2015年02月06日
伊羅保 茶碗 小川欣二
小川欣二 伊羅保茶碗 高麗茶碗写し
1) 小川欣二(おがわ きんじ) : 1926年(昭和元年)〜
@ 経歴
@) 京都市東山区五条坂で、名門の陶家である小川文斉の次男として生まれます。
当時の慣わしで、父の後継者は長男が継ぐのが、普通でした。
その為、欣二氏は医者に成る事が希望で有ったようです。
A) 1944年 兄「斉」と共に、甲種飛行予科練習生として入隊します。
B) 終戦と共に、欣二氏は復員しますが、兄は特攻隊として戦死してしまいます。
その為、次男である欣二氏は医者に成る望みを捨て、家業を継ぐべく、陶芸に専念する事に
なります。
C) 1946年 京都市工業技術員養成第一期生として、工業研究所窯業科に入学します。
卒業後、同研究所に勤務し、陶磁器全般の研究を行います。
D) 1948年 六代清水六兵衛に師事します。翌年京都陶芸家クラブの創設会員になります。
E) 1950年 「日展」初入選し、1952年には上記研究所を辞め、作家活動に専念する様になります。
F) 1954年 全国陶芸展で銀杯を受賞後、現代日本陶芸展で銀杯、一席と連続受賞します。
その後も、光風会展工芸賞、日展特選など次々に重賞を受賞します。
G) 多くの美重展の審査員にも成っています。
京都府工芸美術展審査員、光風会審査員、日本現代工芸美術展審査員、日展審査員などです。
H) 仏、西独など海外の美術展への出品や、中国、朝鮮美術視察なども行っています。
A 小川欣二の陶芸
@) 成形方法は、轆轤挽きによるものと、タタラ(板)造りの作品が混在しています。
タタラ造りの作品は、四角錐や台形、三角柱などの箱形が多く、花瓶やオブジェ的な要素の
多い作品と成っています。
A) 絵付けを主体とした作品が多く、呉須を使って「蜻蛉」等を描き、伊羅保や織部釉を
掛けています。呉須は本来のコバルト色ではなく、黒に近い色と成っています。
(尚、呉須は酸化焼成すると黒く発色します。)
織部釉や伊羅保釉を明るく仕上げる為と、絵の文様のコントラストを付ける為、作品には、
白化粧土が施されています。作品例:「のぼる」(1979年)、「想い出海に遊ぶ」(1981年)
B) 彼の使用して釉の種類は極く少数です。灰釉、鉄釉、伊羅保釉、織部釉程度です。
土本来の色や、土味を生かす為と言われています。
C) 掻落しの技法を取り入れて、文様を付けています。
生素地に白化粧土を施し、竹の箸で一個一個小さな窪みを付けて斑点を造ります。
その後、カンナを使って表面を削り取り、表面に細かい凹凸を付けて文様にします。
この様な作品に、「壁蜻(へきせい)」(1979)、「仲間たち」(1981)等があります。
D) 蜻蛉の絵が多く、次いで魚の絵も多いです。蜻蛉は欣二自らを表現し、魚は沖縄で戦死した
兄が今でも、海で泳ぎ遊んでいる様子を表現したものと言われています。
蜻蛉は、群れを成して上に上にと高みに登っている様に描かれています。
又、「とんぼ塚」(1980年)の作品は、箱型の器の上に、一匹づつ立体的に作られた「とんぼ」が
重なり合って群がって飛んでいる様子を表現しています。
尚、窯はガス窯を使用しているとの事です。
伊羅保 茶碗
伊羅保茶碗(いらぼちゃわん) とは、高麗茶碗の一種で、多くは江戸時代初期に日本からの注文で作られたと考えられています。
伊羅保の名前は、砂まじりの肌の手触りがいらいら(ざらざら)しているところに由来するとされています。
作行は、やや薄めで、形は深め、胴はあまり張らず、腰から口まで真直ぐに延び、口が大きく開いていいます。
素地は、鉄分が多い褐色の砂まじりの土で、轆轤目が筋立ち、石灰の多い伊羅保釉(土灰釉)を高台まで薄く総掛けしてあり、土見ずになっています。
伊羅保茶碗には、「古伊羅保(こいらぼ)」、「黄伊羅保(きいらぼ)」、「釘彫伊羅保(くぎぼりいらぼ)」、「片身替(かたみがわり)」などがあります。
「古伊羅保」は、大振りで、口縁には形成のとき土が不足して別の土を付け足した「べべら」があり、口縁の切り回しがあり、高台は竹の節、時には小石も混じって「石はぜ」が出たものもあります。見込みに白刷毛目(内刷毛)が一回りあり「伊羅保の内ばけ」といって約束になっています。
「黄伊羅保」は、黄釉の掛かったものをいい、やや端反で口縁は切り回し樋口(といくち)になっていて、べべら、見込みの砂目、竹の節高台が約束事になっています。
「釘彫伊羅保」は、高台内に釘で彫ったような巴状の彫があり、口縁は切り廻しないが山道になりべべらがあり、高台は竹の節でなく兜巾もありません。
「片身替」は、失透の井戸釉と伊羅保釉が掛け分けになったもので、高台は竹の節、兜巾は丸く大きく、たいてい「べべら」や「石はぜ」があり、見込みは刷毛目が半回りして(井刷毛)必ず刷毛先を見るのが約束になっています。
