2017年08月16日
『風が強く吹いている』4 〜 箱根駅伝 運命の復路 〜
どーも!
あつしです!
今回も
『風が強く吹いている』
を紹介したいと思います。
三浦しをん先生の作品で
箱根駅伝に10人で出場する小説です。
箱根駅伝往路までを書きましたが
書ききれなかった人間模様がまだまだ書かれておりますので
ぜひ読んでみてください。
小説と漫画を読み比べてみるのも
面白いです!!
お名前.com
箱根駅伝復路―――
出場20チーム中18番目、トップとの差11分53秒で往路をゴールした
寛政大学の箱根駅伝復路が始まります。
6区 箱根 〜小田原 ユキ
午前8時。
芦ノ湖から号砲とともに房総大がスタートし
往路のタイム差で次々と走り始めます。
寛政大学はタイム差が10分以上あったので
一斉スタートです。
(一斉スタートは走っている順位と総合タイムが違う。という事態が発生します)
路面には雪が積もり、轍は凍結しています。
ユキは「大手町で」と神童に告げ
5チームの選手たちと走り出します。
ユキは怯むことなくハイペースで走ります。
寛政大学の他のメンバーはハイペースを心配しますが
声が届くことはないので
「転ばないように祈るだけ」と清瀬は言います。
ユキは快調に山を下ります。
下りでのスピードを走が見ている世界を体験している。と感じます。
清瀬から
「下り坂のあとだと、平坦な道でも上りみたいに感じられる。そころからが本当の勝負だ」
とアドバイスされていたことを思い出しますが
(大丈夫そうだよ、今日は自分の心身との勝負に負ける気がしない。)と心の中で答えます。
7区 小田原〜 平塚 ニコチャン
サポートに入っているジョータは
「このままだとユキ先輩、区間賞を取っちゃうんじゃない?」
「ユキ先輩に、タイムを教えてあげたいよ」
とニコチャンに話します。
午前9時。
先頭で房総大の選手が中継所に入ってきます。
しばらくして、真中大の選手が60分24秒で襷リレーします。
すぐそこまでユキも来ています。
ニコチャンは中継ラインに立ち
「よくやった」とユキに囁き
「あとは任せます」とニコチャンの背中を叩き送り出します。
寛政大学 6区ユキ 14番目で襷リレー
タイムは60分26秒 区間賞まであと2秒でした。
ニコチャンは走りながら清瀬と
「1キロ3分ちょいのペースを維持するようにしてください。
先輩に楽をさせられなくて、すみませんが」
「ハイジよう。楽っていうなら、走らなきゃ楽だったぜ。
ダイエットも禁煙もしなくてすんだんだから。」
「俺がどんな順位になっても文句を言うなよ」と会話したことを思い出します。
ニコチャンの骨格と、脂肪を蓄えやすい体質は、長距離には不向きでした。
しかし、走ることは好きなニコチャンでしたが
競技選手としてではなくても走りつづけていい、走ることが好きならば、
それを楽しんでいいのだと、示してくれる指導者がいないことで
自分に失望し陸上から遠ざかっていました。
それを変えてくれたのが清瀬であり、走です。
ニコチャンは
清瀬と走のつながりとぶつかりあいを
走るという行為がもたらした、
とても貴い形をした人間のありかたを見ていたかったそうです。
8区 平塚 〜 戸塚 キング
平塚中継所ではキングとムサが待っています。
そこに東体大の榊がやってきて
「どうやら寛政大学陸上部は、箱根はこれきりになりそうですね」
と嫌味を言いにきます。
東体大の榊は走と同じ高校で
走が監督を殴ったことにより
陸上部が活動停止になったことを根に持ち
何かと寛政大学に突っかかってきます。
キングは榊の丁寧で静かな口調だからこそ
聞き流すことができず、憤って立とうとしますが
ムサに止められます。
ムサは「東体大も、シード権を獲れるかどうか際どいところですね」
キングも「いまなんて、うちの大学より後ろを走ってるしなあ」と
嫌味で応戦します。
中継ラインに
キング、前橋工科大、東体大の榊が立ちます。
まず、キングが「俺もやるぜ、ニコチャン先輩」と襷を受け取り
振り返らずに走り出します。
前橋工科大と東体大が4秒後に同着で襷リレーします。
寛政大学 7区ニコチャン 12番目で襷リレー
実質順位 15位(繰り上げタイム加算) 区間12位で走りきりました。
キングは清瀬から
「8区はきつい区間だ。追い抜かれることがあっても、気にするな。
