治療食レシピ

もう十年位前に出会った元大学教授だった方90代の利用者さんがいらした。
その方にお会いする時は、緊張感があった。
いつもボソボソとぼやく。そのぼやき一言一言は、時間が濃密に思えた。
「今は、夜も朝も分からない。目が悪くて同じ明るさに見える。娘から惚けたんじゃないの？なんて言われる。否定するのも面倒だから放っておいている。今は、老いぼれ。これでも現役の時は慕われていた。今はこんなんだけど。でも幸せだよ。生きているから」
「人を教えるなんて本当は出来ないんだよ。何で教育が出来るかというと、自己肯定感しかないよ。自分が教育者なんて思っている人間がいたとしたらおごりだな。」
この方のぼやきは一言が重かった。
どう感じるかは、相手次第とも言っていた。
「貴方と合えたのも必然なんだよ。上から見れば分かる。」ともおっしゃっていた。
エッ上から見たら分かる。
上から見えるの？それとも冗談。
そんなこともどちらでも良い。会えて良かったと言いたかったのだろう。