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一人の時間

休日

部屋の窓から見える
ぼやっとした夏の夜空


そんな夜空にきらきらと
明るく輝く美しい小さな光が見える

その光は遠くから次々と現れては

こちらへ
ゆっくりと流れてくる

遠くから手前まで幾つも、連なって見える


その光が
空港へ着陸する飛行機と気づくのに

そう時間はかからなかった

以前、そんな景色を眺めるのが

日常的だったからだ



遠くから人を乗せ
この街に降り立つ

出張先から家族のもとに帰ってくる人もいれば
旅行で来た人もいるだろう


以前
出張先から乗った飛行機からの眺めは

窓に広がる
幾つもの光で構成された美しい街並

帰りを待つ人のいる街

とても幻想的であり

私を「お帰り」と迎えてくれた
様な気がした





そして
以前の職場の

オフィスから見えた

明け方の空

とても神秘的だったのを思い出す


真っ暗な夜空が次第に薄明るくなり

一日の始まりを予感させる

静まりかえるオフィス


遠く彼方から一つずつ、光が向かってくる

まるで生命の誕生の様に

薄暗い夜空に雲をかき分け進む光

その光はいつも
私に何かを語りかけてきた


まるで
可能性と言う言葉や、新しいもの、誕生・・・

そんな言葉と
空気感が重なった

そんなものを求められていた

そして、やけに
一人の時間が長く感じた



しばらくすると
空はすつかり明るくなり

少し眠くはっきりしない頭で一日の始まりを眺めていた


早めに出勤して来た新人に
「徹夜ですか?」と聞かれ

「・・・」と無愛想だったのを思い出す

そんな事が当たり前の仕事だった





あれからしばらくして

部屋の窓から、一人
同じ景色を見ることになるとは


思いもよらなかった・・・


物思いにふける時間がやけに長く感じた




com


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