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2019年02月21日

『信号伝達』A

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます

脳とニューロン

『信号伝達』A

シナプスで、信号はどのように伝えられるのだろうか?

軸索を伝わってきた電気信号は、次のニューロン(神経細胞)の樹状突起へと伝えられなければならない。
しかし、簡単にはいかない。
神経終末.jpg

軸索の末端と樹状突起とのつなぎ目『シナプス』に、実はすき間があるのからだ。
シナプス.jpg

ここを越えなければ、次のニューロンに信号は伝わらない。
そのためニューロンがとっている戦略は、『電気信号』を『化学信号』に変換し、化学物質を”投げ渡して”すき間を飛び越えるという方法だ。

軸索の末端に電気信号が行き着くと、カルシウムイオンチャンネルからカルシウムイオンが軸索末端の中に流れ込む。
するとこれをきっかけに、軸索末端の『シナプス小胞』からグルタミン酸などの化学物質がシナプスのすき間に放出される。
『電気信号』が『化学信号』に切り替えられるのである。

樹状突起側では、『受容体』が化学物質を待ち構えている。

受容体には開閉式の穴がある。
受容体に化学物質が結合すると、この穴が開いて、細胞外からナトリウムイオンが流れ込む。
ナトリウムイオンは電気を帯びているので、電気信号が生まれる。
つまり、化学信号をが再び電気信号にもどったわけだ。

こうしてニューロンの信号は、シナプスのすき間を無事飛び越えるのである。
これにかかる時間は、わずか1000分の1秒程度である。

それにしてもニューロンは、なぜこんな手の込んだ信号伝達の方法をとっているのだろうか?

実はニューロンは、シナプスのすき間でやり取りされる化学物質の量を変化させている。
第3章で紹介する記憶の増強は、このような仕組みで引き起こされている。

なお、記憶を増強させるための手段として、化学物質の量の調節以外の仕組みも働いている。
それについても第3章で紹介する。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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