2018年08月27日
お前にマラリア
今年の夏は異常に暑い。先日いったんおさまったかに見えた暑さがここにきてまた復活した。8月も終わりに近づいたが、今朝の天気予報によると、どうやらまだまだこの猛暑はおさまる気配がなさそうだ。私の住んでいる地域では、今日も外気温は35℃近くまで昇っている。たまらない。こうも暑いとさすがの蚊も弱って活動できなくなると聞いた。言われてみればたしかに、今年の夏はあまり蚊に刺されていないような気もするが、この時期、蚊といえば思い出す歌がある。
沖田浩之の「お前にマラリア」である。
しかしマラリアってあなた・・・
こんな曲名をつけるなんて、マラリアが人類50万年の敵だと知ってのことかしら・・・
やれコンプライアンスだ何だと、どんどん表現の自由が狭められていっているような気がする昨今では、もうちょっとありえないかもしれんという感じの攻めの効いたタイトルの曲だが、気がつけばもう35年も前に世に出た歌である。いかに昭和という時代が自由と寛容の時代であったかを改めて痛感させられるわけなのだが、それにしてもどうなのこのおもいっきり制作費削られてる感じの「お前にマラリア」のレコードジャケットは!まるでうちの近所の個人スーパーのチラシである。
「お前にマラリア」のレコードジャケット(Googleの画像検索結果先へリンクします)
少し調べてみたところによると、「お前にマラリア」は、オリコン最高位80位以下、売上枚数0.7万枚と数字的にはまるで振るっていない。元竹の子族だとか、金八先生のドラマではちょっと悪カッコいい役で人気を博したりと、沖田浩之のデビューは今思い返してもなかなか華々しいものであったし、その後も随所でそれなりに存在感を示していたと思うのだが、思いのほかレコードは売れていなかったようだ。たしかに「ザ・ベストテン」など歌のランキング番組でお目にかかることはほどんどなかった気がするが、正直ここまでとは思っていなかった。「お前にマラリア」のリリースは1983年。次作として同年に、当時大人気アニメだった「キャプテン翼」関連のシングルを出しているが、意外なことにこれも不発だった模様。(エンディングテーマの「冬のライオン」はなにげに名曲だったと思うのだが)そして翌84年には、デビューからわずか3年足らずで早くも歌手活動にピリオドを打ち、俳優業の方へと本格転身している。数字的なことだけで追うと、彼の歌手としてのピーク期間はデビュー曲の「E気持」を頂点に、一年ももたずして終焉を迎えていたようだ。たしかに彼の歌は♪アハハンおほほん♪(おほほんはないな)と、ヒットを飛ばすにはいささかハードル高めの、ちょっとセクシーでキワモノ的な曲が多かった気がするが、この人には他のアイドルとは一線を画すような個性とルックス的な魅力があったし、なにより声が艶っぽくてよかった。そう思うとこの歌手としてのあまりに早い上がりはなんだかもったいなかったような気もする。
あのやっつけ仕事臭プンプンのチープなデザインのレコードジャケットから類推するに、「お前にマラリア」をリリースするころには、彼自身も周囲もすでに歌の方にはある程度見切りをつけていたのかもしれないなどと今さらながら思ったりもするが、だけどこの「お前にマラリア」、けして悪くない曲だったと思うんである。
音楽のジャンルだとかリズムの種別的なことはあまり詳しくないので、こういう感じの曲がなんというジャンルの音楽にあてはまるのかよくわからないのだけれども、曲調的には、中森明菜の「TATOO」の遠い親戚みたいな感じの曲である。古き良き時代の音楽というか…。ロカビリーっぽいとでもいうのかな。
「お前にアツアツ」とか「赤道直下のアイラブユー」だとか、歌詞は十二分に”昭和”なのだが、聞いているうちに言い知れぬ中毒性を伴ってくるというか、思わず繰り返し聴きたくなってしまう魅力がある。特にこの暑い時期にはぴったりである。
「お前にマラリア」もかなりインパクトがあったが、沖田浩之といえば思い出すのが、いがぐり頭でバラエティ番組のお色気どっきりにまんまとひっかかっていた姿と、あと、宇野千代さんのエッセイに登場する彼の姿だ。そのころの沖田浩之は、20歳以上も年の離れたある女優さんと恋仲なのでは?とかなり噂になっていたが、その女優さんとなかよしだったという宇野さんのもとに、その渦中の二人がともに連れ立って訪ねてきた時の話がそのエッセイ本に書かれているのだ。そのとき沖田浩之は、まだ二十歳そこそこの青年だったらしいのだが、そんな若者にはめずらしく彼は(私の記憶が正しければたしか)白地の着物姿といういでたちでさっそうと現れ、宇野さんを驚かせたのだという。それはそれは水も滴るようないい男ぶりだったらしく、Y(女優さんの名前)でなくとも私がほれてまうわ!的なことが書かれていて、もうずいぶん前に読んだ本だけれども、この話の部分だけがやたら印象に残っている。たしかに沖田浩之はタッパもあったし、江戸のちょいワルな遊び人役が似合いそうな和テイストのきりっとした顔立ちをしていたので、なるほど着物姿はかなりさまになっていたかもしれない。宇野さんは彼の美しさを「美丈夫」という言葉でもって表現していた。今生きていたらどんな感じになっていたのかなと時々思う。
