいの強さで輝いてい
る。こんなものを喰らったらさすがに玉王と言えども無事ではすまないだろう。
が、歩美=玉王は余裕の態度を崩していない。どうみても避けられない距離にいる
というのに。
「ふふん、それで俺を射る気か?鶴花」
「勿論ですわ。この一矢に篭めた私の力、あなたと言えども耐えられはしません!」
「ああそうだな。そんなものを喰らったらさすがの俺もやられちまうだろうよ。だ
けどな…これを見ても、その矢を撃てるか。鶴花ぁ!」
鶴花へ向けてニッと口元を釣り上げた歩美は、足元に転がっているぼろきれの片端
を掴むと、一気にばさっと捲り上げた。
そこには…

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