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卒業

とても良く晴れた日

私は駅からの道を
新しい事務所へ向かいながら

ゆっくりと歩いていた
片足を引きずりながら、ゆっくりと向かうと

ある中学校の横を通った
季節はもう春らしい暖かい陽に包まれて

その校舎は何かとても静粛な空気を感じさせた
「そういえばもう卒業式のシーズンだな・・・」

などと思い歩いて行くと校門の前には「○○中学校卒業式・・・」の看板が見えた
「やっぱりそうか」

私はなぜか、とっても嬉しいような寂しい様な気持ちになった
この学校でも巣立っていく子供たちがいて

それを見守る教師や親たちがいるのだと・・・

卒業
特別な気持ちを思い起こさせる



そういえば
同僚は今日、別の学校で謝恩会の仕事が入っていた

私がお世話になった人達の、子供も親も今日で卒業なんだと気が付いた


私も
春から新設の部門で仕事をすることになり
その方たちへ
今までのお礼が言いたくて顔だけ出そうと思った





それから
ここ一年近く、共に仕事をして来た仲間も今日で退社だという

彼らも会社、あるいは仕事を卒業して行く

彼らと思い描いたものも達成出来ず
私が引き継ぐことに

夜、ちょっとした壮行会となった
彼らの卒業式とでも言おうか
そんな会になった


私は今回も送り出す立場で
まだ私には、卒業はしばらく許されないらしい

もう少しやる事がある様だ


会がお開きになり
卒業して行く彼と「じゃあ・・・」と言って別れた


別れた後、ふと
今、私がこうして新しい事業に取り組める様
働きかけてくれた彼に
感謝の言葉を言うのを忘れていたことに気づいた




私は数週間つづいた松葉杖も取れ
そろそろ、また仕事に取り掛かかれるかもしれないと
思った

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