2018年12月10日
石田隼司(石田さんち)
『石田家の末っ子』
『一癖アリ』
・(うーわ、ここまでマヨネーズかけるのか。なんだよそれ)
(さっきね、マヨネーズで炒めてたよ)
「うそ?たらねえんだな きっとマヨネーズが」
(隼司特別のオムレツ。な?)
(お前、性格は悪いけど顔はいいぜ。だから黙ってりゃジャニーズいける。しゃべった途端に奈落の底におっこちゃう)
「しゃべんねえジャニーズなんていねえよ」
(いるよ、しゃべんねえやつ中に。三列目のやつ。絶対しゃべんねえから。ニコニコしてるだけ)
「三列目でやってけっていうのかよ」
(そりゃそうだよ)
(いいじゃん 三列目だって)笑い交じり
夏休みの宿題を見る芽衣子さんはそれはもう厳しかったもんです。
口パクでカメラに向かって、悪口を言っている身体動作を行う隼司。
ゴン!その衝撃と共に隼司の頭に衝撃が走る。
「はい書いて!マジくそ書いて隼司。隼司早く書いて。はい隼司かわいいね。マジくそかわいいね隼司。」
今度はしっぺ。
「ああああ!」
「はい、隼司書こうね。痛い」
・(隼司いい?このパンツさ、チェリーじゃん)
「知らねえ、母ちゃんが買ってきた」
(お母さん買ってきたの?)
「うん」
(そうなんだ。すごいハイセンスな・・・・)
「俺のことまだチェリーボーイだと思ってんの?」
(違うの逆に?)
「ん?」
(違うの逆に?)
「俺、茨城県の歩く自主規制って言われてんだぞ」
{これ絶対のせるなよ。」
(お前、吉本いけよ。美容師 無理!)
「母ちゃんは?」
中学に進むと、あのかわいらしさはどこへやら。
「黒いピンふたつ、あっ、ひとつでいい!ついてっぺよ下に!」
(ついてないよ鞄に。あーあった。お前教科書も何も入ってないの?ガッコへ何しに行ってんの?)
「遊び」
(やめてよね)
「なんでそんなに取るんだよ、一個で十分だっていったのに。いいよもう渡せよ。金玉野郎」
(だから〜!)
「わかったらいいよ、いってこいよ早く!」
(もううるさいな〜)
「ピーつけといて。」
・「えっ。そんなもん?」
「でもさカットうまいよね」
「美容師に向いてんだろうね」
・(学科むずいな。)
「むずいだろ?」
・「じゃあお前ら一曲も歌うなよ。」
(なんで?)
「え?」
友人たちはみんな就職してるんです。たまの息抜きならいいけど、喉ばっかり鍛えても国家試験には受からないぞ。
・「国家試験だよ!国家試験だよ問題は!」
(うん)
「それは、大丈夫なのか?」
(えっ 相当やばいよ。実技が何とかなったとしても頭だよな。カラっと、一日でケロッと忘れちゃんだよな)
「勉強したことを?」
(スポンジのように吸収は早いんだけど、やっぱり押されると全部出ていっちゃうんだよね)
(小学校からずーっとロクな勉強をしてないから、勉強の仕方がわからないわけ)
・「母ちゃんは?」
中学に進むと、あのかわいらしさはどこへやら。
「黒いピンふたつ、あっ、ひとつでいい!ついてっぺよ下に!」
(ついてないよ鞄に。あーあった。お前教科書も何も入ってないの?学校へ何しに行ってんの?)
「遊び」
(やめてよね)
「なんでそんなに取るんだよ、一個で十分だっていったのに。いいよもう渡せよ。金玉野郎」
(だから〜!)
「わかったらいいよ、いってこいよ早く!」
(もううるさいな〜)
「ピーつけといて。」
・「学校どうなの?続けられそうなの?」
(わかんない)
「進級はできそうなの?」
(きつい)
「マジ?進級できなかったらどうすんの?」
(やめる)
「やめんの?」
(うん)
「やめて何か決めてるの?」
(仕事する)
「美容師がどうのこうのってのはないの?」
(ない)
「ないんだ」
・(ごはん冷たくなるよ隼司。ほら、隼司。うんじゃない、早く動け。隼司動けよほら〜」
「うるせえ、死ねてめえクズ。さわってんじゃねえぼけ。」
(はやくして)
「死ね、黙れ」
(隼司、動けって)
「話しかけんな、話しかけんな」
(話しかけんなじゃないよ、だったら動けよ}
「話しかけんな」
『だから、取ってんじゃねえ〜〜!おい、取ってんじゃねえつってんのがわかんねえのか?わかってんのかつってんだよバカ!わかってんのかつってんだよ!」
「ほっせ、お前体重いくつだよ」
「40キロ・・・」
「40!?」
「48・・・47キロ」
「47キロ!張りが違う。」
孝之君の妻が小料理をもってきたが、妻の洋子さんを強くにらみつける。
「母ちゃん飲み物。」
「あんじゃん」
「それは違う」
「学校どうなの?」
「でもさ、学校は卒業したくない?」
「ぶっちゃけどうでもいい。」
「面倒くさい 本当にそこが俺はもう。関わってほしくない。」
「電話かけてほしくない?」
うん。
「朝 ネクタイどこ?何どこ?とか俺の気が着替えどこだって言っても関わってほしくない?」
「うん」
「あっちに友達いるのよ」
「ん?」眉をぴんとあげる。「マジで?あいさつしてこないと。」
「なんで いいからマジ。なんで寝てるからマジで」ズボンのすそで行くのを防ぐ。
「お兄さんとして・・・」
「この人止めて」
「お兄さんとして・・俺知ってる?俺うざいっていわれんの。」
「わかったからうざいからはい。」
「あいさつ・・しねえと」
「だからいいってば。」
「女じゃねえだろうな?」
「女じゃねえよ男だよな?」
「逆に女だったら 俺気聞かせて入らないようにしないと」
「じゃあ女」
「じゃあ隼司、俺ら行っていい?」
バカじゃないの?
