音声
*2017年5月21日宮崎市での講演「慈しみの心を育てて幸福に生きる」より。
アルボムッレ・スマナサーラ長老
プロフィール
スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。
1945年スリランカに生まれる。13歳で出家となる。
スリランカの国立大学で仏教哲学の教鞭をとられたのち、
1980年に派遣されて来日。
現在は、日本テーラワーダ仏教協会などで初期仏教の伝道、
ヴィパッサナー実践の指導に従事されており、
修行練磨の誠実温厚な人柄、的確流暢な日本語による説法で定評があります。
朝日カルチャーセンター講師の他、NHK教育テレビ『心の時代』への
出演も反響を呼びました。
スマナサーラ長老は、お釈迦さまの根本の教えを通じて、
仏教とは今この場で役に立ち、自ら実践し理解する
智慧の教えであることを説かれています。
日本テーラワーダ仏教協会
テーラワーダ仏教とは
仏像仏教は、今からおよそ2560年前、
お釈迦様(釈迦牟尼仏陀)によってひらかれ、
時代の流れとともにさまざまな流派に分かれて、
全世界へ広がってゆきました。
中国・チベット・朝鮮半島や日本には、
お釈迦様の死後数百年経って成立した北伝の仏教、
いわゆる大乗仏教が伝えられました。
一方、スリランカ・タイ・ミャンマーなどの
出家教団によって継承された南伝の仏教を
テーラワーダ仏教といいます。
テーラワーダ仏教は、他に初期仏教・上座仏教・
上座部仏教・根本仏教・原始仏教などとも呼ばれています。
「テーラワーダ」とは、パーリ語(古代インドの言語)で
「長老の(thera)教え(vāda)」を意味します。
お釈迦様の時代から完全に近い形で残されたパーリ語経典に基づいて、
多くの比丘(出家僧)と在家信者たちの努力により、
約2560年間の長きにわたって実践され、受け継がれてきた
お釈迦様の根本の教えがテーラワーダ仏教なのです。
日本など大乗仏教の諸国では、お釈迦様の初期経典に説かれた
ヴィパッサナーなどの実践方法が伝わってきませんでした。
そのために思弁哲学の学問仏教、あるいは現世利益信仰や
儀式儀礼の呪術的宗教になってしまった面もあります。
テーラワーダ仏教は、いわゆる「小乗」とも「大乗」とも無縁です。
お釈迦様の説かれた教えとその実践方法の一つ一つを、
当時のまま、今日まで伝えてきた純粋な体系なのです。
お釈迦様が説かれた本来の仏教は、儀式儀礼ではなく、
いつの時代でも、生きている私たち人間の心に直接働きかける、
実践的で役に立つ教えです。
ヴィパッサナーや慈悲の瞑想といった、
お釈迦様の教えられた実践法は、
宗派の違いや宗教の枠を超えて、
誰にでも実践できる幸福の道であるといえるでしょう。
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