2016年08月10日
女性に多い!全身のあちこちが痛む原因不明の病気
女性に多い!全身のあちこちが痛む原因不明の病気
あちこちが痛い! 押すと痛む箇所がある!
体のあちこちが痛い、痛む場所が移動する、関節のこわばりや倦怠感、手足の冷え、疲労感もあらわれてきた…整形外科や内科に行っても痛みの原因がよくわからない。こんな症状が続くようであれば、もしかすると女性に多いとされる原因不明のこの病気かもしれません。
◆線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は全身性の慢性疼痛疾患です。日本線維筋痛症学会での調査では、患者数は全人口の約1.7%、約200万人以上と推定されています。女性の発症率がとても高く、男性の7倍にも上るといわれています。好発年齢は40歳以上。おもな症状は体の痛みですが、それも軽度なものから激しくうずくようなものまであり、そのほかの症状は実に多彩です。
◆全身の倦怠感、睡眠障害、気分が晴れないうつのような症状、頭痛、過敏性腸症候群のような腹痛や下痢の症状、微熱、安静時に脚などにむずむずした感覚が持続的にあらわれてじっとしていられなくなる「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」などもあります。なかでも多くの患者さんが関節の冷えやこわばり感を訴えます。
◆部分的に疼痛を感じる「限局性(げんきょくせい)線維筋痛症」の場合は、筋肉に負荷がかかったときに鋭く痛みます。おもに腱、靭帯、筋肉などの軟部組織が侵されます。そのため、日常の動作をスムーズにできなくなり、仕事や家事にも支障をきたします。
◆一方、広範囲に痛みを感じる「原発性線維筋痛症」は、倦怠感や睡眠障害などの全身性の症状を伴いやすいのが特徴です。また、顔面に痛みが生じるタイプでは、口が痛くて開けられないなどの顎関節症に似た症状があらわれます。
◆線維筋痛症の痛みには特徴があります。特定の部位を指で押すと痛みを感じる圧痛があることです。後頭部の頭蓋骨の根元辺り、首のわき、乳房の上、ひじの内側、肩、臀部などの18か所のうち、11か所以上に圧痛を感じた場合に、線維筋痛症と診断するやり方が広く使われています。
◆そのほか、血液検査やX線検査、筋電図、炎症反応を調べるCRP検査などを行い、痛みを起こす原因があるかどうかを調べます。しかしこれらは、線維筋痛症であるかどうかを調べるものではなく、あくまでもほかの疾患の可能性を排除する検査にすぎません。患者さんによって、体の圧痛点だけでは説明しきれない多くの症状がみられることがわかっており、現在は2010年にアメリカで提唱された診断基準が一応の目安となっています。
◆なぜこのような痛みが起こるのか。まだ原因は解明されていませんが、なんらかの理由で痛みを伝える中枢神経に異常が起こっていると考えられています。外傷や歯科治療、外科手術、ウイルスや真菌などの感染によって発症するケースや、強いストレスを受けたあとで発症するケースなどが報告されています。
◆治療には、脳の疲労を抑え、睡眠障害を改善する目的で、抗うつ薬を用いることが多かったのですが、2012年6月、線維筋痛治療薬として初めてリリカという薬が適応承認されました。また、ホルモン補充治療や有酸素運動、温熱療法、鍼灸など、さまざまな治療が試みられ、効果を上げることもあるようです。
◆線維筋痛症は、命に関わる病気ではありませんが、つらい痛みによってQOL(生活の質)が著しく低下する病気です。なによりもまず、痛みを緩和させて、心身のストレスを減らすこと、痛みのある部分を冷やさないこと、睡眠や栄養を十分にとって体調を整えることが症状の改善につながります。理解者がいないことは患者をもっとも孤独にさせ、孤独は痛みを増幅させるため、家族も含めて病気の性質に理解をもつことも大切です。また、専門医や患者会とのつながりや、日本線維筋痛症学会のサイトなどで、最新の研究動向や有効な情報を集めていくとよいでしょう。
(監修:虎ノ門病院 内分泌代謝科医長 宮川めぐみ/2012年11月1日)
あちこちが痛い! 押すと痛む箇所がある!
