2020年12月27日
化学肥料はステロイド剤と同じ。植物はなぜ病気になるのか。
化学肥料はステロイド剤と同じ。植物はなぜ病気になるのか。
植物が病気になる原理も、ニンゲンのそれと変わりはないらしい。作物を病害虫から守るために殺虫剤や除草剤を使用することに寄るのだと、ハワード(イギリス人農学者サー・アルバート・ハワード)は考え、実検し、堆肥化した腐植が作物の病虫害を防ぐとともに、土壌肥沃度を改善する鍵を握っていることを検証した。
英国のプランテーションでは農薬の使用量が増えれば増えるほど、作物の病気の流行は増加し、収穫が減ったという。薬害に寄り、病原体は増え、範囲を広げた。
ハワードは化学肥料を、長期的な土壌の肥沃さや植物の健康と引きかえに短期的な能力を高める農業のステロイド剤と表現した。そして、言う。化学肥料によって徐々に土壌が汚染されつつあることは、農業と人類にふりかかった最大の災害の一つである、と。
ミミズは「庭師の無償の下働き」であり、農業における炭鉱のカナリアだ。つまり、ミミズの数が増えていれば、土が健康であるしるしであり、減少は破滅の予兆なのだ。ミミズの糞には、表土全体の五倍の窒素、七倍の水溶性リン酸塩、十一倍のカリウムが含まれていた。これは、植物の成長に欠かせない三大栄養素である。
ミミズは腸内で土を有機物と混ぜて新しく作りかえ、植物養分を含ませて土壌に戻している。そんなミミズたちを殺す化学物質を農地にまき散らすことに、何の意味があるのか。
有益な微生物が土壌中の根の近くにいるとき、それは植物にメッセージを送って、全身誘導抵抗性という免疫のような反応を引き起こすことがわかっているという。
植物は根を「耳」として使い、土壌生物の声を聞く。この双方向コミュニケーションの結果、植物が害虫や病原体を避けるために利用している代謝経路が刺激される。そのとき植物は、攻撃をはねのける準備をしているということだ。
すべての植物にはマイクロバイオーム、根、葉、芽、果実、種子を覆う微生物の宇宙に似た集合体がある。植物はそれぞれ、ニンゲンの腸内と同じように、唯一無二の微生物群を住まわせているのだ。
土壌微生物は根のまわりで数が多いことにヒルトナー(ドイツ人科学者ローレンツ・ヒルトナー)は気付き、この非常ににぎわっている範囲に、「根圏」という特別な名前をつけた。彼は、植物の抵抗性に関する重要な発見をしている。根圏はクモの糸ほどの植物の根毛一本一本を取りまいている。根毛は一本の根から数百万本生え、それにより表面積が増えて、植物と土壌微生物の相互作用が大幅に活性化されるという。
根圏に集まる微生物の数は、最大で周囲の土壌の100倍になるそうだ。
根圏の微生物は植物のマイクロバイオームでも特ににぎやかな部分だ。さまざまな微生物種が独自の好みを持ち、取り込む根浸出液を選び、改変もする。それは植物の利益になるような改変もある。
たとえば、アミノ酸の分泌液であるトリプトファンは、根圏の細菌に捕えられると、植物成長ホルモン(インドール酢酸)に変えられる。これによって根は長く伸び、支根が生え、根毛の密度が高くなり、植物全体の健康が増進されるのだ。
植物が根浸出液の中に放出するフィトケミカルは、植物の防衛戦略だ。こうした化学物質は地上・地下の脅威に幅広く対抗する。フィトケミカルの中には根浸出液の中に普通に見られ、細菌の遺伝子の発現を刺激したり妨げたりして、有益な細菌を根に引き寄せ、根につく病原体を防ぐ。
ある種の植物では、発芽したばかりの苗が硫酸を含むフィトケミカルを出して、菌根や細菌の成長を促す。フィトケミカルが特定の細菌や菌類を根圏に招き入れる場合もある。植物は、近づいてくる微生物に「進入禁止」のメッセージを送るフィトケミカルを放出することもできる。厄介な微生物が警告を無視すれば、もっと強い「下がれ」という信号を発する。それでも無視されたら、侵入口をふさぐために化学防御が開始される。
植物は自ら抗菌物質を作って病原体を殺したり弱らせたりすることもできる。たとえばトウモロコシは、根のすぐまわりに多くの土壌微生物を抑制できる量の抗菌物質ベンゾキサジノイドを放出する。時には根圏の有益細菌が、病原性の菌類を食い止めるのに役立つ代謝物質を生産することもある。根圏細菌の主要なグループ―放線菌、フィルミクテス、バクテロイデス―の中で、放線菌は特に病原性の細菌、菌類、ウィルスを阻害するさまざまな物質を生産するのだ。
さらに、葉や枝などの厄介ごとに対処するために、植物は根圏に棲む細菌の力を借りるという興味深い例もある。葉の病原体が攻撃してきたとき、植物はそれを感知し、化学物質に寄る長距離通信を根の細胞に送る。
