2015年08月26日
結城昌治 『夜の終る時』、河野典生 『殺意という名の家畜』 第17回 日本推理作家協会賞受賞(1964年)
『夜の終る時』
幼馴染みがヤクザの幹部になっている徳持刑事は、なにかと癒着が疑われていた。その徳持刑事がふいに消息を絶ち、翌日にホテルで死体となって発見される。同僚の死に対して必死の捜査をつづける刑事たちは、ついに幹部の逮捕にこぎつけた。だが、留置場に入っていた彼が…。本格仕立ての警察小説と倒叙形式によって浮き彫りにされていくひとりの警官の心の軌跡。多彩なミステリを展開する作者の斬新な構成の意欲作。
著者 結城昌治
1927年(昭和2)、東京に生まれる。49年(昭和24)早稲田専門学校を卒業し、東京地検に勤務したが、結核が発病し3年間の療養生活を送った。59年(昭和34)短篇「寒中水泳」によって認められ、『ひげのある男たち』『ゴメスの名はゴメス』等を執筆し、ユニークな推理作家として注目された。70年(昭和45)、「中央公論」に連載した『軍旗はためく下に』で第六十三回直木賞を受賞。96年(平成8)1月、逝去。
『殺意という名の家畜』
犯罪小説家として売り出し中の私のもとへ、むかし抱いた星村美智から電話がかかってきたのは深夜だった。「今、会ってほしいの」という。むろん私は断ったが、私の郵便受けに一片のメモを残して彼女は消息を絶った。しかたなくメモを調べはじめる私。そこに驚くべき知らせが…。自堕落な生活に耽っていた娘の失踪と、その行方を追う犯罪小説家。退廃的青春群像を描きつつ暴行事件の真相に迫る正統ハードボイルドの傑作。
著者 河野典生(こうの・てんせい)
1935年1月高知県生まれ。詩作、劇作のかたわら1960年『陽光の下、若者は死ぬ』でデビュー。1964年『殺意という名の家畜』で推理作家協会賞を受賞。日本のハードボイルド小説の先駆者となる。幻想派SF小説、ジャズ小説など、多彩な執筆分野とジャズのフィーリングを持つ作家として特異な存在。
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