小間monoや。

連日暑い日が続きます。

昨日は　戦時下の日本に大きな爪痕を残した原爆に関連する式典が実際の投下地含む各所で行われておりました。



さて
日頃　原子炉とか核軍縮とか政治とイデオロギーの行く末にちょっと関心か薄くならざるを得ない
環境下
(だって日々目の前の家事や出来事が既にして戦争ですからと言い訳してみる)


核ってなに?
ウランてなに?
という厳しい質問を夏休みの子供に浴びせられました。

男の子なので、　原爆投下時の悲惨な状況というよりも
本質そのものに関心が向くのです。
ではコレを利用しない手はない(自分にとっても) と
頭つき合わせて　朝から色々調べてみました。
元素記号表まで引っ張り出して。


以下長文です。
原子力発電とかウラニウムとか核廃棄物とか放射能とか　出てきます。
御用や御急ぎで無い方はどうぞ　
今更ながらではありますが
覘いてやってくださいませ。


ウラニウム　興味ない　という方は
どうぞ
こんな写真で和んでいってくださいまし。

お昼寝ペンギン。

「ウランってなに?」　「原子力って?」 　の続きです。



原子炉の中で大きなエネルギーを作り出す核分裂の元となるものがウラン


このウランは自然界に同位体（原子核の中の中性子の数が違うだけで化学的な性質はまったく同じもの）
元素としてウラン235とウラン238というものが存在しています。

(以下　にわか勉強なもので、判り易く伝われば良いのですけど)




２つの元素の割合は地球上のみならず太陽系のどの場所からとってきても　1：137.8　という割合で
存在しています。
そして
自然界にはわずか0.7％しかないウラン235の方が　核分裂の連鎖反応を起こします。
しかしコレでは大きなエネルギーを作るためにはあまりに割合が足りませんので、割合を高めて(濃縮)から使います。
これがいわゆる　「濃縮ウラン」です。


発電機のタービンを廻す程度なら　3〜５パーセント程度に高めれば良いようです。

但し　軍事目的(核爆弾等)　のために使うのであれば　100パーセントに高めて濃縮する必要があります。
日本にも濃縮工場はありますが、国内ではまかなえないため、「濃縮ウラン」のほとんどをアメリカから輸入しています。

(原料となるウラン鉱石自体は他の国から買い付け、それをアメリカに送って濃縮してもらうのです)



ウランを濃縮するということは、残りの天然ウラン中のウラン235の濃度が低くなっているということで、これら濃度の低いウランを「劣化ウラン」と呼びます。


核分裂とは

うんと大雑把にいうと　
ウラン（ウラン235）の原子核に中性子をぶつけると、原子核がポコッと割れて大きさのほぼ等しい原子核（バリウムやクリプトンなど）に分裂する。その際、その原子核から中性子が2〜3個飛び出す。その中性子が次の原子核にぶつかりその原子核が分裂し、そこでまた中性子が飛び出し、……　


「ねずみ算」　式に増えていきます。これが「核分裂の連鎖反応」　と呼ばれるものです。
これらを制御しつつ、出来るだけ長く緩やかに反応させて　タービンを廻すだけのエネルギーに替えていくのが
原子力発電のしくみです。　　(大雑把過ぎてすみません)


ちなみにこの反応を瞬時に起こさせるものが　「原子力爆弾」であり
両者の間に本質的な違いはありません。


原子力発電のメリット、といえば挙げられるものとしては

•発電時に地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しない
•酸性雨や光化学スモッグなどといった大気汚染の原因となる酸化物を排出しない
•安定して大量の電力を供給できる
•発電量当たりの単価が安いので、経済性が高い

地球温暖化、など　今の時期のように異常に暑い日々がつづくとかなりの危機感を煽られます。
また
オール電化など、電化製品の利用機会が増加したことから、大量の電力を供給できるという点はとても魅力的なメリットなのですが……


