2021年03月28日
イラストレーター西村玲子さん死去、78歳 。
以下引用
西村玲子
イラストレーター、エッセイスト。大阪生まれ。ファッション、インテリア、旅、映画など、日常の中で発見する心ときめくものや自然体で気持ちのいい暮らしを提案。近年、アクセサリー、写真、コラージュ、オブジェなどにも創作の幅を広げている。『玲子さんのおしゃれクロゼット』『玲子さんののんびり老い支度』など著書は200冊以上にのぼる。最新刊は『玲子さんの心地いい時間』。
イラストレーターの西村玲子さんが1月24日、肺腺がんのため亡くなった。78歳。
葬儀は近親者で営んだ。喪主は長男佳有(かう)さん。
2013年4月から始まった、本紙(毎日新聞)くらしナビ面「西村玲子の装い帳」などで自身のイラストを付けて執筆した。
軽妙な文章とともに、色鉛筆で描いた優しい絵が好評となった。
最後の本紙掲載は20年3月。最近の男性のファッションについて「型にはまっていると思いがちな男性のおしゃれだが、
最近のそれはかなり自由になっている。
私も何となく気づいていたけれど、確信に変わった。
そもそも、おしゃれを男女で分ける方がおかしい。
一時期ほどそこに区別はなくなっている」などと記し、「おしゃれのことを考えているのは楽しい時間だ」と締めくくった。
上記引用
私はこれらのことをネットのニュースで知った。
驚いた。
すぐに、手元にある彼女の本を確かめた。
彼女のイラストのタッチが好きだったし、洋服選びのセンスが好きだった。
全体の雰囲気も好きだった。
色鉛筆で私も描けそうな気がするくらい(おこがましい!)軽やかで自由で好きだった。
だから、手元に本を置いて時々楽しんでいた。
その憧れのイラストレーターが亡くなられた。
彼女が活躍した時代は沢山の”イラストレーター”という人達が出現した時代で、ファッションと共に私達に夢を与えてくれた。
そんな中でも、
「私の持っている洋服でもこんな風に着れそう」
というくらいの、”普段のファッションの中でもセンス良く”という感覚が好きだった。
今でも迷うと玲子さんならどんな風に着てるかな?とこの一冊を捲ることがある。
(ただ、玲子さんみたいにと思った頃と違っているのが、現体型なのだ。)
私達の時代の表現者がいなくなる・・・、一つの時代が終わったような気がしてしまう。
でも、ガッチリとオシャレするのではない、普段、日常の中でセンスを磨いていく、アクセサリーやバッグや靴まで、
いつも自分の目を養っていくことの楽しさを軽やかに教えてくれた人だと思っている。
寂しい・・・。
これから、彼女の晩年の暮らし方も丁寧に読ませてもらい、これからも
小奇麗に、健康的に生きていきたいと思っています。
玲子さん、大好きでした、ありがとうございました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
以下にエッセイの一部引用します。
「玲子さんの素敵なひとり時間」
第1回
端切れのブローチ
2019/08/27
2016年の秋、私に思いがけない病気が見つかった。40日間の入院、それに続く通院治療の生活。
この3年で失ったものもあるけれど、得たものも様々ある。
自分の家で暮らし、好きなことに没頭できる幸せ。
イラストを描き、文章を考える日常も、今更ながら楽しい。
新しい連載の場をいただいて、私の一人時間にまた弾みがつきそうです。
しっかりとした金やシルバーのアクセサリーも、もちろんいいのだけれど、近頃はカジュアルな服ばかりだから、
アクセサリーの選び方も変わった。カジュアルという目線ですっかり安定している。
出かける先といえば、病院ばかりという緊張感のなさが輪をかけるのだと思う。
そこのところ何とかしなければ、と緊張感のある生活を思い出して、自分を少しでもそちらに持っていこうかと思う。
さて、面白い端切れをブローチやネックレスに作り替えると、たちまち自由が寛いで私の周りに集まるようだ。
生まれたてのその子たちは仲間が増えるごとにわいわいがやがや。
私も調子に乗って作り続けて、外が暗くなったのにも気が付かず、いつの間にか肩も凝っている。いつものことだ。
端切れのアクセサリー、またこんなに作ってしまった。食べるのも飲むのも忘れて、いけない、いけない。
大切なことを後回しにしてしまう。
これが入院生活を繰り返す人々の悪いところといえばそんなところかしら。
そういう人を集めて会議をしてみたらどうかしらなどと考え、笑いがこみ上げる。変な病人。
ある日娘が大きな机の上に、私が集めてきた布の山を載せて、この中の必要な布以外はこちらに分けて、
思い切って捨てましょうと言った。
私は魔法をかけられた人のようにその時はなって、全部要りません、お好きにしてください。
としおらしくしていた。
なんでそんなことを言えたのかは不思議。案の定、しばらく布を見ていると、捨てられないわ、なんで捨てなきゃいけないの。
という気持ちがわいてきたが、最後は、私は病人、老いては子に従え、そちらの気持ちが勝った。
せめて置いておく布はプラスチックケースにきれいに並べて大切にしようと、心に誓う。
どうせ私は病気よ。
こんなに作れないかもね。
そうですよ、そろそろ80歳に近づこうとするのにね。と思ったら、不思議なことに
100歳近くまで元気で生きている方々のお姿がぽっかり浮かぶ。なぜかきれいな人ばかり。
今日はなんだかいさぎよくない。いつもはこんなじゃないのですよ。
上記引用
西村玲子
