1970年・・・61系自動巻きのCal.6139(※30分積算計のみ)に、12時間積算計を追加したCal.6138の61系スピードタイマーを発表。亀戸工場(第二精工舎)から、70系スピードタイマーも発売
1972年・・・セイコーが札幌冬季オリンピックの公式計時を担当。本作のデザインソースになった「6138系デザイン(※6138-8000や8001、6138-0020等)」も発売されるなど、名機の系譜は現在にも連綿と続いていく。
改めてセイコーの歴史を綴ると、大業の連続ですよね。 クロノグラフを主役として歴史を語るとすると、オリンピックの公式計時・クォーツ腕時計の発明という大イベント(※1964年、1969年)と並行し、クロノグラフでも世界初となれたという事実が、セイコーの凄すぎるところでしょう!!!二兎を追う者は 二兎を得る、事実は小説より奇なり、筆舌に尽くしがたいイノベーション力ですよね。
時計史において、セイコーの功績に異論を唱える方はほぼいないでしょうが、クロノグラフ史で見ても、セイコーは技術的貢献を果たすのです。
「61ファイブスポーツ スピードタイマー」が登場した1969年という年は、時計愛好家達にとって“特別な年”として知られています。当ブログでも、「ホイヤー視点」「ゼニス視点」で、“世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント”開発競争をお伝えしましたが、セイコーだけが「垂直クラッチ機構」の搭載に成功しているのです。
ほぼタッチの差で同時期に発表しているので“歴史の勝者”を決めるのは難しいですが、アイディア力、コストパフォーマンス、大量生産体制の総合的「商品力」で見れば、セイコーは図抜けたものがあります。垂直クラッチ方式は、今でこそポピュラーな動力伝達方式ですが、当時としては異例中の異例な発想!針飛びが起こりづらい、ブランド コピー実用的で精度が高い仕組みは、後にロレックスなど名だたるブランドにも採用される、伝説的大発明だったのです。
スイスの名だたるウォッチメーカー達が、社運をかけて臨んだ世界初の自動巻きクロノグラフ開発競争。4社合同のホイヤー連合は、約50万スイスフランの開発費(!)をかけたとも伝えられています。
驚くべきことに、セイコーは当時32 歳という若さの設計担当の大木俊彦氏が、(ほぼ)一人で作り上げたと言われています。当時のセイコーは、クロノグラフに関する知識が乏しかったため、それが功を奏し、コロンブスの卵的な垂直クラッチ方式を思いついたのではないか?とも、推察されています。
関連リンク:https://youtu.be/XsKai_vl2CY
諏訪精工舎の開発陣は、アストロンの開発に没頭していたため、「Cal.6139」が世界初の自動巻きクロノグラフだったのを“誰も知らなかった”というおまけ話も。 「スイスに追いつき、追い越す」を合言葉に、高精度時計を追求してきたセイコーは、知らず知らずのうちに、追い抜いてしまっていたのです。
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