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2019年02月27日

記憶の原理@

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

記憶力

記憶の原理@

記憶の前後では、脳の中で『何か』が変化したはず

1000億個あるという人のニューロン(脳神経細胞)


それぞれが数千から数万のシナプス(ニューロンどうしのつなぎ目)を持ち、複雑な回路を作っている。

記憶するということはどういうことだろうか?

確実に言えることは、記憶する前と記憶したあとで、脳の中で必ず『何か』が変化しているしているはず。
そしてその記憶が消えずに残るためには、その変化はそのまま維持されなければならない。
変化が起きてそれが維持されるという性質を『可塑性』という。

例えば粘土を指で押すとその部分がへこみ、指を離してもへこみが戻ることはない。
これが『可塑性』だ。
可塑性は記憶を考える上で重要な『キーワード』になるので、是非とも記憶してほしい。

さて、記憶の際に変化する(つまり可塑性を発揮する)脳の中の『何か』とは何だろうか?
脳科学者はそれを脳特有なもの、つまりニューロンの回路だと考えた。
ニューロンの回路が変化すれば、それまでと信号の処理のされ方が変わる
この状態を維持することが、あることを記憶することだと考えた。
ニューロンとシナプスの基本構造.jpeg

ニューロンの回路とそこを流れる信号を、線路と電車に例えてみよう。
いったん線路を作ってしまえば、電車は必ずその線路の上を走る。
つまり線路が維持される限り、電車は何度でも同じように走ることができる。
記憶の場合には、何度でも同じように信号を流し、記憶を思い出すことができるということだ。

これに対し暗算の数字など数秒で忘れてしまう記憶は、回路の変化を引き起こさないと考えればいい。

脳の中で信号が流れ続けている間は覚えているが、その信号がやんでしまうと信号の流れを再現できないため、もはや思い出すことができない。

記憶には、ニューロンの回路が変化して、さらにそれが維持されることが重要なのである。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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