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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2009年01月24日
『影が薄いなんて言わせない!』 part2
その時ユハは、この仕業が彼らがやった事だと悟り、
ダルい体を奮い立たせ、向かってきた戦闘員に臨戦態勢をとった。
もちろん獣人である彼女は、本気の力で抵抗した。
「私に近づかないで!」
戦闘員も普通の人間と比べたら強いのだが、木をもなぎ倒す獣人の力は、
正に象と蟻達の戦いだった。
「なにぃ!? 奴には霞様の香水が利いていないのか? 
ええぃ! たかが1匹の獣人に何を手こずっている!」
遅れて帰って来たユハは、他の獣人よりも香水を吸わなかったため、
他の獣人のようにはならなかったのだ。
奥で指示している戦闘員のアイは、自分もそろそろ戦闘に加わらなければいけないと思い、
ダーククロスの通常装備である淫気刀を持ち、正におもむこうと思ったその瞬間、
ポンっと誰かに肩を叩かれた。





   





    『うふふ♪ アイ、これはどういうこと?』















「ひっ! か、霞様っ! これは、そ、その…」
『その…な〜に?』
「あ、ああの獣人には、か、霞様の香水が利いていないのです。
もうすこしお待ちください! すぐに確保しますので。」
『ふ〜ん………
いくら私の香水でも、利き始めるのに個人差があるから仕方ないっちゃ仕方ないわよね。
それにしてもあなたの部隊、よ・わ・す・ぎ♪ 
これは帰ったら特別メニューね。』
「ひぃ!! そ、それだけはご勘弁を!」

軍団長である霞は、戦闘員のアイを面白半分にいじめると、無言でユハの元へと歩みだした。
あらかた近づいた戦闘員を倒したユハは、自分の元に歩み寄ってくる霞に目をやると、警戒した。
“何? 今度は緑の変なのが来た。”
『こんにちは、獣人さん♪ 私はダーククロスの淫妖花軍、軍団長・霞と申します。
以後お見知りおきを。と言っても、すぐに私の配下に付かせますけどね♪』
「この仕業はあなた達が原因ね。早くみんなを元に戻して!」
『うふふ♪ それは出来ない話ね。あなたもすぐに、あの者達の様になるんだから。
そうダーククロスの一員に。』
「なら力づくでも、みんなを元に戻してもらうんだから。 
ええーい!!」
ユハが渾身のキックを霞の顔に放つが… ガシッ!
それは難なく片手で止められ、ユハの目が大きく見開く。
『ふふふ…それが本気? だったらあなたにもう用はないわ。』
掴まれた足を軸に、霞が大きくユハを振り回すと、そのまま獣人の民家へと放り投げた。

ドーン!

「う…ううう…」
民家に投げ込まれたユハは、なんとか体を起こそうと思った瞬間、
緑の蔦が目の前に振り下ろされるのが分かった。
それは霞が装備しているローゼスウィップ。
自分の体に蔦が落ちた瞬間、ユハの意識は完全に消えるのだった。


「う〜ん、むにゃむにゃ…
もう食べられないよ…………… うん?… ここはどこ?」
ユハが起きた所は、ユハにとって見知らぬ部屋だった。
ベッドに寝かされていたことに気付くと、ふいにさっきの戦いを思い出していた。
“霞という女、あの人すごく強かった… ただの人間だと思っていなかったけど、
まさか私の本気のキックを片手で受け止めるなんて…”
ユハは獣人の中でも力はある方だと思っていた。
しかし、あんな風にキックが止められたユハのプライドは、
ズタズタになったことは言うまでもない。
“あれ? あれだけの衝撃を受けたのにどこにも傷がない。なんで?”
と、考えてる内に急に部屋のドアが開くと、そこには霞が立っていた。








  『ようやくお目覚めね。
   あなたの傷は、私の治療カプセルで
   治してあげたから痕は残っていないはずよ。
   あなた、寝言で食べ物のことしか
   言ってなかったわね。』







突然目の前に現れた霞に、ユハは身構える体制をとった。
『ちょっと、私はあなたと戦いに来たんじゃないわ。
それはあの時はひどいことしちゃったと思うけど、
やっぱり部下の手前、半端なことはしたくなかったのよ。
セイバーのように部下になめられたくないから。』
急に優しい態様で向かってくる霞に呆気にとられると、
気になっていた思い出し、質問した。
「ねえ、霞さんはどうしてそんなに強いの?」
『え?………
そ、それはダークサタン様が私にお力を下さったからよ。
もしかしてあなた、私の力に興味があるの?」
ユハが、ゆっくりと頭でうなづく。
「だって…私のキックを片手で受け止めたんだもん。そりゃ気になります。
で、そのダークサタン様ってのは…」
霞はこれは占めたと思い、ユハの今の心境に付けいれようとした。
『私達のご主人様で私をこんなに美しく、そしてより強くして下さった方よ。
ねえ、あなたもこの力欲しくない?」
ユハは、霞と戦った後からずっと思っていた。
この世界には自分よりもっと強い者がいて、そして自分の力では誰も守れないことを。
なぜなら彼女の両親は、前の戦争で他界しており、10歳であった彼女は、
自分に力があれば両親を守れたと、ずっと思い続けてきたのだ。
力があれば大事な人を守っていける。そんな風にトラウマに捕らわれ続けて5年。
ようやく自分が思っていた力が手に入ると思ったら、ユハの答えは決まっていた。
「それは………… 欲しい… 
お願いします! 私にその力下さい! 私、どうしても強くなりたいんです!」
霞は内なる心でニヤリと微笑むと、ユハに近づいていく。
「え? な、何を!?」
そして顔まで20cmちかくまで近づくと、途端にユハの口めがけて…
「う、うぷ!?……………………… う、うんん…」
いきなりの接吻にユハは驚いたが、すぐにその行為に意味があると思い、
ユハもおもむろに霞の口内に舌を入れた。
するとユハの頭に霞の声が流れ込んでくる。
『わかったわ。あなたの願いを叶えてあげる。
でも、あなたは元の獣人の生活には戻れないけど、それでもいいのね?』
戻る必要などなかった。どうせこの後、他の獣人達のようになるくらいなら、
私は悪魔に…いや霞様に心を売ろう。そう思ったユハは、頭で軽くうなづいた。

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