倒れそうになりながらも何とか宿の人から貰ったフルーツで回復した身体に嬉しくなり、マドラスの街へと繰り出したが、自分がどこにいるのか分からないので宿の場所を忘れないように歩き始めた。車、人、リキシャの喧騒の中、歩き始めた時、バスがクラクションを鳴らしながら自分の方へ突っ込んできた。スピードは出ていなかったので普段通りに道の脇に避けたのだが、前に歩いている家族の男性に軽くぶつかった。バスの運転手はワザと「コツン」と当てた感じだったが、日本だったら大問題である。当てられた男性はビックリしてバスの運転手を見たが、何もなかったかのように家族は脇に移動してバスを通した。当てられた男性は、色の真っ黒なカーストの一番低いクラスだと分かった。運転手は肌の色は黒いが、浅黒い方だったのでカーストが、まだ上だと分かった。カースト制度はなくなったと聞いていたが、未だに残っているのが、はっきりと自分で確認出来てしまった。北インドでは見かけなかった光景に、ちょっとビックリしてしまったが、たまたま北インドで自分が遭遇しなかっただけなのかもしれない。マドラスに着いて、数時間しか経っていないのに、ちょっと嫌な所を見てしまった。自分はショックを受けながらも、繁華街を目指した。
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