翌朝、僕は円盤が見えた河川敷に行った。空は青く晴れ渡って、近くの桜の樹にとまった蝉が煩く鳴いていた。どこまでも青が続く空。僕は土手の道に座って、雲のない空を眺めた。昨夜の円盤が夢のように感じた。あれは見間違いだったのではないか。ケータイで撮影した写真に光は写っていなかった。人間は精神状態で変なものを見てしまうものだ。
川岸に人が集まって、その中のひとりが川面を指差して何やら叫んでいる。何かあったんだろうか。僕は下流からその人たちに向かって歩いた。川に近づくにつれ、大きな木のようなものが流れていることに気づいた。
それがとても変だ。川の流れに対して浮遊物は水平に流れるものだ。その大木は川の流れと垂直に流れていた。しかもその大きさは川幅いっぱいの長さだから、30メートルはあるだろう。大木はだんだん僕の方に近づいてきた。
黒っぽい大木の先端を見て、僕は恐怖に慄いた。先端には頭のようなものがあった。逆三角の形をしたものに大きな耳がついていた。これは大木ではなく生物なのか。人間の形をした30メートルの生物。それは僕の視界から橋のある下流に流れていった。
僕は動揺して足の震えが治まらなかった。あれは宇宙から来た動物か、それとも宇宙人なのかも知れない。ようやく川岸の人たちに辿り着いたが、誰もが呆然としていた。川岸から少し離れた、雑草の茂ったところに先ほど見た生物が横たわっていた。複雑に折り曲がった屍は巨大なカマキリを想像させた。
僕はポケットからケータイを出して、奇妙な屍の写真を撮ろうとした。何度もケータイを操作したが、どうしても写真の撮り方を思い出せない。とうとう僕は諦めて警察に電話した。
「はい、どうされましたか?」
そこで僕は返答に困ってしまった。宇宙人の死体を発見したと言ったら、いたずら電話だと思われてしまう。
「あの、カマキリが……」
「はい?」
「いえ、ええと、川から大きな生物が流れてきてきました」
僕はしどろもどろになりながら、場所と自分の名前とケータイの番号を教えた。
いつの間にか野次馬が川岸に集っていた。やがて制服を着た警官たちが河川敷きを走ってきた。野次馬の喚声が上がった。屍の近くに捨てられたダンボールの蓋が動いた。ん、ネズミか?僕が思い浮かべたのはネズミだった。そこから出てきたものは人形だった。人間が作った何の変哲もない人形が動いていた。あの屍の影響なのか。生命のないものに生命を与えられたのか。人形はそこらを動きまわると川の中に入っていった。
川岸に人が集まって、その中のひとりが川面を指差して何やら叫んでいる。何かあったんだろうか。僕は下流からその人たちに向かって歩いた。川に近づくにつれ、大きな木のようなものが流れていることに気づいた。
それがとても変だ。川の流れに対して浮遊物は水平に流れるものだ。その大木は川の流れと垂直に流れていた。しかもその大きさは川幅いっぱいの長さだから、30メートルはあるだろう。大木はだんだん僕の方に近づいてきた。
黒っぽい大木の先端を見て、僕は恐怖に慄いた。先端には頭のようなものがあった。逆三角の形をしたものに大きな耳がついていた。これは大木ではなく生物なのか。人間の形をした30メートルの生物。それは僕の視界から橋のある下流に流れていった。
僕は動揺して足の震えが治まらなかった。あれは宇宙から来た動物か、それとも宇宙人なのかも知れない。ようやく川岸の人たちに辿り着いたが、誰もが呆然としていた。川岸から少し離れた、雑草の茂ったところに先ほど見た生物が横たわっていた。複雑に折り曲がった屍は巨大なカマキリを想像させた。
僕はポケットからケータイを出して、奇妙な屍の写真を撮ろうとした。何度もケータイを操作したが、どうしても写真の撮り方を思い出せない。とうとう僕は諦めて警察に電話した。
「はい、どうされましたか?」
そこで僕は返答に困ってしまった。宇宙人の死体を発見したと言ったら、いたずら電話だと思われてしまう。
「あの、カマキリが……」
「はい?」
「いえ、ええと、川から大きな生物が流れてきてきました」
僕はしどろもどろになりながら、場所と自分の名前とケータイの番号を教えた。
いつの間にか野次馬が川岸に集っていた。やがて制服を着た警官たちが河川敷きを走ってきた。野次馬の喚声が上がった。屍の近くに捨てられたダンボールの蓋が動いた。ん、ネズミか?僕が思い浮かべたのはネズミだった。そこから出てきたものは人形だった。人間が作った何の変哲もない人形が動いていた。あの屍の影響なのか。生命のないものに生命を与えられたのか。人形はそこらを動きまわると川の中に入っていった。
なんだか随分変な夢みるのね。あわ
この記事へのコメント