障害がある人たちを対象にした料理教室が各地で開かれている。体が不自由でも使える調理道具や手軽に作れるレシピも。料理は無理だと諦めていた人も自信を深め、リハビリ効果も期待できそうだ。
横浜市の障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」では社会福祉法人が市の補助金を受け、「バリアフリークッキング」を二カ月ごとに開いている。ある日のメニューはタラのホイル焼き、長芋の煮物、セロリの浅漬け、みそ汁、デザートにいちご大福と本格的だ。肢体不自由や聴覚、視覚、知的などの障害がある二十〜八十代の男女十四人が参加した。
まな板の表面にはくぎが出ており、野菜などを刺して固定。食材が転がらないようにすることで、片手で切ったり、皮をむいたりすることが可能だ。他にも「瓶を引き出しに挟めば、両手を使わずにふたを開けられる」といったアイデアも。
レシピはなるべく手間を省いている。ホイル焼きは、魚と野菜を包んでフライパンに乗せるだけ。途中でひっくり返したり、調味料を加えたりする必要もない。浅漬けは、一人がセロリと塩昆布、すし酢が入ったポリ袋を持ち、別の人がもみ込むなど、和気あいあいと取り組んだ。
日高大紀(だいき)さん(43)は三年前に交通事故で左腕が動かなくなった。気力も湧かず、好きだった料理をやめてしまったが、一年前から教室に参加。「同居の親が高齢なので、自活できるようになりたい」と話す。
教室を主催する社会福祉法人の川嵜さおりさん(53)は「料理なんて無理だと諦めたり、周りも『危ないから…』と止めたりするが、レシピや調理道具の工夫次第でできるようになる。事故や病気の後遺症で落ち込んでいた人も、自信を取り戻している」という。
障害のある子どもを持つ母親らでつくる一般社団法人「からふる」(埼玉県川口市)は、絵画教室やセミナーのほかに、十年前から発達障害などの子どもと親を対象とした料理教室を開いている。ミートオムレツや手まりずしなどを小学生らが作っている。
肢体不自由な子はオーブンでパンが膨らむのを見て知らせたり、皿洗いが好きな子はぴかぴかに磨いたりと、それぞれの役割に真剣に取り組む。
発達障害の人は決まった手順があると安心するため、毎回「レッツ、クッキング!」の合言葉で料理を始め、手を洗う際に同じ歌を歌うなどの工夫をしている。
和洋女子大の高木憲司准教授(障害福祉学)は、障害がある人が料理をする意義について「包丁や火を使う作業では五感を働かせるため、脳や身体に刺激が与えられ、リハビリ効果も期待できる」としている。
2018年8月21日 東京新聞
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image