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2015年05月10日

そう言えば「拳闘暗黒伝(拳奴死闘伝)セスタス」 技来静也



 そう言えば、ヤングアニマルという雑誌に載っているけどあまり掲載されない『セスタス』という歴史・拳闘マンガがあります。筆は遅いのだけど、このマンガは良作です。
 第一部が「拳闘暗黒伝セスタス」第二部が「拳奴死闘伝セスタス」となっていて、今は第二部の途中です。








 このマンガの魅力は大きく二つの要素があります。

 一つは、拳闘の原型のような闘いにおける実践的な理論が突き詰められていること。主人公のセスタスは拳奴(興行の古代ボクシングをする奴隷)で、少年期よりザファルという師匠から拳闘の手ほどきを受けていた。ザファルの指導はリアリスティックで、理論だっている。
 彼の教えをみるみるうち内に吸収してゆくセスタスは、その拳闘の腕で稼いでゆき自分を買い戻して、自由を獲得しようと考えるようになる。
 こうした、ザファルによるセスタスの指導の中に見える拳闘の技術、実践の理論が、このマンガの一つの魅力です。

 もう一つは、繊細な歴史描写です。このマンガの舞台は帝政ローマ期ですが、その歴史描写が読者にアピールするものになっている。
 これは、ただ単に「良く調べられている」というだけのものではありません。もちろん良く調べられてもいるのでしょうが、その調べられた歴史資料から人々の心や生活を想像させるようにマンガにしているから、魅力的な歴史世界観構築されているのでしょう。
 作中では皇帝ネロやアグリッピーナなどといった為政者から、ポンペイの富豪、辺境の民族、奴隷に至るまで、細かくドラマを散りばめて、緻密に作品世界を構築している。これは緻密な歴史考察のなせる業のように思います。
 繰り返しますが、おおよそ歴史考察はイマジネーションによって構築されるものです。資料や文献を調べる歴史考察にはなりません。資料や文献が物語に活かされるためには、資料や文献を基に歴史的想像力をめいいっぱい働かさなければならない。また、作者に歴史的想像力があってこそ、読者はその想像力に喚起されて歴史を想像できるというわけです。そういう魅力が、このマンガの大きな土台になっているように思います。






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