レオーネ・アバッキオ（ジョジョの奇妙な冒険）: ヒトコト～人名書房～

2018年12月12日

レオーネ・アバッキオ（ジョジョの奇妙な冒険）

『過去の再生師』

レオーネ・アバッキオは高校を卒業すると、警官になった。
それは純粋に正義感からの動機であった。
だが、憧れの警官になって間もなく、アバッキオはこの仕事に大いなる矛盾に気付き始めた。
警官は命を賭けて人々を守る。しかし同時にその命を賭けて奉仕しているはずの大衆が自分たち警官の目を
誤魔化して、盗みをやったり、車の人身事故で逃げたり、パトカーの窓を石で割ったりする。
「ああ～～！」
「ばあさん！」スクーターに乗った二人組にひったくられる。
「大丈夫ですか！」（アバッキオ
「ちょっとあんた！警官じゃろ！」
彼らは恩知らずで要求がましく、警官はなにをやってると、無責任に批判し悪口をたたく。
警官たちがくそにも劣る悪党を命がけで捕まえても、大衆のための法律は金さえ積めば、
そいつらを寛大に保釈してしまう。

「てまかけさせんなよ」
「わりい」
「まあ、しゃーねって」（保釈される犯罪者
やがてアバッキオは、この矛盾に学び始めた。

「ねえ～、おまわりさん～見逃してくださいよ～あの女の子は父親が借金していましてね、
金が必要なんすよ、誰も困るわけじゃねーし、」
「ねえーまーだ？客待たしてるんだけど」（娘
「わーってるよ！」
札をもった手が軽くアバッキオの手をたたく。
（オレがこいつらを逮捕したとしても保釈金を払って出てくるだけだ。金を払うのが、
オレへか、裁判所か、弁護士かへの違いだけだ。）
「へへ、熱心な人だ。旦那。あんたは熱心な警官ですよ」

ある夜、強盗が商店を襲っているという通報が入った。
「動くな！逮捕する！」（アバッキオ
「うう！うははは、やああ、あんたかー、」
「オレ、飛んだとじふんじまったな」
「頭を打ちぬかれている」
「なあ、みなかったことにしてくんねーか？見逃してくれよ～あんたには迷惑はかけねーからよー」
「だめだ。逮捕する」
「なあ、よく考えてみろーオレを逮捕したらあんたがわいろを受け取っていることもばれちまうんだぜ～」
「んん」（アバッキオ
「その銃あぶねーからむけねーでくれよー」
「アバッキオ！そいつ銃をもっている！」（同僚が撃たれる
「いでええ！いてーよ、くそおおお！」
同僚が死んでいる。その真実に絶叫するアバッキオ

アバッキオの未来はそこで終わった。
彼は汚職警官として罰を受けただけでなく、
自分の行動が原因で、相棒を死なせるという降ろすことのできない、十字架を背負い、
そして彼は、身も心も、暗黒に落ちていった。
どこでだれが死のうが、たとえ自分の手足がなくなろうが、心は動かないだろう。

酒を浴びるように飲んでいるアバッキオ
「アバッキオだな」（ブチャラティ