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2023年02月13日

【私、コロナになりました…】中日新聞コラム

昨年11月下旬、なかなか治らない副鼻腔炎らしき症状に苦しんでいました。とにかく鼻水が黄色くて頭痛と微熱が続いていました。それに加えて喉も痛くなってきたので、往診の耳鼻科医から「念のためにコロナの検査やる?」と言われました。以前にもヘルパーさんがコロナに感染して濃厚接触者の可能性を保健所に指摘されて、ケアチームが安全に訪問できるように抗原検査を受けました。当時は当然のように陰性でした。

私は常時口に唾液を持続吸引するためのチューブが入っているのでマスクが極めて付けづらいです。また人工呼吸器をつけたALS患者の多くは発話できないため、口文字という口の形をコミュニケーションに利用するので一般的にマスクはしません。よって濃厚接触者認定されるケースがあります。

しかしながら、この濃厚接触者認定には私なりの反論ロジックがありました。第一に私は口で息をしていません。人工呼吸器が直接気道に繋がっているので口を空気は通りません。加えて人工呼吸器には強力なフィルターが備わっているため、空気中のゴミやウイルスなどをカットするとメーカーから説明を受けていました。いわば人工呼吸器のフィルターが何よりの高機能マスクというわけです。第二に私は気管切開と同時に喉頭分離手術をしています。これは気道と食道を物理的に遮断する誤嚥性肺炎防止のためです。よって息も通っていない私の口にもしウイルスが付着しても、肺には物理的に到達できないので、吸引時に排出されると考えていました。第三に私はワクチン接種を4回済ませていました。

以上の理由から、私が口にマスクをするのは科学的にあまり意味がなく自分がコロナになる可能性は限りなくゼロに近いと思っていました。ところが抗原検査で鼻と気管孔共に陽性でした。今考えても感染ルートが全くわかりません。科学的には全く理解できませんが感染してしまったという事実は変えられません。

状況は一変します。ヘルパーさんや看護師さんも当然別の患者さんがいらっしゃるので私のケアには入れません。突然ケアチームが一人もいなくなりました。もちろん妻も子供たちへの感染リスクを考えたらおいそれと近寄れません。到底在宅でケアするのは不可能でした。というわけで私には「100%コミュニケーション不能な隔離入院」という選択肢しかありませんでした。はいといいえさえ通じない、ひと言もコミュニケーション取れない環境で一週間入院しました。ただ心臓を動かし続けるためだけの日々でした。

軽症者は自宅待機などと言われますが、私のような病気の場合は待機困難です。解決策は難しいですがこんな人もいることを知ってください。一週間コミュニケーションを絶たれたら人は廃人になります。私は戻るのに10日以上かかりました。

恩田聖敬

http://blog.livedoor.jp/onda0510/archives/39313582.html?fbclid=IwAR1aT-8Fw0_7NhktIYG2QsowikPwf8MhJb89o4GhhJZpAu-x8_hE33XnjvA
posted by tiryousyoku at 19:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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