2016年02月27日
φ('-'*)メモメモ テキトーな軽減税率 の記事
キャビアやフォアグラが軽減税率適用、吉野家の牛丼が適用外は、おかしくないか?
Business Journal / 2016年2月23日 6時0分
軽減税率 飲食業界
昨年末、久々に外食産業関連の記事が全国紙の1面トップを飾った。食の安全に関する不祥事でもなく、大型M&A(合併・買収)でもない。2017年4月の消費再増税時の軽減税率適用をめぐる線引きで、外食はその対象から漏れたというニュースである。いち早く軽減税率の対象として食料品・加工品が「当選」を決めた一方で、外食産業はあえなく「落選」した。
軽減税率ぶんの2パーセントは、基本的に薄利多売のファストフードやファミリーレストランにとって死活問題ともなりかねないが、不思議と業界から嘆き節は聞こえない。デフレが底を打った後、おおむね業績が上向いているがゆえの余裕かもしれないが、もっと声をあげても良いのではと感じられる。
軽減税率の線引きに関する一連の議論を眺めていると、ややお粗末な感を禁じえなかった。軽減税率の考え方は、生活困窮度が高いほど支出に占める食費の割合が高いという、「エンゲル係数」に依拠していると思われる。しかし、1月24日付日本経済新聞記事『エンゲル係数 上昇中 食費の負担、バブル期並み』によれば、食費に占める外食費の割合が増えた結果、景気が好転すればエンゲル係数はむしろ増加に転じる可能性があるとの分析で、これは人々の生活実感と合致した正鵠(せいこく)を射た分析と思われる。
●中食と外食との線引き
そもそも、外食とは何か。たとえば「中食」という言葉が定着して久しいが、中食と外食との線引きは何か。
考えてみれば、外食産業というのも不思議なネーミングだ。外食をする主体は客側だが、普通は製造業、建設業、運輸業、人材派遣業など、産業の名称は「事業者側が何を行うのか」という視点から付けられている。アメリカで外食産業を意味する言葉は「フードサービス(Foodservice)」であり、このほうがはるかにわかりやすい。外食産業とはあくまでも、「サービス業」なのである。
十数年前、中食という言葉が生まれてブームになった頃、外食と中食の線引きに知恵を絞ったことがある。サービスの学術的な定義を踏まえ、外食の定義を「調理と消費が、ほぼ同じ時間、場所において行われるもの」、中食の定義は「調理と消費が、同じ時間、場所において行われないもの」とした。少々ややこしいが、要するに中食とはテイクアウトおよびデリバリーというわけで、すこぶる単純明快である。
テイクアウトやデリバリーの利用者が生活困窮者でないのは明らかである。さらに近頃のコンビニ商品はグルメ化が著しい。注目すべきはファミリーマートで、たとえば「汁なし担々麺」など「花椒入り唐辛子」を別添えし、その風味たるや専門店の風格さえそなえる。「牛挽肉のボロネーゼ」に至っては「トリュフオイル」を別添えし、そこらのイタリア料理店も顔色を失いかねぬクオリティだ。
こういう商品を軽減税率の対象に含める一方、たとえば庶民がカウンターで肩寄せ合って食べる「吉野家」のような牛丼チェーンが軽減税率の対象外とは悪い冗談としか思えない。そして牛丼チェーンの商品をテイクアウトすれば中食なので、軽減税率の対象となる。しかし都心では現実に、けっこうな高給取りの人々が牛丼をテイクアウトし、洒落たオフィスで食べている。どうにも話が逆転しているようにしか思えない。
さらに生鮮食料品を一律に軽減税率の対象にするというのも、いかがなものか。経済的に窮している家庭であれば、おのずと共働きにもなるであろうし、そうすれば時間節約のためにスーパーの総菜や廉価な外食に頼るケースも少なくあるまい。
●売価に応じて税率を決める
では、どうすればよいのか。少々荒っぽい議論だが、内食(生鮮食料品の類)、中食、外食という区分はそれでよいとして、それぞれのカテゴリーにおける売価に応じて、税率を決めればよいのではないか。
政府の説明に従えば、トリュフやフォアグラ、キャビアは軽減税率の対象となるであろうが、こういう商品には通常以上の課税がなされて然るべきであろう。
カテゴリー分類や税率の決め方は素人の手には余るが、そういうことのできる、そしてやりたがる専門家は山ほどいる。国の仕事の第一とはまず、税の公平とその正しい使い方にあるのだから、ここで議論を惜しんではいけない。
(文=横川潤/文教大学准教授、食評論家)
