2019年06月18日
( ..)φメモメモ ピーナッツにはダイエット効果あり の記事
ピーナッツにはダイエット効果あり
誰もが納得必至のその理由とは?
LIFESTYLE 2019.5.31
世界中でいま、ピーナッツに注目が集まっています。栄養バランスが優れているにもかかわらず、値段が安く、しかも美味しいから。
その健康効果を慶應義塾大学医学部の井上浩義教授・著『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』よりご紹介します。
「食物繊維が高める整腸作用」で
エネルギーが大きいのに太らない
ピーナッツを食べると太ると思っておられる方は多いのですが、実際には食物繊維が満腹感をもたらすことに加え、排便を促すため、太ることはありません。
ピーナッツを食べたときの体重の増減については、たくさんの研究データがあります。有名なのは、15人の健常なボランティアに、通常の食事に加えて500キロカロリー(約100グラム)のピーナッツを8週間にわたって毎日食べてもらった、2002年の試験です。
カロリー計算からすると、ボランティアの人たちは平均3.6キロ太るだろうと予想されましたが、実際はキロ増にとどまりました。
1994年から96年に実施された14262人に及ぶ疫学調査は、ピーナッツを食べる人は、ほかにも各種の栄養をバランスよく摂っていることを突き止めました。
タンパク質、食物繊維、ビタミンA、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの摂取量が、ピーナッツを食べていない人よりも多かったという結果が出たのです。
ピーナッツを食べる習慣をもつ人には、健康に気をつけていたり、豊かな食生活を送っている人が多いということです。
この疫学調査では、ピーナッツを食べる人は食べない人に比べ、肥満指数のBMI(Body Mass Index)が小さいという結果が出ています。特に子どもは、この傾向が顕著でした。つまりピーナッツは、エネルギーが大きいのに太らない食品だといえます。
ピーナッツを食べる人ほど
BMIが低い
BMIは、体重÷(身長×身長)で計算します。体重はキロのままで計算しますが、身長はセンチメートルではなくメートルに置き換えます。体重が60キロ、身長が165センチなら1.65メートルとなるので、BMIは22.04というわけです。
日本肥満学会は、次のような「肥満度判定基準」を示しています。
▼肥満度判定基準
・18.5未満:低体重(やせ)
・18.5〜25未満:普通体重
・25〜30未満:肥満(1度)
・30〜35未満:肥満(2度)
・35〜40未満:肥満(3度)
・40以上:肥満(4度)
ハーバード大学の「ナース・ヘルス・スタディ(Nurse’s Health Study)」が、「ピーナッツ・ナッツを食べる頻度とBMIとの関連」を調べた研究があります。アメリカの看護師 86,016人を対象にした、大規模な調査です。
すると、ピーナッツとナッツを食べる頻度が高い人ほどBMIは低く、食べない人ほどBMIが高いことがわかりました。私はこの研究内容をくわしく調べていて、ナッツを食べている人よりピーナッツを食べている人のほうが圧倒的に多いことに気づきました。この結果から、ピーナッツを習慣的に食べる人は痩せていることがわかってきました。
食物繊維の整腸効果
健康な女性16人(平均年齢45.1歳)に、毎日30粒のピーナッツを8週間食べてもらった実験を紹介しました。便秘傾向の女性には、便通の改善効果が見られたという結果です。便通がよくなるとなれば、気になるのは体重の減少です。
実はこの試験は、BMI平均が27.6と、日本肥満学会の基準でいえば「肥満(1度)」の方々が対象となっていました。その分、8週間後の体重減少効果が期待されました。
しかし結果として、体重の変化は観察されませんでした。理由としては、8週間という比較的短期間の試験であったことや、季節的な要因などが考えられます。
今後、さらなる研究が望まれるところです。はっきりしているのは、ピーナッツに整腸作用があること。食物繊維を豊富に含むのですから、これは明らかな事実です。臨床研究でも証明されています。
食物繊維は低カロリーで、噛んで飲み込むのに時間がかかる上、消化されにくく、体内で水分を吸収して膨らみます。そのため満腹感が得やすいので、ダイエットに適しています。水溶性と不溶性の2種類があって、どちらもバランスよく摂るべきです。
水溶性食物繊維は、体内で溶けるとゲル状になります。血中コレステロール値を下げたり、糖の吸収を抑えて食後血糖値の急上昇を防いだり、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える、といった効果があります。果物、海藻、きのこ、イモ類などに含まれています。
不溶性食物繊維は水分を吸い、繊維質を保ったまま排出されます。したがって腸の動きを刺激し、便のかさを増し、排便を促します。大腸がんの予防にも効果があります。玄米や雑穀などの穀物、コンニャク、豆類などに含まれます。
ピーナッツは豆ですから、食物繊維は不溶性です。腹持ちがいいので、間食を防ぐ効果もあります。
『ハーバード大の
研究でわかった
ピーナッツで
長生き!』
著・井上浩義
定価1,300円+税
文藝春秋
井上浩義(いのうえ ひろよし)
1961 年福岡県出身。慶應義塾大学医学部教授。医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。専門の薬理学、原子力学、高分子化学のみならず「食と健康」についても造詣が深く、ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者でもある。NHK『あさイチ』などテレビ出演多数。著書に『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎)、『カカオでからだの劣化はとまる』(世界文化社)、『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館101新書) など多数。
誰もが納得必至のその理由とは?