ポイントは16キロ過ぎの遊行寺の坂。ここまでスタミナを温存。」
とアドバイスを受けます。
中継所を出たキングはすぐに
前橋工科大と東体大に追いつかれます。
東体大の榊はキングを抜き去ります。
キングも負けじとスピードを上げます。
この時には清瀬のアドバイスもキングと榊の実力差も忘れていました。
追っても追っても榊との距離は開きます。
パニック状態です。
5キロ地点で監督車の大家から
「キング、深呼吸しろ。なにをそんなにあせっている。」
キングは我に返り、本当に戦うべき相手を思い出します。
16キロ過ぎ、遊行寺の坂に突入します。
顎が上がり、アスファルトが泥に変わったのかと地面を確かめたほどです。
それでもキングは負けるもんか。となりふりかまわず手足を振って進みます。
9区 戸塚 〜 鶴見 走
走は箱根の王者 六道大の中の真の王者 藤岡から
「六道大学は、箱根で優勝することを定めづけられている」
と話しかけられます。
その後
「同時に自分自身と、蔵原(走)、おまえに勝つ」と言われ
「俺も、俺自身と藤岡さんとに勝ってみせます」と
走も藤岡と真正面から向かい合って伝えます。
藤岡は中継ラインに歩みかけ振り返り
「蔵原。清瀬が選び取ったものがなんなのかを、俺に見せてくれ」と伝え
走は「必ず」と答えます。
六道大の藤岡は襷を2位で受け取り、房総大と58秒差で走り出します。
そこからしばらくして
走は中継ラインに立とうとしたとき
8区を走り終えた東体大の榊とすれ違い
「無駄だよ。蔵原。寛政代はもう終わりだ」と囁きます。
走は「終わるわけがない」と榊の目を見てはっきりと言います。
「すまねえ、走」とキングから襷を受け取ります。
寛政大学 8区キング 14番目で襷リレー
実質順位 16位(繰り上げタイム加算) 区間10位で走りきりました。
シード権獲得県内にいる10位東体大とは、2分53秒差。。。
各チームともハイペースで進む中
走は1キロを2分42秒という大変なスピードで走り始めます。
清瀬は走の完璧なフォームを見て
「うつくしいな」とつぶやきます。
そんな中
大家から着信があり
「ハイジハイジ、どうして連絡してこない?」
あせった声で連絡が入ります。
「もうすぐ5キロ地点だぞ。なんて指示を出したらいい?」
清瀬は
「なにも。声をかけないでください」と伝えます。
「走はいま、極度に走りに集中しているんです。それを妨げてはいけません」
走は8キロを過ぎても1キロ3分を切るペースで走っています。
権太坂を難なく上りきり
下りの途中で、あけぼの大、甲府学院大、東体大を一気に追い越します。
走りながら走は過去のこと、今のこと、走りについて考えます。
その頃
トップ争いでも
房総大を六道大の藤岡が捉えトップに立ちます。
藤岡の走りを見た清瀬は「区間新記録を狙っている」とわかり
「藤岡に対抗できる選手は、走しかいない。
後半、走にスパートをかけさせるためにも、情報が必要だ。
王子、藤岡のタイムに注意してくれ」と伝え
ウォーミングアップに向かいます。
13キロ地点で走は西京大と喜久井大の姿をとらえます。
少しずつ距離を詰めていき一気に抜き去ります。
15.2キロ地点で給水要員から
「藤岡が、区間新記録を出しそうだ!」と伝えられます。
それを聞いた走は
俺は藤岡さんのタイムを抜かなきゃいけない。
と最高の走りをし、箱根駅伝の歴史に刻みつけるために更に走ります。
10区 鶴見 〜大手町 清瀬
清瀬は王子と携帯電話の画面に見入っていました。
9区を走り終えようとする藤岡が写り
「六道大の藤岡選手、1時間9分ちょうどで襷リレー!区間新記録です!」
そのタイムを
「王子。大家さんに電話して、藤岡のタイムを伝えるんだ。20キロ地点で、走に教えるように、と」
と清瀬は小声で指示を出します。
それから藤岡に向き直り
「おめでとう」と伝え
藤岡は「心にもないことを」
「蔵原が覆すと思っているだろう」と伝えます。
「どうかな」と
清瀬の微笑もまた、内心を垣間見せぬ鎧でした。
ラジオから
「20キロ地点を過ぎて、寛政大の蔵原選手がまたスピードを上げはじめたようです!
もしかしたら、9区の区間記録がまたもや更新されることになるかもしれません!」と
中継の声が聞こえます。
走は残り10メートル地点!
