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2021年08月10日

白血病のJリーガー「病名公表」するまでの苦悩

検査の結果、両親のかすかな望みもかなわず、急性白血病だと正式に診断が下されて、5月30日からは本格的な治療が幕を開けることになった。

これを受けて、両親と姉、弟の家族全員が見舞いに来てくれた。そして、今後について僕は家族と話し合った。

おもに僕と両親での会話が多く、その横で弟は、椅子に座りながら、いつものように黙って携帯電話をいじっていた。

当時、中学2年生の弟は思春期のまっただなかで、仲が悪かったわけではないが、どこか僕に対してよそよそしさがあった。

だが、両親との話の内容が僕の今後のことについて及んだとき、弟は携帯電話をいじりながらも聞き耳を立てているように見えた。

「俺、サッカー選手を続けていいかどうか、正直迷っているんだ」

僕がこのとき抱いていた本音を両親にぶつけたときだった。母が「もちろん史哉の気持ちが大事だし、今は治療に専念したほうがいいよ」と答えると、弟が口を開いた。

「俺は……サッカーをしている姿をもう一度見てみたいな」

驚いた。弟は誰に話しかけるでもなく、ボソッとそうつぶやいたのだった。そのあとは変わらない表情で携帯電話をいじり続けていた。

この言葉は僕の心に響いた。普段あまり会話をしない弟が僕にぶつけてくれた本音だと思った。弟は僕の後を追うようにサッカーをしていた。プレーもそうだが、Jリーグや日本代表、海外サッカーがものすごく好きで、アルビレックスの試合もよく観に行っていたし、当然、僕がプロとしてプレーしている姿を観に来てくれていた。

言葉は交わさずとも、僕を兄として、サッカー選手として尊敬してくれていることは十分に伝わっていた。だからこそ、彼の一言は僕のなかにものすごく刺さった。

「俺はもう一度頑張らないといけないな」

このとき、僕は弟から大きな勇気をもらった。

https://toyokeizai.net/articles/-/398112?fbclid=IwAR0qYeUfQs2N5-uqRiXUr4GLbZjfPD7OeJmwGDsVFeQxcBROuC41hvHs6XI
posted by tiryousyoku at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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