LIFESTYLE 2019.5.31
世界中でいま、ピーナッツに注目が集まっています。栄養バランスが優れているにもかかわらず、値段が安く、しかも美味しいから。
その健康効果を慶應義塾大学医学部の井上浩義教授・著『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』よりご紹介します。
「食物繊維が高める整腸作用」で
エネルギーが大きいのに太らない
ピーナッツを食べると太ると思っておられる方は多いのですが、実際には食物繊維が満腹感をもたらすことに加え、排便を促すため、太ることはありません。
ピーナッツを食べたときの体重の増減については、たくさんの研究データがあります。有名なのは、15人の健常なボランティアに、通常の食事に加えて500キロカロリー(約100グラム)のピーナッツを8週間にわたって毎日食べてもらった、2002年の試験です。
カロリー計算からすると、ボランティアの人たちは平均3.6キロ太るだろうと予想されましたが、実際はキロ増にとどまりました。
1994年から96年に実施された14262人に及ぶ疫学調査は、ピーナッツを食べる人は、ほかにも各種の栄養をバランスよく摂っていることを突き止めました。
タンパク質、食物繊維、ビタミンA、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの摂取量が、ピーナッツを食べていない人よりも多かったという結果が出たのです。
ピーナッツを食べる習慣をもつ人には、健康に気をつけていたり、豊かな食生活を送っている人が多いということです。
この疫学調査では、ピーナッツを食べる人は食べない人に比べ、肥満指数のBMI(Body Mass Index)が小さいという結果が出ています。特に子どもは、この傾向が顕著でした。つまりピーナッツは、エネルギーが大きいのに太らない食品だといえます。
ピーナッツを食べる人ほど
BMIが低い
BMIは、体重÷(身長×身長)で計算します。体重はキロのままで計算しますが、身長はセンチメートルではなくメートルに置き換えます。体重が60キロ、身長が165センチなら1.65メートルとなるので、BMIは22.04というわけです。
日本肥満学会は、次のような「肥満度判定基準」を示しています。
▼肥満度判定基準
・18.5未満:低体重(やせ)
・18.5〜25未満:普通体重
・25〜30未満:肥満(1度)
・30〜35未満:肥満(2度)
・35〜40未満:肥満(3度)
・40以上:肥満(4度)
ハーバード大学の「ナース・ヘルス・スタディ(Nurse’s Health Study)」が、「ピーナッツ・ナッツを食べる頻度とBMIとの関連」を調べた研究があります。アメリカの看護師 86,016人を対象にした、大規模な調査です。
すると、ピーナッツとナッツを食べる頻度が高い人ほどBMIは低く、食べない人ほどBMIが高いことがわかりました。私はこの研究内容をくわしく調べていて、ナッツを食べている人よりピーナッツを食べている人のほうが圧倒的に多いことに気づきました。この結果から、ピーナッツを習慣的に食べる人は痩せていることがわかってきました。
食物繊維の整腸効果
健康な女性16人(平均年齢45.1歳)に、毎日30粒のピーナッツを8週間食べてもらった実験を紹介しました。便秘傾向の女性には、便通の改善効果が見られたという結果です。便通がよくなるとなれば、気になるのは体重の減少です。
実はこの試験は、BMI平均が27.6と、日本肥満学会の基準でいえば「肥満(1度)」の方々が対象となっていました。その分、8週間後の体重減少効果が期待されました。
しかし結果として、体重の変化は観察されませんでした。理由としては、8週間という比較的短期間の試験であったことや、季節的な要因などが考えられます。
今後、さらなる研究が望まれるところです。はっきりしているのは、ピーナッツに整腸作用があること。食物繊維を豊富に含むのですから、これは明らかな事実です。臨床研究でも証明されています。
食物繊維は低カロリーで、噛んで飲み込むのに時間がかかる上、消化されにくく、体内で水分を吸収して膨らみます。そのため満腹感が得やすいので、ダイエットに適しています。水溶性と不溶性の2種類があって、どちらもバランスよく摂るべきです。
水溶性食物繊維は、体内で溶けるとゲル状になります。血中コレステロール値を下げたり、糖の吸収を抑えて食後血糖値の急上昇を防いだり、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える、といった効果があります。果物、海藻、きのこ、イモ類などに含まれています。
不溶性食物繊維は水分を吸い、繊維質を保ったまま排出されます。したがって腸の動きを刺激し、便のかさを増し、排便を促します。大腸がんの予防にも効果があります。玄米や雑穀などの穀物、コンニャク、豆類などに含まれます。
ピーナッツは豆ですから、食物繊維は不溶性です。腹持ちがいいので、間食を防ぐ効果もあります。
『ハーバード大の
研究でわかった
ピーナッツで
長生き!』
著・井上浩義
定価1,300円+税
文藝春秋
井上浩義(いのうえ ひろよし)
1961 年福岡県出身。慶應義塾大学医学部教授。医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。専門の薬理学、原子力学、高分子化学のみならず「食と健康」についても造詣が深く、ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者でもある。NHK『あさイチ』などテレビ出演多数。著書に『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎)、『カカオでからだの劣化はとまる』(世界文化社)、『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館101新書) など多数。
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