体のあちこちが痛い、痛む場所が移動する、関節のこわばりや倦怠感、手足の冷え、疲労感もあらわれてきた…整形外科や内科に行っても痛みの原因がよくわからない。こんな症状が続くようであれば、もしかすると女性に多いとされる原因不明のこの病気かもしれません。
◆線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は全身性の慢性疼痛疾患です。日本線維筋痛症学会での調査では、患者数は全人口の約1.7%、約200万人以上と推定されています。女性の発症率がとても高く、男性の7倍にも上るといわれています。好発年齢は40歳以上。おもな症状は体の痛みですが、それも軽度なものから激しくうずくようなものまであり、そのほかの症状は実に多彩です。
◆全身の倦怠感、睡眠障害、気分が晴れないうつのような症状、頭痛、過敏性腸症候群のような腹痛や下痢の症状、微熱、安静時に脚などにむずむずした感覚が持続的にあらわれてじっとしていられなくなる「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」などもあります。なかでも多くの患者さんが関節の冷えやこわばり感を訴えます。
◆部分的に疼痛を感じる「限局性(げんきょくせい)線維筋痛症」の場合は、筋肉に負荷がかかったときに鋭く痛みます。おもに腱、靭帯、筋肉などの軟部組織が侵されます。そのため、日常の動作をスムーズにできなくなり、仕事や家事にも支障をきたします。
◆一方、広範囲に痛みを感じる「原発性線維筋痛症」は、倦怠感や睡眠障害などの全身性の症状を伴いやすいのが特徴です。また、顔面に痛みが生じるタイプでは、口が痛くて開けられないなどの顎関節症に似た症状があらわれます。
◆線維筋痛症の痛みには特徴があります。特定の部位を指で押すと痛みを感じる圧痛があることです。後頭部の頭蓋骨の根元辺り、首のわき、乳房の上、ひじの内側、肩、臀部などの18か所のうち、11か所以上に圧痛を感じた場合に、線維筋痛症と診断するやり方が広く使われています。
◆そのほか、血液検査やX線検査、筋電図、炎症反応を調べるCRP検査などを行い、痛みを起こす原因があるかどうかを調べます。しかしこれらは、線維筋痛症であるかどうかを調べるものではなく、あくまでもほかの疾患の可能性を排除する検査にすぎません。患者さんによって、体の圧痛点だけでは説明しきれない多くの症状がみられることがわかっており、現在は2010年にアメリカで提唱された診断基準が一応の目安となっています。
◆なぜこのような痛みが起こるのか。まだ原因は解明されていませんが、なんらかの理由で痛みを伝える中枢神経に異常が起こっていると考えられています。外傷や歯科治療、外科手術、ウイルスや真菌などの感染によって発症するケースや、強いストレスを受けたあとで発症するケースなどが報告されています。
◆治療には、脳の疲労を抑え、睡眠障害を改善する目的で、抗うつ薬を用いることが多かったのですが、2012年6月、線維筋痛治療薬として初めてリリカという薬が適応承認されました。また、ホルモン補充治療や有酸素運動、温熱療法、鍼灸など、さまざまな治療が試みられ、効果を上げることもあるようです。
◆線維筋痛症は、命に関わる病気ではありませんが、つらい痛みによってQOL(生活の質)が著しく低下する病気です。なによりもまず、痛みを緩和させて、心身のストレスを減らすこと、痛みのある部分を冷やさないこと、睡眠や栄養を十分にとって体調を整えることが症状の改善につながります。理解者がいないことは患者をもっとも孤独にさせ、孤独は痛みを増幅させるため、家族も含めて病気の性質に理解をもつことも大切です。また、専門医や患者会とのつながりや、日本線維筋痛症学会のサイトなどで、最新の研究動向や有効な情報を集めていくとよいでしょう。
(監修:虎ノ門病院 内分泌代謝科医長 宮川めぐみ/2012年11月1日)
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