小学生最後の年の担任が、最初の印象だけ良い人だった。
最初の内は生徒に親身になってくれて良い人だなあと思っていたが、ある時こいつ全然そんなことないなと思った。
理科の先生が性格に難のある人で、授業の半分を先生自身の息子の自慢か、今年の生徒がいかに劣っているか、無為な話で時間をつぶす人だった。どうせ毎年言ってる。
ある時、次の授業で電池を使った実験をするのでご家庭から電池を持ってくるようにという通達を、うちのクラスにだけしなかった。
忘れていたのか意地悪か知らんが伝えなかったんだよあの人。
実験当日、他クラスが数人電池を忘れる中、他のクラスから電池が必要と聞けた数人を除いて、我がクラスは数十人が電池を忘れた。
一つのクラスだけおかしいんだから己のミスを疑えよって話だが、その発想がない理科教師は担任に苦情を入れた。
放課後、不機嫌そうな担任に居残らされ、不当な説教を受けさせられる中、優等生の一人が流石に理不尽だと事情を話そうとした。
担任は、言い訳をするなと大声で叫びながら教卓を倒した。
突然の大人の怒声と教卓が床に倒れる大きな音で、可哀そうなことに何人か泣いてしまった。
自分含めた何人かはすごく冷めてしまった。
好感度が急降下する瞬間を初めて味わった。
時間が過ぎて目の前の大人の怒りが去るのを待ち、翌日命じられた通り不承不承ながら理科教師に全員で謝罪()をして終了。
五十過ぎた良い年した大人が子供をビビらせる形で制御しようとするのはどうかと思った。
学級崩壊していてやむを得なかったならまあ分かるが、そういうことはなかった。
普通の良いクラスだったと、他のクラスの生徒や担任からお墨付きももらっていた。
最初の好感度が高かった頃、道徳の授業か昼休憩で、
その教師は本当は飛行機のパイロットになりたかったのだと言っていた。
視力が悪すぎて不可能だったので、その次になりたかった教師になったと。
当時は身体的な問題で夢が叶わなかったのは可哀相だなと思ったが、今なら叶わなくて良かったなと思う。
あいつに空の旅で操縦任せるの怖すぎる。
操縦者二人体制だっけ。だとしても。