厚生労働省の患者調査では、患者数の統計を取り始めた1965年には、約3万3千人。ところが、2008年には約214万2000人にも達しています。
これは、病院を受診して治療を受けている患者さんの数。実際には、糖尿病と診断されていない人や診断されても治療を受けていない患者さんも多いと思われています。たとえば、2007年の厚生労働省の國人健康・栄養調査では、糖尿病が強く疑われている人が約890万人という結果に。10年前の1997年の調査と比べると1・3倍に達し、増加のペースが加速しているのがわかります。
いまや日本の国民病となっつている糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高くなる病気です。このブドウ糖の血中濃度を、血糖値と言います。
血糖値が高い高血糖状態になっても、自覚症状は全くありません。しかし、高血糖状態が長く続くと、気が付かないまま少しずつ血管が傷つけられています。 その結果、目の血管が障害されてある日突然失明したり、腎臓が障害されて人工透析が必要となるなど、重大な病気が引き起こされます。糖尿病の怖さは、この点にあります。
近年は「メタボリック・シンドローム」という言葉が一気に浸透して、生活習慣病や肥満を解消するという意識が高まってきました。 健康維持のために、食べ過ぎや運動不足の改善か必要・・・・。そのような認識が広まったのはけっこうですが、実は誤解も横行しています。たとえば脂肪の摂取です。
糖尿人が増えている原因の一つに、「食生活が欧米化して、肉などの脂肪を多く摂取するようになったこと」がよく上げられます。そのため糖尿人は、「脂肪の摂取を極力控える」ということが、金科玉条のごとく言われています。
そのほか、「うどんやそばを食べて、摂取エネルギーを抑えている」「禁酒した」などという人も多いものです。しかし、さも健康維持の一般常識のように言われているこれらは、完全なる誤解なのです。
脂肪の取り過ぎが糖尿病増加の原因とされるのが誤解であるのは、そう摂取エネルギー量に占める脂肪の割合は1975年以降、ほとんど変わっていません。1997年からは、むしろ摂取量が減少しています。一方で、糖尿病や肥満は増加し続けています。 それ以前の高度経済成長期に、脂肪の摂取が急増した時期がありました。同時に、日本人の死因トップだった脳卒中が減りはじめました。実は日本は、脂肪を十分に摂取して脳卒中を予防することで、長寿国になりました。で今は違うのです。
脂肪の摂取が非常に多いアメリカではどうでしょうか。 全米健康調査によると、1971年に約37%あった脂肪摂取の割合いは、2000年には約33%に減少しました。しかし、糖尿病や肥満は減るどころか逆に増えています。
このようなデータからも、脂肪を十分に取ることは決して悪いことではなく、糖尿病の原因とはいえないことがわかります。
脂肪が悪くないとしたら、糖尿病の原因はどこにあるのでしょうか。前述した全米健康調査に、ヒントがあります。
調査結果をまとめますと、脂質の接種率は30年間減り続けているのに、肥満は30年で倍増しています。一方で、糖尿病はわずか10年で2・5倍に。脂肪とは逆に、30年間増え続けたのは糖質でした。つまり糖尿病や肥満の元凶は、糖質の頻徊・過剰摂取と運動不足なのです。
じっさい、血糖値の上昇に直結しているのは、コメやパン、麺類など、いわゆる主食としてとる食品の主成分である糖質です。これらの中でも、特に白米や白いパンといった精製したコメや麦を使った食品は、急に血糖値を上げます。現在、これらの生成炭水化物が主流になっているのは、言うまでもありません。
近年は、日本人もあまり米を食べなくなったといわれています。逆に増えているのが、パンやラーメンです。パンはバターなどの脂質と組み合わせることが多く、ラーメンは脂っぽいスープがつきもの・・・・というように、脂と糖質が一緒になった食べ物が多く好まれています。血糖値を上げる糖質と、エネルギー量の多い脂質を同時に大量に取っているのですから、糖尿人だけでなく健康な人にとっても体にいいわけありません。/strong>
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