「パンツだけ見ていい?」
「パンツだけじゃないから男だから」
「色だけ、色、色」
「母ちゃん!男だよな?」
「おめえ、関わってほしくないって言ってたのに母ちゃんって。」
「いやいや、じゃあこれ最後。ねえ男だよな」
「そう」
「ほら」
「トイレ貸してほしかったんだけど」
「ねえから はやくいけよ。バカじゃねえの。」
「違う。ハンサムだって聞いたからどれだけハンサムなのか」
「ハンサム・・・」
「あ、どうも」
「バカ、!わかったよ、お前は!」
「いつもお兄ちゃんって抱き着いてたじゃん」
「お兄ちゃんじゃないから早く!」
「お兄ちゃんでしょうよ」
「待って、早くあっちいけ。じゃあね」
「専門学校って一番最後の年は暇になったりするの?
「なるわけないじゃん。就職だよ。」
「大学はだいたい一番最後の年は暇なんだよ。だめだよ、お前、カネもらっていかせてもらってるんだから。」
「二年の夏休みまでには就職が決まってないと、結構まずい。」
「隼司、今日こそは友達の家で夜更かしして帰ってくんなよ。」
「明日学校なのに夜遅くに帰ってこれねえよ。お切らんねえよ」
「お前たまにいいこと言うな」
「だって、俺学校の日、よる9時にねてっからね。」
「学校何時までにいくの?」
「9時20分。」
「ちゃんとそれまでにいってるの?」
「行ってるよ。」
「珍しい。」
「朝いつも駅のホームでダッシュしてる。」
「なんか心境の変化はあったの?隼司的には。」
「えへへ、答えずらー。つーかさ。その道・・・つーか。なんか恥ずかしいな。いやテレビがあるから。」
「いや普通に」
「でもまあ普通にさ、そういう道でやるって決めたから成功したくね?」
「なるほど」
「なるほどじゃねえよ お前 心がこもってねえ「なるほど」言ってんなよ」
「成功したいってこと?」
「金持ちになりたいでしょ?なりたいでしょ?」
「そうだね」
「なりたいでしょ?なりたいでしょ?」
「お金持ちになりたい?」
「もてたいでしょ?もてたいでしょ?もてたい。」
「だから・・・」
「女の子の髪の毛さわりたいでしょ?」
「それは・・・微妙かな。そうでもないかな、だから頑張ってるんだ」
少し笑みを浮かべている隼司。
「自分なりにね。でも頑張ってたらテストとか受かるんだけどな。はははは」
「あれ俺何年だっけ?」
「知らねえよ」
「199...6年だ。」
国家試験の前に美容室での就職活動。履歴書ちゃんと書けるのか。
「これ、漢字なんて読むの?」
「弊社」
「だから本社ってことでしょ?」
「違う「その会社の」って意味だね」
「お店や規模が多くて、じんみゃくってどう描くの?人に脈?が、が広がるから。」
あれでも隼司意外と漢字かけるんだね。
「かけるよ。でも、代々木上原のこと佐々木上原って呼んでた」
「おはよう」
「おはよう」
なんだかぐっと引き締まった顔。すでに髪形もばっちり整っていました。面接に備えて新しいジャケットも用意していたんです。
「なんかかっこいいじゃん。買ったの?」
「買った」
「これを長時間はちょっときつくない?」
「オモッ!」これなにはいってるの?ちょっと見せて。」
おおー富江。この日は実技試験も予定されています。
「じゃあ行ってまいる」
「うん、いってらっしゃい。ハンカチは?」
「ない」
常総市がすさまじい豪雨に襲われるまで、あとひと月半。家族が家を追われることになるなんて。向かったのは佐々木上原じゃありませんよ。
「筆記用具って書いてあったからやっぱメモ帳必要だよね?」
「必要だよ、持ってきてないの?」
「忘れた。うわっちょっと緊張してきた」
「じゃあ、隼司がんばれよ。」
「うん」
家から二時間半かけてたどり着いたのは、都内にある王手美容室チェーン。試験は五時間に及びました。
「おつかれ」
「おつかれ」
「どうだった?」
「いや、もうめっちゃ緊張した。実技なんてもうプルプル」
「今日の出来を100点満点で言うと何点?」
「60点」
「自信はあるの?」
「自信は・・・・ちょっと・・・・ちょっとね」
「ばあちゃん家、こえーんだけど。」
「なんで?」
「頭の上に人形いるしさ。俺、寝たの三時過ぎだよ怖くて。何それ、いい歳した人が。」
あたまの上に人形?隼司どうだった昨日?