1) 小川欣二(おがわ きんじ) : 1926年(昭和元年)〜
@ 経歴
@) 京都市東山区五条坂で、名門の陶家である小川文斉の次男として生まれます。
当時の慣わしで、父の後継者は長男が継ぐのが、普通でした。
その為、欣二氏は医者に成る事が希望で有ったようです。
A) 1944年 兄「斉」と共に、甲種飛行予科練習生として入隊します。
B) 終戦と共に、欣二氏は復員しますが、兄は特攻隊として戦死してしまいます。
その為、次男である欣二氏は医者に成る望みを捨て、家業を継ぐべく、陶芸に専念する事に
なります。
C) 1946年 京都市工業技術員養成第一期生として、工業研究所窯業科に入学します。
卒業後、同研究所に勤務し、陶磁器全般の研究を行います。
D) 1948年 六代清水六兵衛に師事します。翌年京都陶芸家クラブの創設会員になります。
E) 1950年 「日展」初入選し、1952年には上記研究所を辞め、作家活動に専念する様になります。
F) 1954年 全国陶芸展で銀杯を受賞後、現代日本陶芸展で銀杯、一席と連続受賞します。
その後も、光風会展工芸賞、日展特選など次々に重賞を受賞します。
G) 多くの美重展の審査員にも成っています。
京都府工芸美術展審査員、光風会審査員、日本現代工芸美術展審査員、日展審査員などです。
H) 仏、西独など海外の美術展への出品や、中国、朝鮮美術視察なども行っています。
A 小川欣二の陶芸
@) 成形方法は、轆轤挽きによるものと、タタラ(板)造りの作品が混在しています。
タタラ造りの作品は、四角錐や台形、三角柱などの箱形が多く、花瓶やオブジェ的な要素の
多い作品と成っています。
A) 絵付けを主体とした作品が多く、呉須を使って「蜻蛉」等を描き、伊羅保や織部釉を
掛けています。呉須は本来のコバルト色ではなく、黒に近い色と成っています。
(尚、呉須は酸化焼成すると黒く発色します。)
織部釉や伊羅保釉を明るく仕上げる為と、絵の文様のコントラストを付ける為、作品には、
白化粧土が施されています。作品例:「のぼる」(1979年)、「想い出海に遊ぶ」(1981年)
B) 彼の使用して釉の種類は極く少数です。灰釉、鉄釉、伊羅保釉、織部釉程度です。
土本来の色や、土味を生かす為と言われています。
C) 掻落しの技法を取り入れて、文様を付けています。
生素地に白化粧土を施し、竹の箸で一個一個小さな窪みを付けて斑点を造ります。
その後、カンナを使って表面を削り取り、表面に細かい凹凸を付けて文様にします。
この様な作品に、「壁蜻(へきせい)」(1979)、「仲間たち」(1981)等があります。
D) 蜻蛉の絵が多く、次いで魚の絵も多いです。蜻蛉は欣二自らを表現し、魚は沖縄で戦死した
兄が今でも、海で泳ぎ遊んでいる様子を表現したものと言われています。
蜻蛉は、群れを成して上に上にと高みに登っている様に描かれています。
又、「とんぼ塚」(1980年)の作品は、箱型の器の上に、一匹づつ立体的に作られた「とんぼ」が
重なり合って群がって飛んでいる様子を表現しています。
尚、窯はガス窯を使用しているとの事です。
伊羅保 茶碗
伊羅保茶碗(いらぼちゃわん) とは、高麗茶碗の一種で、多くは江戸時代初期に日本からの注文で作られたと考えられています。
伊羅保の名前は、砂まじりの肌の手触りがいらいら(ざらざら)しているところに由来するとされています。
作行は、やや薄めで、形は深め、胴はあまり張らず、腰から口まで真直ぐに延び、口が大きく開いていいます。
素地は、鉄分が多い褐色の砂まじりの土で、轆轤目が筋立ち、石灰の多い伊羅保釉(土灰釉)を高台まで薄く総掛けしてあり、土見ずになっています。
伊羅保茶碗には、「古伊羅保(こいらぼ)」、「黄伊羅保(きいらぼ)」、「釘彫伊羅保(くぎぼりいらぼ)」、「片身替(かたみがわり)」などがあります。
「古伊羅保」は、大振りで、口縁には形成のとき土が不足して別の土を付け足した「べべら」があり、口縁の切り回しがあり、高台は竹の節、時には小石も混じって「石はぜ」が出たものもあります。見込みに白刷毛目(内刷毛)が一回りあり「伊羅保の内ばけ」といって約束になっています。
「黄伊羅保」は、黄釉の掛かったものをいい、やや端反で口縁は切り回し樋口(といくち)になっていて、べべら、見込みの砂目、竹の節高台が約束事になっています。
「釘彫伊羅保」は、高台内に釘で彫ったような巴状の彫があり、口縁は切り廻しないが山道になりべべらがあり、高台は竹の節でなく兜巾もありません。
「片身替」は、失透の井戸釉と伊羅保釉が掛け分けになったもので、高台は竹の節、兜巾は丸く大きく、たいてい「べべら」や「石はぜ」があり、見込みは刷毛目が半回りして(井刷毛)必ず刷毛先を見るのが約束になっています。
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