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2019年01月23日

禁断のビデオ


俺が東京にきた14年くらい前のこと。

本の町である神保町に毎週のように通って古書や外国文学を買いあさっていた。

裏通りの本屋をめぐるのが好きだった。

で、エロビデオでもあさろうって気になって、いかにも古そうなビデオ屋に入っていったとき、ふと黒パッケージでタイトルが

「禁断の(読み取れない)」

とか言うのが目に入った。

得ろ意のかと思ってウラとかビデオの中とか見たんだが、真っ黒のビデオなだけで何もわからなかった。

500円て値段シールが張ってあったので、買ってみた。

店員にきいても、出自なんかしらんみたいだし、オカルトコーナーに乱雑に積んであった中から引っ張り出した誇りまみれのガラクタに責任なんか持てるかって感じだったから試しに買ってみることにした。

で、家に帰って早速見ようとほかに買ってきたエロビデオを、それぞれ下見して最後にその黒いやつをデッキにいれてみようとしても、デッキがへんな音がするんだな。

ガキン、ガチャン、ジーコとか明らかにテープの読み取り音じゃない。

やべえぬっ壊れたか?

とか思って何度か取り出したり、入れて自動再生しないようにしてみて、ようやく、ブルーバック的な画像らしきものが映る前の読み込み画面なのが始まった。

エロビデオを先にみてたから、音声はきわめて小さくしてたんだが、映像は青いのに、ぶつぶつ話声みたいのが聞こえる。

で2分くらいボケっと見てても、全く映像が映らんから、音だけでもと思って大きくしたら、日本語じゃない音が聞こえるんだ。

禁断のとかパッケージにかいてあるのに、日本のビデオじゃないのかと思ってみてたら、ふと、廃屋の部屋の中をビデオがよこ向いたままの映像が映った。

地面に置かれた上体で、部屋を写してる感じだな。

人物とかはいないが、なんかしゃべってる音がする。

そんで、早送りしたら何か見えるかもと思い、じーっと早送りしたら、カメラが蹴っ飛ばされたみたいに映像がぶっとんだ。

で、転がった先で、いきなり人の顔面のアップが写った。

というか、右目だけが写った。

ここまでで、意味がわかったらすごいが、けっとされたっぽい動きをしたカメラが転がった先に人の顔があるってことは、その人の顔は地面に直接触れているってことだ。

10秒以上たっても、瞬きしない。

死んでるのかと思ったんだが、画像が止まってるらしいし、音だけは聞こえるから画像が止まって音だけ吹き込んでる感じ。

つまり人間の目だけを取った映像に音だけを吹き込んだ?という意味不明な映像。

で、音がなんとなく鮮明に聞こえるようになってきたから、聞いてみたら、どうも田舎のなまりっぽいだけで日本語だった。

3分か、そのくらいほったらかしてたら、その映像から「おい、おめえ」って呼びかける声だけがやけに鮮明に聞こえる。

ありゃ、映像とってる人に言ってるのかなとか思ったら、

「この映像みてるやつ、おめえだよ」って俺に言ってるっぽい。

で、その後音が一切消えた。

映像は相変わらず、目だけ映ってる。

と思ったら、いきなり画面に赤いものがぶっ掛けられたらしい。

ガラスを血みたいのが滴り落ちる。

そのまま待ってると、右目だけ写ってた人らしい人の髪をずるずると

廃屋の奥に引きずって行く人がいる。

で、突然画像が消えた。

消え方も、スイッチ切った消し方じゃなく、カメラを破壊したような終わり方だった。

そのあと早送りしても砂嵐になって何も写っていなかった。

こんなビデオが神保町に売ってました。

怖くて2度と見る気がしません。

で、引っ越しと同時になくなってしまいました。

今あったら、ようつべにでもアプすんのになあ。

オチも何もないのに思わせぶりに失礼しますた。

14年も前に見たビデオの内容をやけに細かく覚えてると思っただろ。

なんか定期的に、夢というか鮮明に思い出す瞬間があるんだよ。

アレは、映像が強烈だからとかそんなんだけじゃないと思う。

何かしらが意図的に俺の意識に埋め込んでたりすんじゃないか?とか妄想したりするんだな。

以上今も疲れ果ててネタ時とか、この映像見たときの俺をふいに思い出す。
posted by まとめ at 08:00 | 怖い話
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