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2018年08月06日

相模原殺傷2年 「違い認め合える社会に」

相模原殺傷2年 「違い認め合える社会に」佐々木桃子氏

伝えたいこと 東京都手をつなぐ育成会理事長

 息子が3歳の時に重度の自閉症であることがわかった。養護学校などに通い、卒業後は生活介護施設で小物を作るといった活動をしながら、平日はグループホームで暮らし、週末を自宅で共に過ごす生活を10年ほど続けている。

 事件直前の2016年4月には、障害者への差別を禁じ配慮を求める障害者差別解消法が施行されたばかり。本来障害者に寄り添うべき施設の元職員による犯行と知り、衝撃を受けた。ご遺族の意見を最も尊重すべきだが、被害者が一律に匿名で報道されたことにも、一人の人間として扱われていないようで若干の疑問を感じた。

 報道を見る限り、施設職員による障害者への虐待は後を絶たない。知的障害者も感情や意思を持つ人間だ。尊厳を持って接してもらえない現実に「事件前と何も変わっていないのではないか」と憤りを感じている。

 事件後、インターネットなどで植松聖被告(28)=殺人罪などで起訴=に賛同し、擁護するような書き込みが散見される。しかし、書き込む人の多くは実際に知的障害者と接したことがないのではないか。誤った情報が広がり、障害者をおとしめる空気がまん延しないかと不安を感じている。

 私も息子が幼い頃は障害に関する知識がなく、病気のように治るとさえ思っていた。良い悪いではなく、まずは知的障害者を知ってほしい。行政には交流の機会をもっとつくってほしい。

 他人を差別する心は誰にでも多少はあるだろう。しかし「いなくなればいい」というのは絶対に間違っている。価値のない人間はいない。他者との「違い」を認め合える社会になってほしいと願っている。

ささき・ももこ 2016年5月から、知的障害のある子供の親、家族らでつくる「東京都手をつなぐ育成会」の理事長を務める。

 相模原市の障害者施設で入所者19人が刺殺された事件から26日で2年。今、社会に伝えたいメッセージを聞いた。

2018/7/25     日本経済新聞
posted by tiryousyoku at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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