さてウラン235同様、この核分裂の反応を起こすことができる物質に　プルトニウム239　があります。
このプルトニウム239、自然界には存在しない物質です。では、どうやって出来るのか。

実は核分裂の連鎖反応を起こさない自然界に多く存在するウラン238の原子核に中性子をぶつけることで、中性子が原子核に吸収され、プルトニウム239になるのです。

プルトニウム239は原子炉（中性子が飛び交っているし、燃料の大部分はウラン238）さえあれば簡単につくることができる、というより、いやでもできてしまうのです。

このプルトニウム

「地獄の神・プルトー」がその語源になっているとおり、とんでもなく恐ろしい物質です。


半減期24,000年という大変強い放射能を持ち、なおかつダイオキシンと並び人類が作り出した最悪の化学物質とも呼べる高い毒性を持っています。

しかも　ウラン235同様、核の連鎖反応を起こせる物質であり、国家レベルであれば原爆の材料として利用できるのです(原子炉さえあれば)。

その他原子炉で容易に出来てしまうものには
コバルト、ヨウ素、セシウムなどがあります。




「核の平和利用」　「いや、軍事目的だ」　と原子炉システムの保有について国によってはあれこれ云われてしまうのは
このような理由からですね。


原子炉を使用していると放射能を持った物質が出来てしまうことはとめられません。
特に「使用済み燃料棒」はプルトニウム239が多く含まれています。このプルトニウムと残ったウラン235を回収するため、残りの放射性物質と分離する作業を　いわゆる「再処理」と呼びます。

使用済み核燃料再処理について:

一般的には原子炉で使用された後、冷却するために原子力発電所内にある貯蔵プールで3年〜5年ほど保管される。その後、核燃料サイクルに用いるために再処理工場に輸送されて処理が行われるか、高レベル放射性廃棄物処理場での長期保管が行われる。処理に関しては再処理工場の記事に詳しい説明がある。

日本においては青森県六ヶ所村に六ヶ所村核燃料再処理施設の建設が行われている。

なんとなく　ニュースなどで聞き覚えのある単語が飛び交っていますね。


但し、再処理といっても放射能をなくすことは原理的にできません。
そこで、実際には、プルトニウム、高放射能物質（高レベル廃棄物）、低放射能物質（低レベル廃棄物）に分けて保管することになります。


低レベルなものはそのまま国内の地下深くに保管しようという計画がありますがいまだ未定。
高レベルのものについては現状、日本のプルトニウム約４５トンの４分の３は過去に再処理を依頼した英仏で保管。

再処理は割高で核拡散リスクもあるため撤退する国が多い中で、日本の路線をどうするかが現在議論されてるとのことです。

使用済み核燃料返還の覚書（2012年09月13日　朝刊）

使用済み核燃料の再処理事業を担う日本原燃、青森県、六ケ所村が１９９８年に締結した。再処理事業を確実に実施するのが困難になった場合、「日本原燃は使用済み核燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずる」としている。(※朝日新聞デジタルより)

うすぼんやりですが、核燃料、原子炉、核分裂その他についてまとめてみました。







子供に尋ねられたシーン、を前提に　書いてみましたが、なんとなく判っていただけましたでしょうか?
石炭や石油に比べて　なんてクリーンなエネルギー、といわれればそんな気もするし
一方で　制御できなかったときにほぼ未来　払い続けなくてはならない代償
(今、現在日本が直面していることですね)　のことを考えると
足元がざわざわしてくる大きな課題でもあります。

子供に対して説明するときに、なんであれ、しっかりと自分の言葉で説明してあけられればいいな、と
そんな思いで調べたり書いたりしていますが


子供の方がはるかに理解度が高かったという事実。
諸々の単語は　これから先の子供たちが理解し、持っていく課題ですけれど



過去を含め、実際何が起きたのか、事実を伝えていくリレーについては
ワタシたちがまだ　バトンを握っているのだなぁ、と


ちょっと真面目に締めてみました。
男の子には特に、　元素記号から攻めてみるのも　一考ですよ。
ではまた。