「怖かった」
「お人形こっちもってきちゃっとけばよかったでしょ?」
これか。
「これおばあちゃんの大事なお人形さんなの。」
「どんだけこえーんだよ。」
「どこが怖いの。雨ふったらもっとすごいよここ。」
「ふじさんの葬儀とか言って、あんなお見せられたらねれねえよ。」
親戚だよ隼司。
「マジで。こっちに背を向けたらあれがあって怖いじゃん。こっち向いたらあのばあさんも死んでるんだもん。こえーじゃん。三時ぐらいまで寝れなかったから本当に。しまいには電気つけて寝てやったよ。」
見た目のわりにはよえーな隼司。
「お前さ、お化けには何やっても勝てねえからな」
「こいつがマジこえーよ本当に。オブねえよ そいつ。でさ、こっち向かないようにあっち向くじゃん。あっちにも人形あるの知ってる?白い人形。あれがこえーんだよ。本当にあれ怖くね?マジで。特にあれがこえーよな。あのおだ、あのへんな奴。線香あげるやつ。」
あっ仏壇?仏壇はどこの家にもあるよ。
あんなのと一緒にねれねーよ。
以外に怖がりの隼司君我が家を恋しがっていました。
今実家がああいう感じになったわけじゃない?(心センターをくすぐる、質問に答えさせる質問をしている)(過去についての質問が大好物)
うん。
どう感じるの?
最初壊すって言ってたじゃん。壊すって言ってたよね?
言ってた。
だから、はあー?と思った。
やっぱ言えなくなるのはちょっと寂しい?
ばあちゃんちに住むんだったら嫌だな。あっちの方がよくね?俺はね、あっちのほうがいい。
実家の良さとかって何かあるの?
良さ?だからそういうのはよくわかんないけどあそこがいい。遊び終わった後も、あそこの道を通って、あそこの家に帰りたい。そこら辺の道を通ってここに帰りたくはない。
詩人だ。
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音もなく現れたのは末っ子の隼司君です。
「あ、この匂いは隼司だ」
「やべー」
さっすがにおいだけでわかっちゃうんだ。
「チョー混んでる」
わざわざ駆け付けた隼司君。。実は美容師二年目にして、仕事の悩みを抱えていました。
末っ子の悩みについては孝之君も気にかけていた様子。
「ま、隼司あれなん?仕事順調なの?」
「赤飯あるよ、赤飯」
「よくはないね。」
「(美容師を)やっていけそうなの?」
「やってけなそう」
「次は考えてるの?」
「今 いろいろ考えながらやってる」
やめるとかやめないとか、聞き捨てならないやり取りです。美容師を続けることへの迷いは以前から口にしていました。やはりちゃんと聞いておかなければ。
「ちょちょちょちょ、しめんのはえーよ」
「多分下の階、下の階です、間違ってます」
ギャグはここまで。事態は深刻そうです。
「どうするのこの先?」
だから今、悩んでるんでしょうよ。そんなのわかんねーから今悩んでんのに、どうすんのって聞いてもわかるわけねえだろ。
仕事を止めたいと言い出した隼司君。これは一大事とアパートを訪ねました。
あ?懐かしいフルーツ柄の派手なパンツ。しみじみ見上げる先には、「自分に必要な金は自分の働きの中で恵まれるものである」いったいどんな人のためのカレンダーだ?
「結局仕事ってこれからどうするか決めたの?」
「え?」
「仕事どうすんの?」
「辞める」
もう決めたの
「うん」
まあ、ほかの仕事もやってみようかなみたいな。
せっかく資格とったのに。
「そういう社会が嫌い。せっかく資格とったのに」っていう社会がきらい。じゃああなたたちはちゃんと真っ当に生きてるんですか?全部やったことちゃんとやり遂げてますか?」資格とったものちゃんと活用できてますか?全て。(資格に束縛される人生が嫌だ)
「いや、ちょっと・・・」
でしょ?
もったいないとか思わない?
