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2019年07月22日
ジャーナリストとは?の疑問に答える、実話映画『スポットライト 世紀のスクープ』
映画の見どころをひと言でいうと、娯楽、文化などが思い浮かびます。
しかし、この映画はもうひとつのジャンルである強い社会性を訴えた映画といえます。
社会派映画の話題作としては、『ペンタゴン・ペーパーズ』が有名ですが、この映画同様、執念のジャーナリズムがテーマ。
報道最前線の新聞社が、長く隠蔽されてきた悪に切り込むという実話がベース。実際に戦ったジャーナリストたちに思いをはせると、必ず胸のすく鑑賞感を実感できます。
なお、この映画は第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞しています。
あらすじ・物語の背景
アメリカ・ボストンの地方紙「ボストン・グローブ紙」が取り上げたのは、聞くのもおぞましい聖職者たちの性犯罪。
「スポットライト」とは、同紙の特集記事欄の名前で、編集局長以下、担当の記者たちの奮闘が描かれています。
ある神父の信者への性的虐待事件の背後には、地元カトリック教会の組織ぐるみの隠ぺい体質があったのです。
新しい編集局長マーティ(リーヴ・シュレイバー)は、4人の記者たち、マイク(マーク・ラファロ)、ウォルター(マイケル・キートン)、マット(ブライアン・ダーシー・ジェームス)そして紅一点のサーシャ(レイチェル・マクアダムス)に事件の深堀りを指示します。
しかし、地元ではカトリック教会は文字通りの聖域。タブー視される中で記者たちの勇敢な取材が始まります…。
あらすじ・映画の見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/SpotlightMovie/)
◇聖職者のスキャンダル
アメリカ人は、小さい頃からキリスト教や教会と深い関わりを持ち、その中で養われた宗教心。
神に近い聖職者の声をそのまま信じてきた長い歴史があります。
信じてきたものが深いだけに、まさか神父や教会自体に問題があるとは思いもしません。
仮に多少の疑念をもったとしても、公になることはなかったのです。
◇「知っていたけど言えなかった…」
さて、マークやサーシャが取材を進めれば進めるほど、根の深さがわかってきました。
最初は、ひとりの神父だけのことだったのが、容疑者がどんどん増えていくことに。
しかも、容疑者となった神父は教会によって担当の教区を変えられ、うやむやにされている事実を掴むのでした。
被害者と思しき人物を当たり、事件の裏を取ろうと情報を集めていくと、対象者は同じ地域に住む仕事仲間や学校の同窓生ばかり。
彼らから聞こえてくる声は、一様に「知っていたけど言えなかった…」。
◇被害者の弁護士と対決!
一方、子どもたちに性的虐待の事実があったとして、声を上げていた被害者たちもいました。
彼らの弁護を担当していたのは、ガラベディアン弁護士(スタンリー・トゥッチ)。
マイクはなんとか弁護士との接触に成功。彼が持っている虐待の被害実態を公開するように詰め寄ります。
しかし、ガラベディアン弁護士もまたカトリック教会の影響を恐れていたのです。
彼は「このことを公にした結果の責任は誰が取るんだ?」と、マイクに反発を!
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)粘り強く食い下がるマイク。
すかさず、「公にしなかった時の責任は誰が取るのか?」と、まさに社会正義を盾にとり、聞き返します。
映画の副題「世紀のスクープ」がすでにネタバレをしていますが、保身に走りとことんノーコメントを貫く教会を尻目に、ボストン・グローブ紙は一大スクープへと動く瞬間は実に見どころです。
映画が終わって最後に流れるテロップ!
これは、なんとこの世紀のスクープに刺激され、同じく摘発に踏み切った都市の一覧だったとは驚くばかりです。
感想とおすすめ度
サーシャ役を好演したレイチェル・マクアダムスがこの映画のプロモーションで来日。
日本外国特派員協会で行われた記者会見で受けたインタビューはなかなか興味深いです。
少し長いですが、あわせてご覧下さい。