(๑◔‿ ◔๑) にょほ〜
Business Journal / 2016年2月23日 6時0分
軽減税率 飲食業界
昨年末、久々に外食産業関連の記事が全国紙の1面トップを飾った。食の安全に関する不祥事でもなく、大型M&A(合併・買収)でもない。2017年4月の消費再増税時の軽減税率適用をめぐる線引きで、外食はその対象から漏れたというニュースである。いち早く軽減税率の対象として食料品・加工品が「当選」を決めた一方で、外食産業はあえなく「落選」した。
軽減税率ぶんの2パーセントは、基本的に薄利多売のファストフードやファミリーレストランにとって死活問題ともなりかねないが、不思議と業界から嘆き節は聞こえない。デフレが底を打った後、おおむね業績が上向いているがゆえの余裕かもしれないが、もっと声をあげても良いのではと感じられる。
軽減税率の線引きに関する一連の議論を眺めていると、ややお粗末な感を禁じえなかった。軽減税率の考え方は、生活困窮度が高いほど支出に占める食費の割合が高いという、「エンゲル係数」に依拠していると思われる。しかし、1月24日付日本経済新聞記事『エンゲル係数 上昇中 食費の負担、バブル期並み』によれば、食費に占める外食費の割合が増えた結果、景気が好転すればエンゲル係数はむしろ増加に転じる可能性があるとの分析で、これは人々の生活実感と合致した正鵠(せいこく)を射た分析と思われる。
●中食と外食との線引き
そもそも、外食とは何か。たとえば「中食」という言葉が定着して久しいが、中食と外食との線引きは何か。
考えてみれば、外食産業というのも不思議なネーミングだ。外食をする主体は客側だが、普通は製造業、建設業、運輸業、人材派遣業など、産業の名称は「事業者側が何を行うのか」という視点から付けられている。アメリカで外食産業を意味する言葉は「フードサービス(Foodservice)」であり、このほうがはるかにわかりやすい。外食産業とはあくまでも、「サービス業」なのである。
十数年前、中食という言葉が生まれてブームになった頃、外食と中食の線引きに知恵を絞ったことがある。サービスの学術的な定義を踏まえ、外食の定義を「調理と消費が、ほぼ同じ時間、場所において行われるもの」、中食の定義は「調理と消費が、同じ時間、場所において行われないもの」とした。少々ややこしいが、要するに中食とはテイクアウトおよびデリバリーというわけで、すこぶる単純明快である。
テイクアウトやデリバリーの利用者が生活困窮者でないのは明らかである。さらに近頃のコンビニ商品はグルメ化が著しい。注目すべきはファミリーマートで、たとえば「汁なし担々麺」など「花椒入り唐辛子」を別添えし、その風味たるや専門店の風格さえそなえる。「牛挽肉のボロネーゼ」に至っては「トリュフオイル」を別添えし、そこらのイタリア料理店も顔色を失いかねぬクオリティだ。
こういう商品を軽減税率の対象に含める一方、たとえば庶民がカウンターで肩寄せ合って食べる「吉野家」のような牛丼チェーンが軽減税率の対象外とは悪い冗談としか思えない。そして牛丼チェーンの商品をテイクアウトすれば中食なので、軽減税率の対象となる。しかし都心では現実に、けっこうな高給取りの人々が牛丼をテイクアウトし、洒落たオフィスで食べている。どうにも話が逆転しているようにしか思えない。
さらに生鮮食料品を一律に軽減税率の対象にするというのも、いかがなものか。経済的に窮している家庭であれば、おのずと共働きにもなるであろうし、そうすれば時間節約のためにスーパーの総菜や廉価な外食に頼るケースも少なくあるまい。
●売価に応じて税率を決める
では、どうすればよいのか。少々荒っぽい議論だが、内食(生鮮食料品の類)、中食、外食という区分はそれでよいとして、それぞれのカテゴリーにおける売価に応じて、税率を決めればよいのではないか。
政府の説明に従えば、トリュフやフォアグラ、キャビアは軽減税率の対象となるであろうが、こういう商品には通常以上の課税がなされて然るべきであろう。
カテゴリー分類や税率の決め方は素人の手には余るが、そういうことのできる、そしてやりたがる専門家は山ほどいる。国の仕事の第一とはまず、税の公平とその正しい使い方にあるのだから、ここで議論を惜しんではいけない。
(文=横川潤/文教大学准教授、食評論家)
(๑◔‿ ◔๑) にょほ〜
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image