「今は思わないね。辞めてみてもったいないと思うんじゃない?だってさ止めようとして・・・なんでもそうだよね。じゃあさ、例えば、この漫画を買うまではもったいないと思わないでしょ?買った後にもったいないとおもうわけじゃん。買う前からもったいないと思う人なんているの?それと一緒だよ。辞めてみないと後悔するかもしないかもわかんないでしょ?」
俺すげー騙されてる気がするな。それほんとかなー。
「ほんとだよ。」
社会人二年生。共感する若者は多いかも。私たちは覚えています。隼司君が実家を出たあの日のこと。
危ぶまれていた美容師試験に合格し、東京に向かう隼司君に音雄ちゃんが渡した手紙。そこには忍の一字がありました。
「忍びってなに?」
「しのびじゃない。しのぶだ。」
「お前、忍だぞ。お前「忍」だからな。」
耐えてしのべと教えるのが親の常なら、自由に生きようと奮い立つのは子供の常。ふたつの思いは線路のようにどこまでも交わることはないのでしょうか。
働き始めた隼司君。意外なくらい一生懸命でした。たちまちシャンプーの使命まで入るようになったのに。
「力加減大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「はぁい」
「試し中ですか?」
「私わりと、ちりちりにかけていただく・・・今まで30年いっていたところはね、」
「ああ、はい」
「でもこの辺ってすごく若い方用のストレート・・・」
あの頃はこう言ってました。
「せめて・・・せめて、三年は続けないと」
まだ二年目じゃないか。
美容師をやめたい。でもやめて何をやりたいか、自分でもわからない。隼司君は迷いをお父ちゃんにぶつけました。
「はい、すいませんね、じゃあ、お願いします。じゃあどうも。はいー」
「おお隼司、初めまして。」
「充電器ある?」
「初めまして」
「はいはい」
「もう一回 あがいてみるか 地元に帰るか 今迷ってんだよ」
「ま、あれでしょ?方向はまだ定まってねえんだよな?」
「うん、まあまだ若いから、あがいてもいいかなっと思ったんだけど。」
こんなとき親は自分の経験を基準として答えるものです。
「ただ残念なのは、 美容を目指したのに そこから離れること志なかばじゃなくて、志、ほんの入り口でこけちゃってる なんでよ 俺なんかこけたくても こけられなかったぜ」
「子供いたからだよ」
「俺は本当は会社を辞めたかった でも辞めて(家族が)路頭に迷ったら大変だから しょうがなく 会社 我慢していた 会社我慢していたら気が変わった ついでだ最後までいちまえっつって。そういう風になっちまった。
お前ら9人外(社会)に行くのに金なんぼ使ったと・・・・」
「億 いったっぺ」
「もうね、もうその金全部パーだよ。」
「億 いったっぺ」
「億はいってねーよ」
「芽衣子が一番金がかかった」
「嘘だ。」
「私立の大学だから」
「700万くらい?」
「そのくらいかかってる」
「4年間で」
「うん」
「じゃあ5000万くらいいってっぺ 俺多分 500マンくらいか」
「お前はそんなにかかってない」
「嘘?でも俺遊びにいっぱい使ってから多分1000万は越えてると思う」
「なにが一番かと言うとうちはね、独立心というかね、自分が一番が一番と言うかね、まず自分のことをちゃんとしないといけないっていうのが、孝之も智広も和ひろもみんなある。芽衣子もある。モトキもあるし。」
「俺はねーよ。」
「ねーよな。お前は難しい。(仕事に)入り込めねーんだもん。」
「そうだよ、入り込めねーんだよ。」
「なんで入り込めねーんの?」
「人生を真剣に生きてないから。」
「嘘〜ちゃんとしろよ」
「ちゃんとできねーよ」
なんで?
「じゃあオレ 田舎帰ろうかな」
「お前ここで田舎帰ろうかなとかいうなよ」
「じゃあーねー」
「まあがんばってな。」
「うん、じゃーな」
「ちゃんと判断してや」
好天に恵まれた家族旅行の朝。
おはようございます。
「なにも食べてない。 お風呂洗おうかなって思って。」
美佐子おばあちゃんの家には前日から隼司君が止まりに来ていました。
「隼司起こさなくちゃ。起きてない 起こしてないから 隼司 朝だよ」
そういえば隼司君は筋金入りの朝寝坊。取材は人海戦術。先代澤本ディレクターも出動です。
「あと5分ね」
「うん」
「シャワーあびんの?」
「うん」
シャワーあびんの?」
「うん」
「あと30分だよ」
「大丈夫だよ 違うよ だって八時40分の電車でしょ?」
「違う 出るの先に!車おかなきゃなんないから」
「すぐそこにおける」
「お願いね」
「守谷駅なら大丈夫。俺の庭だから」
そのころお父ちゃんは最寄り駅に向かっていました。
美容師をやめる決断したのはいいけれど、身の振り方をまだ決めかねている隼司君。お父ちゃんにはそんな生き方はやっぱり理解できません。
「あれ、もう出勤したのか」
「してんだよ」
「もうしてる」
「だから切り返しが、やめました。次行きました。タイミングが良かったんだよな。ほんとにこれはもうタイミングが良かった。運だよな。」
「ほんとにそう」
「それがうまくいくかはどうかはそれはわからないけどな。」
「ほんとにそれ ほんとにそれはおっしゃる通り」
「でも進むしかねえからな」
「そうだね そうだね」
「でもその進むって気持ちが おれは大事だと思うよ」
転職したゆうじ君を引き合いに出して、奮起を促します。
「自分で決めたんだよ ゆうじは で決めたんだよ 自分で どうなるかわかんねえんだけど だからお前もはやく決めたほうがいいでって まだまだね、まだまだチャンスはいっぱいあんだから 50 60なってからチャンスなんてねえんだぜ?」
「うん、間違いないね」
「まあ おめえ五十 六十なってねえからわかんねえかもしんねえけど。なった人しかわかんねえんだけども。」
「瀬戸内寂聴も言ってるわ「できないことはない」って」
「うん できないことはないんだよ。60からも80からも、 できることねえんだよ。そのためには自分で気持ちを奮い立たせなきゃいけないんだけど 中途半端じゃだめだぜ?っていってんだよ 60だろうが90だろうが、できないことはないっつって、その裏付けがあるんだけど、お前にはどこにあんの裏付け?」
「なんもねえ」
「だろ?それじゃだめなんだよ。「お前なんかあんの?」って言ったら「俺はこうだ!」って言えないとだめなんだよ 世の中ってね自分でね判断できないことがねいろいろと渦巻いててね、自分で思ってないことがねいろんなことが起きるの。そんなの自分で判断できないの。」
『一癖アリ』
子どもの心に風邪をひかせない子育て 7男2女一家11人の大家族石田さんチ 価格:1,080円 |
・(うーわ、ここまでマヨネーズかけるのか。なんだよそれ)
(さっきね、マヨネーズで炒めてたよ)
「うそ?たらねえんだな きっとマヨネーズが」
(隼司特別のオムレツ。な?)