すると根の細胞が浸出液を放出し始める。たとえばリンゴ酸というきわめて特殊な浸出液が作用し放出される。すると枯草菌が駆け寄ってきて、数時間で根にぎっしりと集落を作り、さらに植物と化学コミュニケーションが始まる。細菌と植物の対話を引き金に、植物は葉の病原体に対抗する浸透性の防御物質を生産して循環させる。さらに驚くことに、枯草菌は植物に働きかけて、病原体が葉の内部への侵入路とする葉の表面の小さな開口部(気孔)を閉じさせる。
このようなことは、実はニンゲンの腸内細菌も行っているらしい。
つまり、根圏に棲息する細菌が病原体の存在を植物に知らせるのと似た活動が、大腸の中でも起きている形跡があるということ。粘膜層に棲む細菌は、内腔の病原体が粘膜層に定着しようとすると、化学的メッセージによって大腸細菌に警鐘を鳴らす。
さらに、腸内細菌のバランスの乱れがどれだけ恐ろしいのか、という例がある。
共生生物の中には有益なあまり、それなしでは人間が病気になるものがあるのだ。病原体が免疫反応の引き金を引くことは昔から知られているが、共生生物が免疫系と相互に作用することも今では明らかになっている。それどころか共生生物は免疫細胞に準備をさせ、訓練をする。共生生物は体内の炎症の全体的なレベルを調整する上で中心的な役割を果たしており、一方で炎症は人体のすべてが順調に動き続けるために必要であるのだ。
マイクロバイオームが混乱すれば、ちょっとした体調不良から深刻な病気、たとえば自己免疫疾患であるが、さまざまな影響が出ることになる。
この混乱を引き起こしているのは、まず抗生物質。それから化学物質である食品添加物や農薬、もっと深刻なものとして放射能の影響もあるだろう。
古典的な実験に、植物を二種類の土壌で栽培するというものがあるそうだ。一方の土は消毒して微生物をすべて殺し、もう一方は消毒せずにおく。それから既知の病原体をそれぞれ土に入れる。すると、消毒した土で栽培した植物は病原体にやられ、消毒しなかった方の植物は健康に育つ。つまり、微生物の活動により発病抑止がなされるのだということ。
土壌を消毒し、微生物を一掃してしまうと、病原体に対抗する力を失ってしまうということだ。
消毒した土に、わずかその体積の10分の1から1,000分の1の、微生物が豊富な土を混ぜると発病抑止の力が与えられ、土壌のバリアは回復するのだそうだ。
農薬を使用せず、自然に、栄養豊かに育つ野菜が、市場で流通する
マトモな世の中にするためには、まっとうな栽培をしている農家さんを
応援することが大切♪
植物が病気になる原理も、ニンゲンのそれと変わりはないらしい。作物を病害虫から守るために殺虫剤や除草剤を使用することに寄るのだと、ハワード(イギリス人農学者サー・アルバート・ハワード)は考え、実検し、堆肥化した腐植が作物の病虫害を防ぐとともに、土壌肥沃度を改善する鍵を握っていることを検証した。
英国のプランテーションでは農薬の使用量が増えれば増えるほど、作物の病気の流行は増加し、収穫が減ったという。薬害に寄り、病原体は増え、範囲を広げた。
ハワードは化学肥料を、長期的な土壌の肥沃さや植物の健康と引きかえに短期的な能力を高める農業のステロイド剤と表現した。そして、言う。化学肥料によって徐々に土壌が汚染されつつあることは、農業と人類にふりかかった最大の災害の一つである、と。
ミミズは「庭師の無償の下働き」であり、農業における炭鉱のカナリアだ。つまり、ミミズの数が増えていれば、土が健康であるしるしであり、減少は破滅の予兆なのだ。ミミズの糞には、表土全体の五倍の窒素、七倍の水溶性リン酸塩、十一倍のカリウムが含まれていた。これは、植物の成長に欠かせない三大栄養素である。
ミミズは腸内で土を有機物と混ぜて新しく作りかえ、植物養分を含ませて土壌に戻している。そんなミミズたちを殺す化学物質を農地にまき散らすことに、何の意味があるのか。
有益な微生物が土壌中の根の近くにいるとき、それは植物にメッセージを送って、全身誘導抵抗性という免疫のような反応を引き起こすことがわかっているという。
植物は根を「耳」として使い、土壌生物の声を聞く。この双方向コミュニケーションの結果、植物が害虫や病原体を避けるために利用している代謝経路が刺激される。そのとき植物は、攻撃をはねのける準備をしているということだ。
すべての植物にはマイクロバイオーム、根、葉、芽、果実、種子を覆う微生物の宇宙に似た集合体がある。植物はそれぞれ、ニンゲンの腸内と同じように、唯一無二の微生物群を住まわせているのだ。
土壌微生物は根のまわりで数が多いことにヒルトナー(ドイツ人科学者ローレンツ・ヒルトナー)は気付き、この非常ににぎわっている範囲に、「根圏」という特別な名前をつけた。彼は、植物の抵抗性に関する重要な発見をしている。根圏はクモの糸ほどの植物の根毛一本一本を取りまいている。根毛は一本の根から数百万本生え、それにより表面積が増えて、植物と土壌微生物の相互作用が大幅に活性化されるという。
