朝起きて、窓から晴天の街を見下ろす。
雰囲気が京都の清水寺を高所から見下ろした写真に似ているが、生憎自分がいるのは京都ではない。
窓の外はこんな風景だっただろうか。
此処が何処か不安になって、現在地情報を見ようとスマホを取り出した。
時計が始業時間を一時間半過ぎた時間を示している。
ドッと嫌な汗が出る。
着信履歴を確認したが上司から電話はない。
一瞬ほっと安心したものの、すぐに不安に変わる。
確認の電話もなく、呆れて見捨てられてしまったのではないか。
会社に寝坊(したと言うと確実に怒られるので体調不良の申告)で休むと電話……すればよかったのだが、
今更電話したら何言われるやらと怖くなってそのままスマホをしまった。
現在地情報は見ていないが、外に出て辺りを散策することにした。
部屋の外は見知らぬ地下通路に通じていた。
寝坊したのは夢では? と思ってスマホを見たが、時計の時間は変わっていなかったのでまたしまった。
(ここが明晰夢にいけるかいけないかの分岐だったのでは)
どう森のロイヤルシリーズみたいな、白地に金色の模様が描いてある豪華な雰囲気の場所だった。
水色タイルで覆われた活気ある温水プールを何故か通り抜け、ロイヤルな雰囲気がまた戻ってくる。
上品なスーツやドレスを纏った人たちが行き来する広間で立ち止まる。
どうやらホテルのエントランスらしかった。
一角に小さな飾り棚があり、場違いな等身の低いフィギュアが並んでいた。
展示の札にはその作品のイベントがあった説明が載っていて、だから飾っているのかと思った。
忘れ物が混じっているので、お心当たりの方は受け付けまでお申しつけください。とも書いてあって、飾っては駄目では? と
思ったところで目が覚めた。
起きた直後は序盤が一番印象に残っていたので心臓に悪かった。
事前連絡なしに点呼不在の人は、始業時間10分経過後に上司が確認の電話するようになっている。
だから夢の中で着信なかったのが怖かった。
思い返している内に「夢だけあって非現実的だったな」となって恐怖は去った。