(お前、性格は悪いけど顔はいいぜ。だから黙ってりゃジャニーズいける。しゃべった途端に奈落の底におっこちゃう)
「しゃべんねえジャニーズなんていねえよ」
(いるよ、しゃべんねえやつ中に。三列目のやつ。絶対しゃべんねえから。ニコニコしてるだけ)
「三列目でやってけっていうのかよ」
(そりゃそうだよ)
(いいじゃん 三列目だって)笑い交じり
夏休みの宿題を見る芽衣子さんはそれはもう厳しかったもんです。
口パクでカメラに向かって、悪口を言っている身体動作を行う隼司。
ゴン!その衝撃と共に隼司の頭に衝撃が走る。
「はい書いて!マジくそ書いて隼司。隼司早く書いて。はい隼司かわいいね。マジくそかわいいね隼司。」
今度はしっぺ。
「ああああ!」
「はい、隼司書こうね。痛い」
・(隼司いい?このパンツさ、チェリーじゃん)
「知らねえ、母ちゃんが買ってきた」
(お母さん買ってきたの?)
「うん」
(そうなんだ。すごいハイセンスな・・・・)
「俺のことまだチェリーボーイだと思ってんの?」
(違うの逆に?)
「ん?」
(違うの逆に?)
「俺、茨城県の歩く自主規制って言われてんだぞ」
{これ絶対のせるなよ。」
(お前、吉本いけよ。美容師 無理!)
「母ちゃんは?」
中学に進むと、あのかわいらしさはどこへやら。
「黒いピンふたつ、あっ、ひとつでいい!ついてっぺよ下に!」
(ついてないよ鞄に。あーあった。お前教科書も何も入ってないの?ガッコへ何しに行ってんの?)
「遊び」
(やめてよね)
「なんでそんなに取るんだよ、一個で十分だっていったのに。いいよもう渡せよ。金玉野郎」
(だから〜!)
「わかったらいいよ、いってこいよ早く!」
(もううるさいな〜)
「ピーつけといて。」
・「えっ。そんなもん?」
「でもさカットうまいよね」
「美容師に向いてんだろうね」
・(学科むずいな。)
「むずいだろ?」
・「じゃあお前ら一曲も歌うなよ。」
(なんで?)
「え?」
友人たちはみんな就職してるんです。たまの息抜きならいいけど、喉ばっかり鍛えても国家試験には受からないぞ。
・「国家試験だよ!国家試験だよ問題は!」
(うん)
「それは、大丈夫なのか?」
(えっ 相当やばいよ。実技が何とかなったとしても頭だよな。カラっと、一日でケロッと忘れちゃんだよな)
「勉強したことを?」
(スポンジのように吸収は早いんだけど、やっぱり押されると全部出ていっちゃうんだよね)
(小学校からずーっとロクな勉強をしてないから、勉強の仕方がわからないわけ)
・「母ちゃんは?」
中学に進むと、あのかわいらしさはどこへやら。
「黒いピンふたつ、あっ、ひとつでいい!ついてっぺよ下に!」
(ついてないよ鞄に。あーあった。お前教科書も何も入ってないの?学校へ何しに行ってんの?)
「遊び」
(やめてよね)
「なんでそんなに取るんだよ、一個で十分だっていったのに。いいよもう渡せよ。金玉野郎」
(だから〜!)
「わかったらいいよ、いってこいよ早く!」
(もううるさいな〜)
「ピーつけといて。」
・「学校どうなの?続けられそうなの?」
(わかんない)
「進級はできそうなの?」
(きつい)
「マジ?進級できなかったらどうすんの?」
(やめる)
「やめんの?」
(うん)
「やめて何か決めてるの?」
(仕事する)
「美容師がどうのこうのってのはないの?」
(ない)
「ないんだ」
・(ごはん冷たくなるよ隼司。ほら、隼司。うんじゃない、早く動け。隼司動けよほら〜」
「うるせえ、死ねてめえクズ。さわってんじゃねえぼけ。」
(はやくして)
「死ね、黙れ」
(隼司、動けって)
「話しかけんな、話しかけんな」
(話しかけんなじゃないよ、だったら動けよ}
「話しかけんな」
『だから、取ってんじゃねえ〜〜!おい、取ってんじゃねえつってんのがわかんねえのか?わかってんのかつってんだよバカ!わかってんのかつってんだよ!」
「ほっせ、お前体重いくつだよ」
「40キロ・・・」
「40!?」
「48・・・47キロ」
「47キロ!張りが違う。」
孝之君の妻が小料理をもってきたが、妻の洋子さんを強くにらみつける。
「母ちゃん飲み物。」
「あんじゃん」
「それは違う」
「学校どうなの?」
「でもさ、学校は卒業したくない?」
「ぶっちゃけどうでもいい。」
「面倒くさい 本当にそこが俺はもう。関わってほしくない。」
「電話かけてほしくない?」
うん。
「朝 ネクタイどこ?何どこ?とか俺の気が着替えどこだって言っても関わってほしくない?」
「うん」
「あっちに友達いるのよ」
「ん?」眉をぴんとあげる。「マジで?あいさつしてこないと。」
「なんで いいからマジ。なんで寝てるからマジで」ズボンのすそで行くのを防ぐ。
「お兄さんとして・・・」
「この人止めて」
「お兄さんとして・・俺知ってる?俺うざいっていわれんの。」
「わかったからうざいからはい。」
「あいさつ・・しねえと」
「だからいいってば。」
「女じゃねえだろうな?」
「女じゃねえよ男だよな?」
「逆に女だったら 俺気聞かせて入らないようにしないと」
「じゃあ女」
「じゃあ隼司、俺ら行っていい?」
バカじゃないの?
