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2019年09月05日
遠江より遠州
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静岡県の旧国名は、東から「伊豆」「駿河」「遠江」です。このうち、概ね大井川以西は「遠江」。
地図を開くと、「伊豆半島」「駿河湾」とありますが、「遠江灘」ではなく「遠州灘」とあります。ここだけ「遠江」の別称「遠州」が使われています。
静岡県内の人や、県外でも近くの人であれば、「遠江」を「とおとうみ」と正しく読むことができると思いますが、県外では、間違って「とうみ」や「とおみ」と読んでいる人が意外と多いのです。実は、私もその一人でした。
滋賀県の旧国名「近江」は「おうみ」と読み、こちらは苗字でも見ますし、間違えて読む人は殆どないと思いますが、「遠江」のことを、この「近江(おうみ)」に引きずられて「とうみ」や、「遠い江(海)」でそのまま「とおみ」と呼んでしまうのではと想像しています。
昔の都から近い湖「琵琶湖」を「淡海(あはうみ)」「近淡海(ちかつあはうみ)」、遠い湖「浜名湖」を「遠淡海(とほつあはうみ)」と呼び、これが旧国名の由来だと言われています(浜名湖ではなく古代の磐田湖(大之浦)が由来との説もあり)。
駅名の頭に「遠江」を使っているところがありますが、ごく一部。例えば「遠州灘」の他にも、「遠州弁」「遠州鉄道」「遠州木綿」「遠州凧」「遠州森の石松」(ここは駅名も遠州森駅)など、全国的には「遠州」の方が有名です。読みも「えんしゅう」と明快で、「遠江(とおとうみ)」よりも言いやすい。
旧国名の正式名より、別称である「〜州」の方が有名な例は多くあります。群馬県の「上野(こうずけ)」より「上州(じょうしゅう)」の方が有名なのは、ここ「遠江」と「遠州」の関係と同じ。別称の方が有名な例は、ここまで差がないとは思いますが、山梨県の「甲斐(かい)」より「甲州(こうしゅう)」、長野県の「信濃(しなの)」より「信州(しんしゅう)」。
私も、ブログの中では別称の「遠州」を主に使っています。同じ静岡県でも「駿河」や「伊豆」は正式名、「遠江」だけ別称「遠州」を使用するのはおかしいと思われるかもしれませんが、ご了承ください。
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