染色体の末端にあるテロメアは生物の老化や寿命に関係しているといわれている。しかし実際、テロメアを人為的に長くしたら生物の寿命は延びるのか? 思いもかけない不具合が出るようなことはないのか? スペインの研究者らがマウス実験を行ったところ、長いテロメアを持ったマウスの寿命は約13%長くなったうえ、老化も遅くなったというのである。科学ニュースメディア「Big Think」(10月22日付)が報じた。 テロメアは染色体の末端に存在し、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなっていき、やがて摩耗しきってしまうと細胞を死に至らしめる、例えていうなら時限爆弾のようなものだ。そのため、テロメアが長いほど寿命は長くなり、老化するスピードも遅くなると考えられており、アンチエイジング研究のターゲットとしても注目されている。 今月17日付でオンラインジャーナル「Nature Communications」に掲載された論文によると、スペイン国立がんセンターの科学者らは、マウスのES細胞を繰り返し培養して通常より30〜40%長い「超長テロメア」を持つ胚細胞を作成し、キメラマウスを生み出したという。なお興味深いことに、ここまでの過程に遺伝子組み換え技術は使われていないそうだ。 そうして生まれた超長テロメアマウスを、生涯にわたって観察し続けたところ、平均寿命は12.75%長くなり、体つきはスリムで、がんを発症する確率は低く、老化スピードも遅くなっていたという。血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の量が少ないほか、代謝能力も良く、老化しても細胞内のDNAの損傷は少なかった。 寿命が延びるだけでなく、健康でスリムかつ老化も遅い――これだけ良いことずくめなら、何らかの恐ろしい代償があるのでは……とつい考えてしまうものだが、今回の実験ではこれといった不都合は見つからなかったという。超長テロメアはまさにいいことずくめと言えるのである。 今回の結果はあくまでマウス実験の結果であり、そのまま人間に当てはめるのは早計だ。とはいえ、もし今後の研究でも大きなデメリットが見つからなければ、当然人間への応用が考えられる。健康に長生きできるよう、生まれてくる子供たちには超長テロメアを“プレゼント”することが当たり前……そんな時代が来るかもしれない。
https://tocana.jp/2019/10/post_120429_entry.html
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長寿人類の時代です。健康寿命を保ちましょう!
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