「パンツだけ見ていい?」
「パンツだけじゃないから男だから」
「色だけ、色、色」
「母ちゃん!男だよな?」
「おめえ、関わってほしくないって言ってたのに母ちゃんって。」
「いやいや、じゃあこれ最後。ねえ男だよな」
「そう」
「ほら」
「トイレ貸してほしかったんだけど」
「ねえから はやくいけよ。バカじゃねえの。」
「違う。ハンサムだって聞いたからどれだけハンサムなのか」
「ハンサム・・・」
「あ、どうも」
「バカ、!わかったよ、お前は!」
「いつもお兄ちゃんって抱き着いてたじゃん」
「お兄ちゃんじゃないから早く!」
「お兄ちゃんでしょうよ」
「待って、早くあっちいけ。じゃあね」
「専門学校って一番最後の年は暇になったりするの?
「なるわけないじゃん。就職だよ。」
「大学はだいたい一番最後の年は暇なんだよ。だめだよ、お前、カネもらっていかせてもらってるんだから。」
「二年の夏休みまでには就職が決まってないと、結構まずい。」
「隼司、今日こそは友達の家で夜更かしして帰ってくんなよ。」
「明日学校なのに夜遅くに帰ってこれねえよ。お切らんねえよ」
「お前たまにいいこと言うな」
「だって、俺学校の日、よる9時にねてっからね。」
「学校何時までにいくの?」
「9時20分。」
「ちゃんとそれまでにいってるの?」
「行ってるよ。」
「珍しい。」
「朝いつも駅のホームでダッシュしてる。」
「なんか心境の変化はあったの?隼司的には。」
「えへへ、答えずらー。つーかさ。その道・・・つーか。なんか恥ずかしいな。いやテレビがあるから。」
「いや普通に」
「でもまあ普通にさ、そういう道でやるって決めたから成功したくね?」
「なるほど」
「なるほどじゃねえよ お前 心がこもってねえ「なるほど」言ってんなよ」
「成功したいってこと?」
「金持ちになりたいでしょ?なりたいでしょ?」
「そうだね」
「なりたいでしょ?なりたいでしょ?」
「お金持ちになりたい?」
「もてたいでしょ?もてたいでしょ?もてたい。」
「だから・・・」
「女の子の髪の毛さわりたいでしょ?」
「それは・・・微妙かな。そうでもないかな、だから頑張ってるんだ」
少し笑みを浮かべている隼司。
「自分なりにね。でも頑張ってたらテストとか受かるんだけどな。はははは」
「あれ俺何年だっけ?」
「知らねえよ」
「199...6年だ。」
国家試験の前に美容室での就職活動。履歴書ちゃんと書けるのか。
「これ、漢字なんて読むの?」
「弊社」
「だから本社ってことでしょ?」
「違う「その会社の」って意味だね」
「お店や規模が多くて、じんみゃくってどう描くの?人に脈?が、が広がるから。」
あれでも隼司意外と漢字かけるんだね。
「かけるよ。でも、代々木上原のこと佐々木上原って呼んでた」
「おはよう」
「おはよう」
なんだかぐっと引き締まった顔。すでに髪形もばっちり整っていました。面接に備えて新しいジャケットも用意していたんです。
「なんかかっこいいじゃん。買ったの?」
「買った」
「これを長時間はちょっときつくない?」
「オモッ!」これなにはいってるの?ちょっと見せて。」
おおー富江。この日は実技試験も予定されています。
「じゃあ行ってまいる」
「うん、いってらっしゃい。ハンカチは?」
「ない」
常総市がすさまじい豪雨に襲われるまで、あとひと月半。家族が家を追われることになるなんて。向かったのは佐々木上原じゃありませんよ。
「筆記用具って書いてあったからやっぱメモ帳必要だよね?」
「必要だよ、持ってきてないの?」
「忘れた。うわっちょっと緊張してきた」
「じゃあ、隼司がんばれよ。」
「うん」
家から二時間半かけてたどり着いたのは、都内にある王手美容室チェーン。試験は五時間に及びました。
「おつかれ」
「おつかれ」
「どうだった?」
「いや、もうめっちゃ緊張した。実技なんてもうプルプル」
「今日の出来を100点満点で言うと何点?」
「60点」
「自信はあるの?」
「自信は・・・・ちょっと・・・・ちょっとね」
「ばあちゃん家、こえーんだけど。」
「なんで?」
「頭の上に人形いるしさ。俺、寝たの三時過ぎだよ怖くて。何それ、いい歳した人が。」
あたまの上に人形?隼司どうだった昨日?
