近年、平均寿命と「健康寿命」とのギャップが問題になっています。
健康寿命とは、自分で立って歩いたりでき、制限のない日常生活を過ごせる年月のことを言います。
健康寿命を保つには、骨や筋肉が老化して移動に支障が出る【ロコモテイブシンドローム」という状態にな
らないことだそうです。
加齢が引き起こす骨粗しょう症と軟骨破壊
人体には約200個の骨があり、【人体を支える】【骨髄で血液細胞を作り出す】【カルシウムなどを貯蓄
くする】といった機能を果たしています。 骨といわれて普通私たちがイメージする白い骨(硬骨)には、
「骨芽細胞」という細胞が作り出した「骨細胞」が集まっています。
また、骨同士をつなぐ関節には、弾力のある軟骨を作る「軟骨細胞」があります。
骨は、「破骨細胞」が古くなった骨を破壊し、骨芽細胞が新しい骨細胞を生み出すことで、常に作り替えら
れています。中高年期に多い「骨粗しょう症」は、加齢によって骨の破壊と新生(骨リモデリング)のバラ
ンスが崩れ、破壊が新生よりも速くなることが原因である。
骨リモデリングについては研究が進んでおり、骨にかかる重力や適度な負荷が、リモデリングを正常に保つ
ことがわかっています。つまり、高齢になっても動き続けることで、骨の老化を抑制できるのです。
逆に寝たきりになると、骨の老化がさらに加速してしまいます。
軟骨は関節を円滑に動かす機能を果たしていますが、加齢に伴って擦り減ったりかけたりします。
股関節やひざ関節の軟骨破壊が進むと強い痛みが出て、立つ、しゃがむ、座るといった茶道が不自由になり
ます。
運動は筋繊維の新生を促す
筋肉は主に、体を動かす「骨格筋」と臓器を構成する「平滑筋」からなります。骨格筋の体重の約40%を
占め、体を動かす原動力となるほかに、血流を促す、熱を作りだすといった機能を担っています。
骨格筋は細い線維(筋繊維)の集合体で、線維の束が伸びたりちぢんだ利することで動きます。
けがなどで筋肉が損傷した場合、近くにある【サテライト細胞】という細胞が新たな筋線維を作り出しま
す。サテライト細胞は、運動などで筋肉に負担をかけることで増殖します。ただし、年齢を重ねると、生き
残ったサテライト細胞の数が減少し、生き残ったサテライト細胞も衰えていきます。筋肉量が減るのは、こ
ういう理由によるものです。