『雨天炎天』(村上春樹著)読後感
先日村上春樹著の『雨天炎天』(新潮文庫)を読み終えた。表紙の副題に「ギリシャ・トルコ辺境紀行」と書いてある通り、この本は村上のおじさん(個人的な親称です)の旅行記である。
人それぞれ本を読む状況が違えば感じ方も異なるのだけれど、僕はこの本を読んで彼の他国の生活習慣や政治や文化などへの一定の距離の取り方に特に興味をひかれた。
僕の知る限り村上のおじさん(上記のとおり個人的な親称です)は、何かに対して嫌味な批評をするようなことはしない作家だし、仮に批評をするとしてもそこには愛情の含みが僕には伺えたりする。筋の通らないことや腹の立つことにはかんかんに怒ることはあるようだけれど、それはまた個人的な事件として怒るのであって、話を拡大して地域や国や文化習慣などを罵倒するようなことは決して無い。僕の知る限りはない。また、彼の好むところじゃないある種の政治的な体制や集合体などに対しては、比較的冷静に、小説家的立場でそれに対立しようとする。或いは抵抗し、できることなら(言い過ぎかもしれないが)打ち壊そうとする。こうした態度自体、僕はとても好きだ。
そして、僕はいま中国(杭州)に住んでいる。外国に住むと違った視点から日本のこともいろいろとわかってくる。けれどやはりそれ以上に、中国の政治体制や社会や文化や個々人の生活習慣や生き方や人間のことが分かってくる。そうしたものごとに出遇ってうれしいこともたくさんあるけれど、そうじゃないこともいろいろあったりする。そこで感じたすべてを他の人に知ってほしい、文章に書いてみたいと思ったりすることもある。
そうした中『雨天炎天』での彼のものごとに対する距離感に、僕はすごくひかれてしまうわけだ。外国を旅する者、そこに一定期間とはいえ住まわせてもらっている者として、礼を欠かないスタンスで文章を書き続けている。ボロクソにその国の人々を罵ることは決してない。異邦人としての、或いは単に人として良識的範疇で自分の考えや感じ方を述べている。触れるべき点とそうでない点をしっかりわきまえている。
こういう点で、ああ…、と僕は思うわけです。僕もしっかり見習わなければ、と。そこに見る人がいようといまいと、書くのなら良識的な立場で書かねば、と。これが僕の『雨天炎天』読後感、村上のおじさん(しつこいようですが、僕の個人的な親称なのです)から学んだことでした。頑張らねば。
人それぞれ本を読む状況が違えば感じ方も異なるのだけれど、僕はこの本を読んで彼の他国の生活習慣や政治や文化などへの一定の距離の取り方に特に興味をひかれた。
僕の知る限り村上のおじさん(上記のとおり個人的な親称です)は、何かに対して嫌味な批評をするようなことはしない作家だし、仮に批評をするとしてもそこには愛情の含みが僕には伺えたりする。筋の通らないことや腹の立つことにはかんかんに怒ることはあるようだけれど、それはまた個人的な事件として怒るのであって、話を拡大して地域や国や文化習慣などを罵倒するようなことは決して無い。僕の知る限りはない。また、彼の好むところじゃないある種の政治的な体制や集合体などに対しては、比較的冷静に、小説家的立場でそれに対立しようとする。或いは抵抗し、できることなら(言い過ぎかもしれないが)打ち壊そうとする。こうした態度自体、僕はとても好きだ。
そして、僕はいま中国(杭州)に住んでいる。外国に住むと違った視点から日本のこともいろいろとわかってくる。けれどやはりそれ以上に、中国の政治体制や社会や文化や個々人の生活習慣や生き方や人間のことが分かってくる。そうしたものごとに出遇ってうれしいこともたくさんあるけれど、そうじゃないこともいろいろあったりする。そこで感じたすべてを他の人に知ってほしい、文章に書いてみたいと思ったりすることもある。
そうした中『雨天炎天』での彼のものごとに対する距離感に、僕はすごくひかれてしまうわけだ。外国を旅する者、そこに一定期間とはいえ住まわせてもらっている者として、礼を欠かないスタンスで文章を書き続けている。ボロクソにその国の人々を罵ることは決してない。異邦人としての、或いは単に人として良識的範疇で自分の考えや感じ方を述べている。触れるべき点とそうでない点をしっかりわきまえている。
こういう点で、ああ…、と僕は思うわけです。僕もしっかり見習わなければ、と。そこに見る人がいようといまいと、書くのなら良識的な立場で書かねば、と。これが僕の『雨天炎天』読後感、村上のおじさん(しつこいようですが、僕の個人的な親称なのです)から学んだことでした。頑張らねば。
雨天炎天?ギリシャ・トルコ辺境紀行 |
「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へ?。雨に降られ太陽に焙られ埃にまみれつつ、タフでハードな冒険の旅は続く。 |
380円 |