2016年04月07日
神様がくれた美しい歌声「ボーイソプラノ ただひとつの歌声’14」劇場公開2015年9月
私にとって、この映画で三つ関心を持った点があった。一つ目、今さらながら音楽には人を感動させるものがあること。二つ目、人を励ますときの言葉を選ぶこと。三つ目、今まで知らなかった素晴らしい歌手を知ったこと。
声変わり前の声が天使の声といわれるボーイソプラノのたった1年か2年の寿命に精魂を傾ける。ニューヨークの大聖堂での「ハレルヤ」は、正に圧巻だった。「ハイD」という高音の清らかな響きは魅了してやまない。
これを歌うのはステット(ギャレット・ウェアリング)だ。ステットは学校での問題児。家庭環境にも恵まれない。母は飲んだくれで、昼間から酒瓶を離さない。
しかし、学校長のミス・スティール(デブラ・ウィンガー)は、以前からステットの声に注目していて、指揮者カーヴェル(ダスティン・ホフマン)の率いる国立少年合唱団への入団を望んでいた。その手始めに学校へ国立少年合唱団を招聘しステットにオーディションを受けさせる手はずだったが、ステットはカーヴェルの目の前で生意気にもオーディションを拒否して帰ってしまう。
帰宅したら凶報が待っていた。母は飲酒の上交通事故を起こし死亡した。母への怒りがそうさせたのか、ステットは涙も別れの花束も手向けなかった。そこへ後見人としてファイルに名前のあったジェラルド・オーウェンズ(ジョシュ・ルーカス)が現れ、付き添っていたミス・スティールに「12年間援助してきたし、彼女とは遊びだった。ステットを引き取れないからどこか寮のある学校へ入れたい」
それでステットを伴って国立少年合唱団の育成施設いわゆる学校の門をくぐった。校長(キャシー・ベイツ)ほかカーヴェルや教師達と面会。「もう、受け入れ枠がない」という学校側の言葉にも動じないジェラルトは高額な小切手を示して例外を求めた。
突っ返して席を立ったのはカーヴェルだったが校長は最後には受け取る。学校運営にはお金がかかる。一人ぐらい何とかなるさ。校長はビジネス感覚だが、カーヴェルは音楽馬鹿。
そういういきさつがあってステットの大聖堂独唱が実現した。よく言われる悪たれ小僧の出世物語。ところがステットが稀有な才能の持ち主とわかりジェラルドは妻に過去の秘密を打ち明ける。声変わりしてしまったステットは、別の道を歩む希望を持ち学校に別れを告げることに。まあ都合のいいことに退校当日ジェラルド夫妻が迎えに来る。「ニューヨークにはいい学校があるよ。一緒に住まないか?」天使の美声の影に大人のエゴが渦巻く。
言葉は大事だ。卒業式や入学式が盛ん。4月6日の新聞千葉地方版に千葉大学入学式での学長の言葉
は「知性と教養を高め、探求の場で自身の才能を見いだし、将来の夢を描けることを祈念する」とある。
この言葉を聞いて感動するか感激するのだろうか。毎年同じことを言っているようで馬耳東風だろう。たぶん1週間たって学長の言葉を覚えている人は何人いるだろう。
もしこの映画の脚本を参考にしたら、また違ったものになっただろう。大聖堂でのコンサートを前にカーヴェルは言う「大聖堂に入ったら、中を見回してみろ。その場所を感じろ。向き合うべきは音楽だ。君たち自身だ。君らの人生の50分間を祝福したまえ」
学長といえば学識経験、人生経験も豊富なはずだ。それなのに毎年同じ言葉を繰り返していると思われるようなスピーチはないほうがましだ。日本人の一億人すべてがスピーチ下手はここにも現れている。
さて、素晴らしい歌手を知った。エンディング・クレジット・ソングとして流れるのは、ジョシュ・グローバンJosh Grobanの歌う「The Mystery of your gift」。ジョシュ・グローバンは1981年2月ロサンジェルス生まれ。2001年のデビュー。アマゾンでのレビューは、癒されるし素敵だというのが多い。YouTubeをさまよってみるといい曲が一杯あった。教会音楽やオペラに連なる。その曲をどうぞ!
この映画、評価は芳しくない。ダスティン・ホフマンで持っているようなものと大方の意見。こういうのは気にしない。一つでもいい点があれば儲けものだ。今回は三つもあった。
監督
フランソワ・ジラール1963年1月カナダ、ケベック州生まれ。
キャスト
ギャレット・ウェアリング出自不詳。
ダスティン・ホフマン1937年8月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。1979年「クレイマー、クレイマー」。1988年「レインマン」でそれぞれアカデミー主演男優賞を受賞。
キャシー・ベイツ1948年6月テネシー州メンフィス生まれ。1990年「ミザリー」でアカデミー主演女優賞を受賞。
ジョシュ・ルーカス1971年6月アーカンソー州生まれ。
デブラ・ウィンガー1955年5月オハイオ州クリーブランド生まれ。
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