2019年04月14日
サヴァンの記憶力@
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
脳の疾患と脳力
サヴァンの記憶力@
サヴァンの人は羅列された文字や数字の丸暗記が得意
サヴァンの人の持つ驚異的な記憶力は、なぜ生じるのだろうか。
仮説の一つとして、サヴァンの人は普通の人が日常生活で数秒、ないし数分で忘れるような短期の記憶(見たばかりの電話番号など)でも、長い間脳内に保存ができるような仕組みで暗記してしまい、忘れることができないのではないか、というものがある。
サヴァンの人は、私たちとは異なるシステムを使って、様々な知識を記憶しているようだ。
サヴァンの人は、電話番号や都市の名前、文字列など、文字や数字が羅列された情報を丸暗記するのが得意だ。
さらに、それらを記憶するときや思い出すときには何の感情も思考も連想も挟まず、ただ機械的に記憶し、思い出す。
例えば、次のようなエピソードがある。
本を1冊丸暗記したつもりのサヴァンの人が、最初の暗記の作業で、誤って1行飛ばして覚えてしまっていた。
その後もう一度、完璧に覚え直して、暗唱してもらうと、何度やっても、まずは1行飛ばしたものを暗唱し、その後最初に戻って覚え直した完璧な内容を暗唱するのである。
いったい、サヴァンの人はどのような記憶システムを使っているのだろうか。
この特殊な記憶の仕組みを考えていくために、まずは、私たちが普段、脳内でどのように記憶を作っているのかを見てみよう。
私たちが個人の思い出(エピソード記憶)や、一般的な知識(意味記憶)を長く記憶するとき、その情報は大脳皮質に保存される。
そして、その記憶が思い出されるときは感情や思考、他の記憶との連想を伴うことが多い。
個人の思い出記憶は、海馬を経て大脳皮質に分散して保存されている
バーベキューに行ってみた料理の風景、そこで食べた焼肉の味など、私たちが体験する日々の出来事の情報は、まず目、耳、皮膚、口といった感覚器官で受け取られ、大脳皮質へ送られる。
大脳皮質には、それぞれの感覚情報を受け取るための専用の領域がある。
ここに運ばれた情報は一度、脳の内部にある機関『海馬』に運ばれ、長期にわたって残るよう処理をされる。
その後、それぞれの情報は、大脳皮質の元の領域に戻され、そこで保存される。
なお、扁桃体では、快・不快、恐怖といった、それぞれの出来事に伴う感情が作られる。
感情は、感覚情報と同じように海馬で処理されて再び扁桃体に戻るが、この時に大脳皮質に蓄えられた感覚の記憶と結びつけられる。
記憶が思い出されるときは、分散していた感覚情報と感情がまとめて一緒に思い出されてくる。
明日は、このような私たちの記憶の仕組みとは異なった、サヴァンの人の記憶システムについて、現在考えられている仮説を紹介しよう。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
脳の疾患と脳力
サヴァンの記憶力@
サヴァンの人は羅列された文字や数字の丸暗記が得意
サヴァンの人の持つ驚異的な記憶力は、なぜ生じるのだろうか。
仮説の一つとして、サヴァンの人は普通の人が日常生活で数秒、ないし数分で忘れるような短期の記憶(見たばかりの電話番号など)でも、長い間脳内に保存ができるような仕組みで暗記してしまい、忘れることができないのではないか、というものがある。
サヴァンの人は、私たちとは異なるシステムを使って、様々な知識を記憶しているようだ。
サヴァンの人は、電話番号や都市の名前、文字列など、文字や数字が羅列された情報を丸暗記するのが得意だ。
さらに、それらを記憶するときや思い出すときには何の感情も思考も連想も挟まず、ただ機械的に記憶し、思い出す。
例えば、次のようなエピソードがある。
本を1冊丸暗記したつもりのサヴァンの人が、最初の暗記の作業で、誤って1行飛ばして覚えてしまっていた。
その後もう一度、完璧に覚え直して、暗唱してもらうと、何度やっても、まずは1行飛ばしたものを暗唱し、その後最初に戻って覚え直した完璧な内容を暗唱するのである。
いったい、サヴァンの人はどのような記憶システムを使っているのだろうか。
この特殊な記憶の仕組みを考えていくために、まずは、私たちが普段、脳内でどのように記憶を作っているのかを見てみよう。
私たちが個人の思い出(エピソード記憶)や、一般的な知識(意味記憶)を長く記憶するとき、その情報は大脳皮質に保存される。
そして、その記憶が思い出されるときは感情や思考、他の記憶との連想を伴うことが多い。
個人の思い出記憶は、海馬を経て大脳皮質に分散して保存されている
バーベキューに行ってみた料理の風景、そこで食べた焼肉の味など、私たちが体験する日々の出来事の情報は、まず目、耳、皮膚、口といった感覚器官で受け取られ、大脳皮質へ送られる。
大脳皮質には、それぞれの感覚情報を受け取るための専用の領域がある。
ここに運ばれた情報は一度、脳の内部にある機関『海馬』に運ばれ、長期にわたって残るよう処理をされる。
その後、それぞれの情報は、大脳皮質の元の領域に戻され、そこで保存される。
なお、扁桃体では、快・不快、恐怖といった、それぞれの出来事に伴う感情が作られる。
感情は、感覚情報と同じように海馬で処理されて再び扁桃体に戻るが、この時に大脳皮質に蓄えられた感覚の記憶と結びつけられる。
記憶が思い出されるときは、分散していた感覚情報と感情がまとめて一緒に思い出されてくる。
明日は、このような私たちの記憶の仕組みとは異なった、サヴァンの人の記憶システムについて、現在考えられている仮説を紹介しよう。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
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