根圏に集まる微生物の数は、最大で周囲の土壌の100倍になるそうだ。
根圏の微生物は植物のマイクロバイオームでも特ににぎやかな部分だ。さまざまな微生物種が独自の好みを持ち、取り込む根浸出液を選び、改変もする。それは植物の利益になるような改変もある。
たとえば、アミノ酸の分泌液であるトリプトファンは、根圏の細菌に捕えられると、植物成長ホルモン(インドール酢酸)に変えられる。これによって根は長く伸び、支根が生え、根毛の密度が高くなり、植物全体の健康が増進されるのだ。
植物が根浸出液の中に放出するフィトケミカルは、植物の防衛戦略だ。こうした化学物質は地上・地下の脅威に幅広く対抗する。フィトケミカルの中には根浸出液の中に普通に見られ、細菌の遺伝子の発現を刺激したり妨げたりして、有益な細菌を根に引き寄せ、根につく病原体を防ぐ。
ある種の植物では、発芽したばかりの苗が硫酸を含むフィトケミカルを出して、菌根や細菌の成長を促す。フィトケミカルが特定の細菌や菌類を根圏に招き入れる場合もある。植物は、近づいてくる微生物に「進入禁止」のメッセージを送るフィトケミカルを放出することもできる。厄介な微生物が警告を無視すれば、もっと強い「下がれ」という信号を発する。それでも無視されたら、侵入口をふさぐために化学防御が開始される。
植物は自ら抗菌物質を作って病原体を殺したり弱らせたりすることもできる。たとえばトウモロコシは、根のすぐまわりに多くの土壌微生物を抑制できる量の抗菌物質ベンゾキサジノイドを放出する。時には根圏の有益細菌が、病原性の菌類を食い止めるのに役立つ代謝物質を生産することもある。根圏細菌の主要なグループ―放線菌、フィルミクテス、バクテロイデス―の中で、放線菌は特に病原性の細菌、菌類、ウィルスを阻害するさまざまな物質を生産するのだ。
さらに、葉や枝などの厄介ごとに対処するために、植物は根圏に棲む細菌の力を借りるという興味深い例もある。葉の病原体が攻撃してきたとき、植物はそれを感知し、化学物質に寄る長距離通信を根の細胞に送る。
すると根の細胞が浸出液を放出し始める。たとえばリンゴ酸というきわめて特殊な浸出液が作用し放出される。すると枯草菌が駆け寄ってきて、数時間で根にぎっしりと集落を作り、さらに植物と化学コミュニケーションが始まる。細菌と植物の対話を引き金に、植物は葉の病原体に対抗する浸透性の防御物質を生産して循環させる。さらに驚くことに、枯草菌は植物に働きかけて、病原体が葉の内部への侵入路とする葉の表面の小さな開口部(気孔)を閉じさせる。
このようなことは、実はニンゲンの腸内細菌も行っているらしい。
つまり、根圏に棲息する細菌が病原体の存在を植物に知らせるのと似た活動が、大腸の中でも起きている形跡があるということ。粘膜層に棲む細菌は、内腔の病原体が粘膜層に定着しようとすると、化学的メッセージによって大腸細菌に警鐘を鳴らす。
さらに、腸内細菌のバランスの乱れがどれだけ恐ろしいのか、という例がある。
共生生物の中には有益なあまり、それなしでは人間が病気になるものがあるのだ。病原体が免疫反応の引き金を引くことは昔から知られているが、共生生物が免疫系と相互に作用することも今では明らかになっている。それどころか共生生物は免疫細胞に準備をさせ、訓練をする。共生生物は体内の炎症の全体的なレベルを調整する上で中心的な役割を果たしており、一方で炎症は人体のすべてが順調に動き続けるために必要であるのだ。
マイクロバイオームが混乱すれば、ちょっとした体調不良から深刻な病気、たとえば自己免疫疾患であるが、さまざまな影響が出ることになる。
この混乱を引き起こしているのは、まず抗生物質。それから化学物質である食品添加物や農薬、もっと深刻なものとして放射能の影響もあるだろう。
古典的な実験に、植物を二種類の土壌で栽培するというものがあるそうだ。一方の土は消毒して微生物をすべて殺し、もう一方は消毒せずにおく。それから既知の病原体をそれぞれ土に入れる。すると、消毒した土で栽培した植物は病原体にやられ、消毒しなかった方の植物は健康に育つ。つまり、微生物の活動により発病抑止がなされるのだということ。
土壌を消毒し、微生物を一掃してしまうと、病原体に対抗する力を失ってしまうということだ。
消毒した土に、わずかその体積の10分の1から1,000分の1の、微生物が豊富な土を混ぜると発病抑止の力が与えられ、土壌のバリアは回復するのだそうだ。
農薬を使用せず、自然に、栄養豊かに育つ野菜が、市場で流通する
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