東京都品川区西品川1丁目の東急大井町線下神明駅で4日午後2時15分ごろ、同区内の男性(71)がホームから線路に転落し、電車にはねられ、死亡した。警視庁によると、男性は目が不自由で、家族の話などから、男性が誤って線路に転落したとみて調べている。
荏原署によると、男性がホーム上で携帯電話で通話した後、1人で線路に沿うように歩き、よろめくように転落する様子が防犯カメラに映っていた。転落した直後、溝の口駅発大井町駅行きの普通電車にはねられた。男性は視覚障害1級の認定を受けており、署の調べに対して男性の家族は、男性が過去にも線路に落ちたことがあったと話しているという。白杖(はくじょう)を使う日もあったが、現場にはなかったという。
東急電鉄によると、同駅にはホームドアは設置されていないが、2019年度下期の設置を計画している。この事故で同線の上下線計44本が運休し、約1万1600人に影響が出た。
ログイン前の続き相次ぐ視覚障害者のホーム転落事故
視覚障害者がホームから転落し、死亡する事故は相次いでいる。
東京メトロ銀座線青山一丁目駅(東京都港区)では2016年8月、盲導犬を連れた会社員の男性(55)がホームから転落して死亡。同年10月には近鉄大阪線河内国分(かわちこくぶ)駅(大阪府柏原市)で男性(40)が特急電車にひかれて亡くなった。JR京浜東北線蕨駅(埼玉県蕨市)でも17年1月、盲導犬を連れたマッサージ師の男性(63)が列車と接触して死亡した。JR東日本はその後、京浜東北線のホームドア設置計画を前倒しし、19年度までに蕨駅などにホームドアを作ると発表した。
17年10月にはJR阪和線富木駅(大阪府高石市)で白杖(はくじょう)をついていた男性(59)が転落し、快速電車にはねられて亡くなり、同年12月にも阪急京都線上新庄駅(大阪市東淀川区)で薬剤師の女性(89)が線路に転落し、回送電車にはねられ死亡している。
国土交通省によると、電車との接触を含む視覚障害者のホーム転落事故は10〜17年度の8年間で計620件。国交省は、乗降客1日3千人以上の駅にホームドアや点字ブロックの設置を呼びかけているが、全国約9500駅のうち、ホームドアの設置は725駅(18年3月時点)。18年度は駅のバリアフリー化に約60億円の予算をつけ、1日10万人以上の利用駅(266駅)へのホームドアの優先的な設置を求めて費用の3分の1を上限に補助金を出しているが、ドア位置の違う電車の乗り入れで設置が難しい駅もあり、101駅にとどまっているという。
2018年9月5日 朝日新聞
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