「怖かった」
「お人形こっちもってきちゃっとけばよかったでしょ?」
これか。
「これおばあちゃんの大事なお人形さんなの。」
「どんだけこえーんだよ。」
「どこが怖いの。雨ふったらもっとすごいよここ。」
「ふじさんの葬儀とか言って、あんなお見せられたらねれねえよ。」
親戚だよ隼司。
「マジで。こっちに背を向けたらあれがあって怖いじゃん。こっち向いたらあのばあさんも死んでるんだもん。こえーじゃん。三時ぐらいまで寝れなかったから本当に。しまいには電気つけて寝てやったよ。」
見た目のわりにはよえーな隼司。
「お前さ、お化けには何やっても勝てねえからな」
「こいつがマジこえーよ本当に。オブねえよ そいつ。でさ、こっち向かないようにあっち向くじゃん。あっちにも人形あるの知ってる?白い人形。あれがこえーんだよ。本当にあれ怖くね?マジで。特にあれがこえーよな。あのおだ、あのへんな奴。線香あげるやつ。」
あっ仏壇?仏壇はどこの家にもあるよ。
あんなのと一緒にねれねーよ。
以外に怖がりの隼司君我が家を恋しがっていました。
今実家がああいう感じになったわけじゃない?(心センターをくすぐる、質問に答えさせる質問をしている)(過去についての質問が大好物)
うん。
どう感じるの?
最初壊すって言ってたじゃん。壊すって言ってたよね?
言ってた。
だから、はあー?と思った。
やっぱ言えなくなるのはちょっと寂しい?
ばあちゃんちに住むんだったら嫌だな。あっちの方がよくね?俺はね、あっちのほうがいい。
実家の良さとかって何かあるの?
良さ?だからそういうのはよくわかんないけどあそこがいい。遊び終わった後も、あそこの道を通って、あそこの家に帰りたい。そこら辺の道を通ってここに帰りたくはない。
詩人だ。
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音もなく現れたのは末っ子の隼司君です。
「あ、この匂いは隼司だ」
「やべー」
さっすがにおいだけでわかっちゃうんだ。
「チョー混んでる」
わざわざ駆け付けた隼司君。。実は美容師二年目にして、仕事の悩みを抱えていました。
末っ子の悩みについては孝之君も気にかけていた様子。
「ま、隼司あれなん?仕事順調なの?」
「赤飯あるよ、赤飯」
「よくはないね。」
「(美容師を)やっていけそうなの?」
「やってけなそう」
「次は考えてるの?」
「今 いろいろ考えながらやってる」
やめるとかやめないとか、聞き捨てならないやり取りです。美容師を続けることへの迷いは以前から口にしていました。やはりちゃんと聞いておかなければ。
「ちょちょちょちょ、しめんのはえーよ」
「多分下の階、下の階です、間違ってます」
ギャグはここまで。事態は深刻そうです。
「どうするのこの先?」
だから今、悩んでるんでしょうよ。そんなのわかんねーから今悩んでんのに、どうすんのって聞いてもわかるわけねえだろ。
仕事を止めたいと言い出した隼司君。これは一大事とアパートを訪ねました。
あ?懐かしいフルーツ柄の派手なパンツ。しみじみ見上げる先には、「自分に必要な金は自分の働きの中で恵まれるものである」いったいどんな人のためのカレンダーだ?
「結局仕事ってこれからどうするか決めたの?」
「え?」
「仕事どうすんの?」
「辞める」
もう決めたの
「うん」
まあ、ほかの仕事もやってみようかなみたいな。
せっかく資格とったのに。
「そういう社会が嫌い。せっかく資格とったのに」っていう社会がきらい。じゃああなたたちはちゃんと真っ当に生きてるんですか?全部やったことちゃんとやり遂げてますか?」資格とったものちゃんと活用できてますか?全て。(資格に束縛される人生が嫌だ)
「いや、ちょっと・・・」
でしょ?
もったいないとか思わない?