清瀬に襷を託すため、体内にあるエネルギーを最後の数歩に使い切ります。
走の手から黒い襷がすり抜け
清瀬は走り始めます。
王子が走に飛びついてきたのと同時に携帯電話から、
「寛政大の蔵原走、1時間8分59秒!藤岡選手の出したタイムを、1秒更新しました。区間新記録です!」
とアナウンサーがまくしたてる声が聞こえます。
走は
「王子さん、荷物は?」
「じゃ、行きましょう大手町に」
と鶴見市場駅へ向けて走り去り
中継所に居合わせた人々は呆気にとられ
インタビューをしようとしたテレビクルーは困惑します。
寛政大学 9区走 8番目で襷リレー
実質順位 12位(繰り上げタイム加算) 区間新記録で走りきりました。
シード権獲得県内にいる10位東体大とは、1分2秒差。。。
西京大、東体大、あけぼの大、寛政大、甲府学院大までタイム差は1分18秒。。。
どこがシード権を獲得してもおかしくない状況です。
清瀬は3キロ地点の六郷橋を渡っています。
前方に1分半ほど先に襷リレーしたはずの動地堂大がいます。
5キロ地点で大家から情報が入り
タイム差を伝えられ
清瀬は頭の中で計算します。
ペースを上げる必要がある!と清瀬は判断します。
ちょうど前方に京急蒲田の踏切が見えます。
タイミングの悪いことに警報機が鳴り始め、
ここで踏切に阻まれ足止めされるわけにはいかない。
とスピードアップしギリギリで通過し
勢いに乗った清瀬は一気に動地堂大を抜き去ります。
10キロ地点で大家から東体大のペースが落ちた。と情報を聞きますが
清瀬の脚も痛みだします。
それでも1キロ3分4秒ペースを崩しません。
清瀬は高校時代のことを思い出しながら走ります。
父親が監督だったこと、故障したこと、それを言い出せなくて更に故障したこと
藤岡から六道大に誘われたこと・・・
俺はなぜ走るのか、と。
横浜大を抜き、6番目に立ちアナウンサーは
「寛政大の主将、清瀬灰二が快走をつづけています」と言いますが
走は「ちがう」とつぶやき、脚が痛み出したことに気付きます。
そして
東京大手町で寛政大学のメンバーと合流しゴール地点に移動します。
清瀬の15キロ通過タイムは、六道大に次いで2番目のペースで走っています。
しかし
脚の痛みは地面を蹴るたびに熱く鋭い痛みを感じるようになり
しかも
タイム差が縮んでいるのか、開いているのかもわからず
スピードをゆるめることはできません。
20キロ地点
大家から
「ユキの試算を伝える。このままだと、東体大のタイムに6秒及ばない」と伝えられます。
清瀬は、まだ3キロある。絶対に諦めない。届いてみせる。と心に誓います。
残り50メートルでゴール地点を確認します。
清瀬は更に加速します。
その瞬間、右脛の骨がぱきりと音を立てます。
清瀬には自分の骨がはがれる小さな音がはっきりと耳に届きます。
痛みは脂汗となって全身からどっと流れます。
ゴールで走が泣きそうな顔をしているのが見えます。
(ばかだな、走。俺は大丈夫だ。)
と走りながら清瀬は思います。
「寛政大!5番目に大手町にやってきたのは、なんと寛政大です!」
アナウンサーも興奮のあまり声を嗄らします。
1月3日、午後1時44分32秒
清瀬が大手町のゴールラインを越えます。
そのあと
東体大の一団が「急げ!」と叫び
ゴールラインを越えます。
「タイムは!」
「総合タイムが出ました。東体大、寛政大に2秒及ばず!!」
「初出場の寛政大が、シード権を獲得しました!」
声にもならないぐらい喜び、無言でしっかりと抱擁しあいます。
寛政大学 10区清瀬 10位(繰り上げタイム加算) 区間2位
シード権獲得!!!
どうでしたか?
短くすると伝わりにくかったので
ぜひ小説と漫画を読んでください!
泣けますよ!
私も毎年、箱根駅伝は見ているのですが
こんなチームが実際出てきたらすごく応援します!
それでなくても
毎年のドラマに涙しているのに。。。
襷が繋がらない、体調不良でメンバーから外される、
脱水症状でふらふら、大乱調、
仲間たちの絆、選手たちの背景、
支えてくれた人たちの想い・・・
さまざまなものが感動へと誘います。
この作品を読んでから
次の箱根駅伝が楽しみで仕方ありません!
次回は
・・・なにを書きましょうww
では、またーーー
漫画化にもなってます。
ぜひ小説より漫画の方はこちらをどうぞーー
漫画版『風が強く吹いている』
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