生きていくためのエネルギーや栄養は食べ物として口から摂取され、吸収されずに残ったものは弁として排泄されます。 口から肛門までの消化管は、食道、胃、小腸、大腸からなり、連続する1本の長い管になっています。口の中で食べ物を咀嚼すると、唾液が分泌されます。唾液は、食べ物を柔らかくするとともに、酵素(アミラーゼ)でデンプンを分解するという機能があります。食道が筋肉を収縮させる「蠕動運動」により、食べたものを胃に送ります。胃には、「食べ物を液状化する」「小腸」(十二指腸)に送り出すまで貯蔵する「胃液に含まれる酵素(ペプシン)でタンパク質を分解する」「胃酸で病原体を殺す」などの複数の機能があります。続く小腸の最初の部分は「十二指腸」と呼ばれ、たんぱく質、デンプン、脂肪を消化する役割を担ます。小腸下部の内壁は「柔毛」と呼ばれる突起でおおわれており、消化された栄養素が吸収されますで吸収されなかったものは大腸でも吸収されなかった残骸は便となります。
高齢者の多くがピロリ菌による胃炎状態に
加齢とともに、消化管のどこにおいても、消化液分泌する細胞の数が減ったり、残った細胞の機能が低下します。また、蠕動運動を担う筋肉細胞の減少なども進んできます。。これらが食道に起きれば胸やけの原因になる「逆流性食道炎」が、胃に起きれば胃もたれや胃炎に、小腸に起これば消化や吸収の障害が、大腸に起きれば便秘や下痢などの便通障害が引き起こされることになります。
また、歯の本数や唾液の量の減少、かんだり飲んだり筋力の低下などにより、食べ物を飲み込んで胃に送る「嚥下機能」が低下することがあります。その際、食べ物や唾液が間違って肺に入ると、炎症(誤嚥性肺炎)を起こすこともあります。
こうした機能低下に加え、ピロリ菌感染に伴う高齢者の胃炎(萎縮性胃炎)も問題になっています。日本では75歳以上の約7割がピロリ菌に感染しています。ピロリ菌に感染した胃の粘膜は、「萎縮性胃炎」と呼ばれる慢性的な炎症状態を示すことが少なくありません。初期の萎縮性胃炎は自覚症状がないのですが、進行すると深刻な消化障害を起こします。また、神経や血液細胞などを健康に保つ「ビタミンB12」の吸収障害なども起きます。差sらに一部では、胃がんへと進行することがわかっています。ピロリ菌感染は、胃がんの最大の原因とされています。
感染の有無は簡単に検査でき、養成の場合は抗生物質の服用で除菌できるので,早めに検査して治療することが大切です。