「今は思わないね。辞めてみてもったいないと思うんじゃない?だってさ止めようとして・・・なんでもそうだよね。じゃあさ、例えば、この漫画を買うまではもったいないと思わないでしょ?買った後にもったいないとおもうわけじゃん。買う前からもったいないと思う人なんているの?それと一緒だよ。辞めてみないと後悔するかもしないかもわかんないでしょ?」
俺すげー騙されてる気がするな。それほんとかなー。
「ほんとだよ。」
社会人二年生。共感する若者は多いかも。私たちは覚えています。隼司君が実家を出たあの日のこと。
危ぶまれていた美容師試験に合格し、東京に向かう隼司君に音雄ちゃんが渡した手紙。そこには忍の一字がありました。
「忍びってなに?」
「しのびじゃない。しのぶだ。」
「お前、忍だぞ。お前「忍」だからな。」
耐えてしのべと教えるのが親の常なら、自由に生きようと奮い立つのは子供の常。ふたつの思いは線路のようにどこまでも交わることはないのでしょうか。
働き始めた隼司君。意外なくらい一生懸命でした。たちまちシャンプーの使命まで入るようになったのに。
「力加減大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「はぁい」
「試し中ですか?」
「私わりと、ちりちりにかけていただく・・・今まで30年いっていたところはね、」
「ああ、はい」
「でもこの辺ってすごく若い方用のストレート・・・」
あの頃はこう言ってました。
「せめて・・・せめて、三年は続けないと」
まだ二年目じゃないか。
美容師をやめたい。でもやめて何をやりたいか、自分でもわからない。隼司君は迷いをお父ちゃんにぶつけました。
「はい、すいませんね、じゃあ、お願いします。じゃあどうも。はいー」
「おお隼司、初めまして。」
「充電器ある?」
「初めまして」
「はいはい」
「もう一回 あがいてみるか 地元に帰るか 今迷ってんだよ」
「ま、あれでしょ?方向はまだ定まってねえんだよな?」
「うん、まあまだ若いから、あがいてもいいかなっと思ったんだけど。」
こんなとき親は自分の経験を基準として答えるものです。
「ただ残念なのは、 美容を目指したのに そこから離れること志なかばじゃなくて、志、ほんの入り口でこけちゃってる なんでよ 俺なんかこけたくても こけられなかったぜ」
「子供いたからだよ」
「俺は本当は会社を辞めたかった でも辞めて(家族が)路頭に迷ったら大変だから しょうがなく 会社 我慢していた 会社我慢していたら気が変わった ついでだ最後までいちまえっつって。そういう風になっちまった。
お前ら9人外(社会)に行くのに金なんぼ使ったと・・・・」
「億 いったっぺ」
「もうね、もうその金全部パーだよ。」
「億 いったっぺ」
「億はいってねーよ」
「芽衣子が一番金がかかった」
「嘘だ。」
「私立の大学だから」
「700万くらい?」
「そのくらいかかってる」
「4年間で」
「うん」
「じゃあ5000万くらいいってっぺ 俺多分 500マンくらいか」
「お前はそんなにかかってない」
「嘘?でも俺遊びにいっぱい使ってから多分1000万は越えてると思う」
「なにが一番かと言うとうちはね、独立心というかね、自分が一番が一番と言うかね、まず自分のことをちゃんとしないといけないっていうのが、孝之も智広も和ひろもみんなある。芽衣子もある。モトキもあるし。」
「俺はねーよ。」
「ねーよな。お前は難しい。(仕事に)入り込めねーんだもん。」
「そうだよ、入り込めねーんだよ。」
「なんで入り込めねーんの?」
「人生を真剣に生きてないから。」
「嘘〜ちゃんとしろよ」
「ちゃんとできねーよ」
なんで?
「じゃあオレ 田舎帰ろうかな」
「お前ここで田舎帰ろうかなとかいうなよ」
「じゃあーねー」
「まあがんばってな。」
「うん、じゃーな」
「ちゃんと判断してや」
好天に恵まれた家族旅行の朝。
おはようございます。
「なにも食べてない。 お風呂洗おうかなって思って。」
美佐子おばあちゃんの家には前日から隼司君が止まりに来ていました。
「隼司起こさなくちゃ。起きてない 起こしてないから 隼司 朝だよ」
そういえば隼司君は筋金入りの朝寝坊。取材は人海戦術。先代澤本ディレクターも出動です。
「あと5分ね」
「うん」
「シャワーあびんの?」
「うん」
シャワーあびんの?」
「うん」
「あと30分だよ」
「大丈夫だよ 違うよ だって八時40分の電車でしょ?」
「違う 出るの先に!車おかなきゃなんないから」
「すぐそこにおける」
「お願いね」
「守谷駅なら大丈夫。俺の庭だから」
そのころお父ちゃんは最寄り駅に向かっていました。
美容師をやめる決断したのはいいけれど、身の振り方をまだ決めかねている隼司君。お父ちゃんにはそんな生き方はやっぱり理解できません。
「あれ、もう出勤したのか」
「してんだよ」
「もうしてる」
「だから切り返しが、やめました。次行きました。タイミングが良かったんだよな。ほんとにこれはもうタイミングが良かった。運だよな。」
「ほんとにそう」
「それがうまくいくかはどうかはそれはわからないけどな。」
「ほんとにそれ ほんとにそれはおっしゃる通り」
「でも進むしかねえからな」
「そうだね そうだね」
「でもその進むって気持ちが おれは大事だと思うよ」
転職したゆうじ君を引き合いに出して、奮起を促します。
「自分で決めたんだよ ゆうじは で決めたんだよ 自分で どうなるかわかんねえんだけど だからお前もはやく決めたほうがいいでって まだまだね、まだまだチャンスはいっぱいあんだから 50 60なってからチャンスなんてねえんだぜ?」
「うん、間違いないね」
「まあ おめえ五十 六十なってねえからわかんねえかもしんねえけど。なった人しかわかんねえんだけども。」
「瀬戸内寂聴も言ってるわ「できないことはない」って」
「うん できないことはないんだよ。60からも80からも、 できることねえんだよ。そのためには自分で気持ちを奮い立たせなきゃいけないんだけど 中途半端じゃだめだぜ?っていってんだよ 60だろうが90だろうが、できないことはないっつって、その裏付けがあるんだけど、お前にはどこにあんの裏付け?」
「なんもねえ」
「だろ?それじゃだめなんだよ。「お前なんかあんの?」って言ったら「俺はこうだ!」って言えないとだめなんだよ 世の中ってね自分でね判断できないことがねいろいろと渦巻いててね、自分で思ってないことがねいろんなことが起きるの。そんなの自分で判断できないの。」
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