イラストレーター、エッセイスト。大阪生まれ。ファッション、インテリア、旅、映画など、日常の中で発見する心ときめくものや自然体で気持ちのいい暮らしを提案。近年、アクセサリー、写真、コラージュ、オブジェなどにも創作の幅を広げている。『玲子さんのおしゃれクロゼット』『玲子さんののんびり老い支度』など著書は200冊以上にのぼる。最新刊は『玲子さんの心地いい時間』。
イラストレーターの西村玲子さんが1月24日、肺腺がんのため亡くなった。78歳。
葬儀は近親者で営んだ。喪主は長男佳有(かう)さん。
2013年4月から始まった、本紙(毎日新聞)くらしナビ面「西村玲子の装い帳」などで自身のイラストを付けて執筆した。
軽妙な文章とともに、色鉛筆で描いた優しい絵が好評となった。
最後の本紙掲載は20年3月。最近の男性のファッションについて「型にはまっていると思いがちな男性のおしゃれだが、
最近のそれはかなり自由になっている。
私も何となく気づいていたけれど、確信に変わった。
そもそも、おしゃれを男女で分ける方がおかしい。
一時期ほどそこに区別はなくなっている」などと記し、「おしゃれのことを考えているのは楽しい時間だ」と締めくくった。
上記引用
私はこれらのことをネットのニュースで知った。
驚いた。
すぐに、手元にある彼女の本を確かめた。
彼女のイラストのタッチが好きだったし、洋服選びのセンスが好きだった。
全体の雰囲気も好きだった。
色鉛筆で私も描けそうな気がするくらい(おこがましい!)軽やかで自由で好きだった。
だから、手元に本を置いて時々楽しんでいた。
その憧れのイラストレーターが亡くなられた。
彼女が活躍した時代は沢山の”イラストレーター”という人達が出現した時代で、ファッションと共に私達に夢を与えてくれた。
そんな中でも、
「私の持っている洋服でもこんな風に着れそう」
というくらいの、”普段のファッションの中でもセンス良く”という感覚が好きだった。
今でも迷うと玲子さんならどんな風に着てるかな?とこの一冊を捲ることがある。
(ただ、玲子さんみたいにと思った頃と違っているのが、現体型なのだ。)
私達の時代の表現者がいなくなる・・・、一つの時代が終わったような気がしてしまう。
でも、ガッチリとオシャレするのではない、普段、日常の中でセンスを磨いていく、アクセサリーやバッグや靴まで、
いつも自分の目を養っていくことの楽しさを軽やかに教えてくれた人だと思っている。
寂しい・・・。
これから、彼女の晩年の暮らし方も丁寧に読ませてもらい、これからも
小奇麗に、健康的に生きていきたいと思っています。
玲子さん、大好きでした、ありがとうございました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
以下にエッセイの一部引用します。
「玲子さんの素敵なひとり時間」
第1回
端切れのブローチ
2019/08/27
2016年の秋、私に思いがけない病気が見つかった。40日間の入院、それに続く通院治療の生活。
この3年で失ったものもあるけれど、得たものも様々ある。
自分の家で暮らし、好きなことに没頭できる幸せ。
イラストを描き、文章を考える日常も、今更ながら楽しい。
新しい連載の場をいただいて、私の一人時間にまた弾みがつきそうです。
しっかりとした金やシルバーのアクセサリーも、もちろんいいのだけれど、近頃はカジュアルな服ばかりだから、
アクセサリーの選び方も変わった。カジュアルという目線ですっかり安定している。
出かける先といえば、病院ばかりという緊張感のなさが輪をかけるのだと思う。
そこのところ何とかしなければ、と緊張感のある生活を思い出して、自分を少しでもそちらに持っていこうかと思う。
さて、面白い端切れをブローチやネックレスに作り替えると、たちまち自由が寛いで私の周りに集まるようだ。
生まれたてのその子たちは仲間が増えるごとにわいわいがやがや。
私も調子に乗って作り続けて、外が暗くなったのにも気が付かず、いつの間にか肩も凝っている。いつものことだ。
端切れのアクセサリー、またこんなに作ってしまった。食べるのも飲むのも忘れて、いけない、いけない。
大切なことを後回しにしてしまう。
これが入院生活を繰り返す人々の悪いところといえばそんなところかしら。
そういう人を集めて会議をしてみたらどうかしらなどと考え、笑いがこみ上げる。変な病人。
ある日娘が大きな机の上に、私が集めてきた布の山を載せて、この中の必要な布以外はこちらに分けて、
思い切って捨てましょうと言った。
私は魔法をかけられた人のようにその時はなって、全部要りません、お好きにしてください。
としおらしくしていた。
なんでそんなことを言えたのかは不思議。案の定、しばらく布を見ていると、捨てられないわ、なんで捨てなきゃいけないの。
という気持ちがわいてきたが、最後は、私は病人、老いては子に従え、そちらの気持ちが勝った。
せめて置いておく布はプラスチックケースにきれいに並べて大切にしようと、心に誓う。
どうせ私は病気よ。
こんなに作れないかもね。
そうですよ、そろそろ80歳に近づこうとするのにね。と思ったら、不思議なことに
100歳近くまで元気で生きている方々のお姿がぽっかり浮かぶ。なぜかきれいな人ばかり。
今日はなんだかいさぎよくない。いつもはこんなじゃないのですよ。
上記引用
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