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2019年05月28日

脈絡叢Choroid plexusと前脈絡叢動脈AChA,後脈絡叢動脈PChAの発生学

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

脳の進化の過程を考える上で、椎骨動脈と内頸動脈からの血流を受ける場所、脳脊髄液を産生する脈絡叢
に栄養を送る脈絡叢動脈に着目します。

脈絡叢Choroid plexusと前脈絡叢動脈AChA,後脈絡叢動脈PChAの発生学脳室内脈絡叢位置.jpg脈絡叢実物.jpg

Copyright(C)2006-2019澤村豊

脈絡叢は神経管の軸に沿って発達する.最初に発生するのは第4脳室内(橋と小脳の間)の脈絡叢であり,引き続いて側脳室内の脈絡叢の形成が続き,最後に間脳の脈絡叢が出現する(6,7).間脳の脈絡叢は最終的に間脳から側脳室内にも伸びていく。

前脈絡叢動脈Anterior choroidal artery (AChA)が栄養するのが側脳室内の脈絡叢であり,後脈絡叢動脈posterior choroidal artery (PChA)が栄養するのが間脳および側脳室脈絡叢である.
第4脳室脈絡叢は前下小脳動脈AICAや後下小脳動脈PICAの脈絡叢枝から栄養される(7).

椎骨動脈VAから成る脳底動脈BAの枝である後脈絡叢動脈PChAと内頸動脈前脈絡叢動脈AChAの分水嶺が間脳、側脳室になる。

前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery:以下AchoA)は内頸動脈の最終分枝として後交通動脈分岐よりも末梢側から起始する.
背側に走行し視索の下面で交差した後に,
側頭葉鈎部内側面から迂回槽を通り,
視床枕後方で側脳室下角に入り脈絡叢に達する.
その支配領域は,大脳脚中1/3,扁桃体,鈎,海馬前部,視床下部から視床外側の一部,外側膝状体,内包後脚,淡蒼球内節(大脳辺縁系、大脳基底核及び大脳皮質運動野から伸びる神経線維の通り道)である.

これらのうち,内包後脚はAchoA固有の灌流域であるが,
その他の部分は後交通動脈,後大脳動脈,内頸動脈や中大脳動脈からの分枝との間に吻合が存在する.

【参考文献】
Niche Neuro-Angiology Conference 2017
Choroidal artery
久留米大学医学部 放射線医学講座  田上秀一

文 献
6. Lehtinen MK, Walsh CA. Neurogenesis at the brain-cerebrospinal fluid interface. Annu Rev Cell Dev Biol. 2011; 27:653–679.
7. Damkier HH, Brown PD, Praetorius J. Cerebrospinal fluid secretion by the choroid plexus. Physiol Rev. 2013; 93:1847–1892.
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総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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