今回は初心者だけではなく、ステップアップする際に悩む登山リュックの容量の選び方を解説します。
実際お店で実物を比較しながらある程度判断できると思いますが、近年人気のWEBレンタルでは基礎的な知識や基準がないと検討できないですよね。
基本的に装備の総量で決まりますが、「その差はなんなんだ⁈」という疑問にお答えします。
もくじ
@登山リュックの容量の種類
A容量を選ぶ基準はこれだ!
・〜15リットル
・20〜25リットル
・30〜35リットル
・40〜45リットル
・50〜55リットル
・60リットル〜
BULというスタイルの注意点
Cまとめ
@登山リュックの容量の種類
登山リュックのサイズの選び方は大きく3つあります。
〇バックレングス(背面長)
〇ジェンダー(性別)
〇容量
バックレングスとは、リュックのバックパネルの長さを指し、使用者の第七頸骨から腰骨の最上部までの長さを測定しフィッティングします。体格差によるより良いフィット感を得る選び方です。
S・M・Lといったサイズ固定のものや、バックパネルにサイズ調整機能があり、それぞれ調整するモデルがあります。
※実際メジャーで測った長さに対して、フィッティング段階では3〜5センチほど幅があり、最終的には
ベルト調整でサイズ確認します。
ジェンダーは、バックレングスに更にショルダーハーネスとヒップベルトの形状を男女の骨格の違いを反映してより背負い心地を向上させるための選び方です。
快適なフィット感を得るためにショルダーハーネスの形状やつけ方、ヒップベルトの長さや角度が各メーカーの研究により開発されいます。
容量は装備の総量に合わせて選びますが、メーカーによって表示と見た目が大きく変わります。
これが悩みの大きな原因です!
30リットルの表示でも、メーカの違いで見た目が1.5倍ほど差があるように見えることもしばしばです。
近年は、構造計算して容量表示をしているそうなのですが、メインコンパートメント(本体)のみで30リットルなのか、サイドポケットやトップリッドを最大にした合計で30リットルなのか、メーカーは明らかにしていません。
そのため、最終的には実物を見て、触って、広げてみないと判断ができませんが、今回は製品表示をベースに解説します。
容量の種類は、基本5リットルピッチで
10、15、20、25、30、35、…100
と表示されているメーカーがほとんどですが、一部メーカーでは、
32、34、36、38、44…
のような表示をしています。
これは、ジェンダー分けしているメーカーに多く、レディスモデルのほうがバックレングスが短いためバックパネル自体が小さくなります。そのためメンズと同等の機種なのでですが、計算上2〜3リットル小さく表示されます。
また、同様にバックレングスの影響で、SサイズとLサイズでは同表示でも詳細設定2〜3リットル差があります。※メーカーのHPカタログに表記されていることがあります。
したがって、私の容量の目安としては、5リットルピッチを基順に3捨4入で設定します。
例)32リットル≒30リットル、48リットル≒45リットル
A容量を選ぶ基準はこれだ!
容量を選ぶ基準ですが、原則として以下の2点です。
@コース別( 難易度)基本装備の総量
A山飯スタイル
@基本装備としては、
・コース別に大きく差が出ないもの
レインウェア、タオル、ヘッドランプ、エマージェンシーセット
・コース別で影響の出るもの
飲料水、行動食、防寒着、宿泊装備(テント、シュラフ、マット)、着替え
安全確保器具(ヘルメット、カラビナ、ロープ、スリングなど)、特別装備(登攀装備、雪山装備)
趣味アイテム(カメラ、コーヒー、お酒など)
以上の2グループがありますが、今回は、ざっくり夏季登山で「A.日帰り」「B .テント泊(ツェルト除く)」「C.山小屋泊(避難小屋除く)」
の3パターンの登山コースを想定したものを基本装備量とします。
「A. 日帰り」…レインウェア、タオル、ヘッドランプ、エマージェンシーセット
昼食、行動食、飲料水
「B.テント泊」…テント、シュラフ、マット、着替え、がAに追加されます
「C.山小屋泊」…着替え、がAに追加されます
A山飯スタイルは2パターン。
「@自炊しない」…弁当持参
「A自炊する」…自炊道具、食材を準備
以上の5つの要素を組み合わせて自分のスタイルに合ったリュックの容量を選びます。
〜15リットル:A+@ 推定必要水分量1〜1.5リットル
登山コースとしては、日帰り、短時間(2〜3時間程度)。またはトレラン的なハイキング
20〜25リットル:A+@ 推定必要水分量1〜1.5リットル
登山コースとしては、日帰り、4〜6時間
30〜35リットル:A+A、C+@ 推定必要水分量1.5〜3リットル
登山コースとしては、日帰り4〜8時間、自炊道具と食材も携帯する
山小屋泊の場合は、初日昼食は弁当、小屋では1泊2食(夕飯と翌朝朝食or弁当)
40〜45リットル:C+@、C+A 推定必要水分量2リットル以上
登山コースとしては山小屋泊(1泊夕飯のみ)、他食事は自炊
または、山小屋泊(2泊4食)、他食事は小屋で購入
50〜55リットル:B+A、C+A 推定必要水分量3リットル以上(不足分は水場で補給)
登山コースとしては、テント泊(1泊)、食事はすべて自炊
または山小屋泊(2〜3泊)、食事はすべて自炊
60リットル〜:B+A、C+A 推定必要水分量4リットル以上(不足分は水場で補給)
登山コースとしては、テント泊(2泊〜)、食事はすべて自炊
または、山小屋泊(3泊〜)、食事はすべて自炊
もうお気付きかと思いますが
私のリュック容量の最後の決め手は食事装備です!
この中で、初心者が一つで日帰りから宿泊まで汎用性の高いリュックの購入を検討するなら、30〜35リットルがおすすめです。
BULというスタイルの注意点
近年UL(ウルトラライト)スタイルの登山がインスタなどで取り上げられています。
確かに登山において軽さは神ですが、
軽装と軽量は全く違う!
ということを覚えていただきたい。
軽装とは、必要な装備を自己判断で削ること
軽量とは、必要な装備の重量を軽くすること
同じULスタイルに見えて、軽装は大きなリスクを背負います。
自己の経験と照らし合わせて、必要最小限の装備で臨む為、登山IQが高くない初心者の方の軽装はある意味危険行為です。
またULスタイルだから体力は必要ない、という考え方も疑問があります。
登山には必要な基礎体力(特に脚力)というものがあります。
さすがこれは無視できません。
本来のULはそれぞれのアイテムを吟味して軽量化する、どちらかといえば経験者のテクニックです。
以上を踏まえて、初心者の方は安易にULスタイル(特に軽装スタイル)を選択しない方がいい
という個人的見解です。
Cまとめ
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
登山において最初はそんなに無理はしない、なんて思っていても
その魅力にはまると、使う道具が変わっていきます。
特に顕著なのが登山リュックです。
活動領域の変化に合わせて、容量及び背負い心地の良さを追求するようになります。
今回は、イチバン相談される適正な容量の解説でした。
皆さんの検討する一助となれば幸いです。
それでは、安心装備でクラムオーーーン!