「お前にマラリア」のことだけを書くつもりが、ぐだぐだと色々書き連ねてすっかり長くなってしまった。これも猛暑のせいか?まあそういうことにして、この異常な暑さを好きな音楽でも聴きながら、元気にやり過ごしたいと思う。
沖田浩之の「お前にマラリア」である。
しかしマラリアってあなた・・・
こんな曲名をつけるなんて、マラリアが人類50万年の敵だと知ってのことかしら・・・
やれコンプライアンスだ何だと、どんどん表現の自由が狭められていっているような気がする昨今では、もうちょっとありえないかもしれんという感じの攻めの効いたタイトルの曲だが、気がつけばもう35年も前に世に出た歌である。いかに昭和という時代が自由と寛容の時代であったかを改めて痛感させられるわけなのだが、それにしてもどうなのこのおもいっきり制作費削られてる感じの「お前にマラリア」のレコードジャケットは!まるでうちの近所の個人スーパーのチラシである。
「お前にマラリア」のレコードジャケット(Googleの画像検索結果先へリンクします)
少し調べてみたところによると、「お前にマラリア」は、オリコン最高位80位以下、売上枚数0.7万枚と数字的にはまるで振るっていない。元竹の子族だとか、金八先生のドラマではちょっと悪カッコいい役で人気を博したりと、沖田浩之のデビューは今思い返してもなかなか華々しいものであったし、その後も随所でそれなりに存在感を示していたと思うのだが、思いのほかレコードは売れていなかったようだ。たしかに「ザ・ベストテン」など歌のランキング番組でお目にかかることはほどんどなかった気がするが、正直ここまでとは思っていなかった。「お前にマラリア」のリリースは1983年。次作として同年に、当時大人気アニメだった「キャプテン翼」関連のシングルを出しているが、意外なことにこれも不発だった模様。(エンディングテーマの「冬のライオン」はなにげに名曲だったと思うのだが)そして翌84年には、デビューからわずか3年足らずで早くも歌手活動にピリオドを打ち、俳優業の方へと本格転身している。数字的なことだけで追うと、彼の歌手としてのピーク期間はデビュー曲の「E気持」を頂点に、一年ももたずして終焉を迎えていたようだ。たしかに彼の歌は♪アハハンおほほん♪(おほほんはないな)と、ヒットを飛ばすにはいささかハードル高めの、ちょっとセクシーでキワモノ的な曲が多かった気がするが、この人には他のアイドルとは一線を画すような個性とルックス的な魅力があったし、なにより声が艶っぽくてよかった。そう思うとこの歌手としてのあまりに早い上がりはなんだかもったいなかったような気もする。
あのやっつけ仕事臭プンプンのチープなデザインのレコードジャケットから類推するに、「お前にマラリア」をリリースするころには、彼自身も周囲もすでに歌の方にはある程度見切りをつけていたのかもしれないなどと今さらながら思ったりもするが、だけどこの「お前にマラリア」、けして悪くない曲だったと思うんである。
音楽のジャンルだとかリズムの種別的なことはあまり詳しくないので、こういう感じの曲がなんというジャンルの音楽にあてはまるのかよくわからないのだけれども、曲調的には、中森明菜の「TATOO」の遠い親戚みたいな感じの曲である。古き良き時代の音楽というか…。ロカビリーっぽいとでもいうのかな。
「お前にアツアツ」とか「赤道直下のアイラブユー」だとか、歌詞は十二分に”昭和”なのだが、聞いているうちに言い知れぬ中毒性を伴ってくるというか、思わず繰り返し聴きたくなってしまう魅力がある。特にこの暑い時期にはぴったりである。
「お前にマラリア」もかなりインパクトがあったが、沖田浩之といえば思い出すのが、いがぐり頭でバラエティ番組のお色気どっきりにまんまとひっかかっていた姿と、あと、宇野千代さんのエッセイに登場する彼の姿だ。そのころの沖田浩之は、20歳以上も年の離れたある女優さんと恋仲なのでは?とかなり噂になっていたが、その女優さんとなかよしだったという宇野さんのもとに、その渦中の二人がともに連れ立って訪ねてきた時の話がそのエッセイ本に書かれているのだ。そのとき沖田浩之は、まだ二十歳そこそこの青年だったらしいのだが、そんな若者にはめずらしく彼は(私の記憶が正しければたしか)白地の着物姿といういでたちでさっそうと現れ、宇野さんを驚かせたのだという。それはそれは水も滴るようないい男ぶりだったらしく、Y(女優さんの名前)でなくとも私がほれてまうわ!的なことが書かれていて、もうずいぶん前に読んだ本だけれども、この話の部分だけがやたら印象に残っている。たしかに沖田浩之はタッパもあったし、江戸のちょいワルな遊び人役が似合いそうな和テイストのきりっとした顔立ちをしていたので、なるほど着物姿はかなりさまになっていたかもしれない。宇野さんは彼の美しさを「美丈夫」という言葉でもって表現していた。今生きていたらどんな感じになっていたのかなと時々思う。
「お前にマラリア」のことだけを書くつもりが、ぐだぐだと色々書き連ねてすっかり長くなってしまった。これも猛暑のせいか?まあそういうことにして、この異常な暑さを好きな音楽でも聴きながら、元気にやり過ごしたいと思う。
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