2015年10月25日
【マンション傾斜問題】姉歯事件のあった2005〜2007年頃に販売されたマンションは気を付けた方が良いかもしれない
三井不動産グループが横浜市内で販売したマンションが傾いた問題が大きなニュースになっています。
2005年に起きた姉歯事件に匹敵するような事態になってしまうのでしょうか。
(2021年2月に全棟の建て替え工事が竣工済)
2007年12月に完成した問題のマンションは4棟で構成し、計705戸ある。このうち傾いたのは1棟。建物の両端を比べると最大2.4センチメートルの差がある。昨年11月、住民らが廊下の手すりの高さに差があることに気付いた。
問題は杭の工事にあったとされる。マンションを販売した三井不動産レジデンシャルなどによると、一部の杭は地下十数メートルの「支持層」と呼ばれる固い地盤に届いていなかった。なぜこうした事態が起きたのか。
杭の工事はまず、敷地の複数箇所を掘削調査して地盤を調べる。今回は、全体の工事をとりまとめる「元請け」の三井住友建設が専門業者に頼んだ。この結果を基に、三井住友建設が打ち込む場所や数、長さや太さを決めて473本の杭を手配した。そして、下請けの旭化成建材(東京・千代田)が杭打ち工事をした。
出典:日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17H1L_X11C15A0TJC000/
問題となっているマンションは2007年12月に完成していますが、時を同じくして2007年6月に姉歯建築設計事務所の耐震偽装事件をうけた「改正建築基準法」が施工されいます。
タイミング的に「改正建築基準法」をクリアしているように見えますが、大型のマンションの場合は工期が年単位でかかるので、実際は「改正建築基準法」の施工前に駆け込みで建てられた物件となります。
2007年6月施行 改正建築基準法に伴う建設ラッシュ
上の画像は、TBSのサンデージャポンで紹介されたフリップですが、2006年前後は「改正建築基準法」の施工を前に建設ラッシュが起きています。
問題を起こした建設会社社員の「その時期は忙しくかなり残業をしていた」「工期を遅らせられなかった」という発言と一致しています。
この建設ラッシュに伴い、業界全体として手抜き工事をしてでも完成させなけばいけないという空気が現場に蔓延していた可能性もあり、今後の調査次第ではさらに被害が拡大する可能性があります。
2007年以降に建てられたマンションなら大丈夫か
「改正建築基準法」の施工に伴う建設ラッシュは2006年をピークに減少しています。特に目を引くのは2009年の大幅な落ち込みですが、これは2008年に端を発したリーマンショックに伴う販売不振と、2009年10月から始まった新築住宅に対する「建築確認」の義務化に伴う混乱による影響です。
では、建設ラッシュが終わったこの時期に建てられたマンションは安全かというと、マンションデベロッパーがバタバタ倒産したほどの不況だったこともあるので、「利益を上げるため何かしていたのでは?」と穿った見方もしてしまいます。姉歯事件を受けた建築確認は、あくまで着工前の時点で法令や各種基準が守られているかを検査するものであり、施工時に手抜きをした場合には、それを見抜くことができません。
今後の再発防止策として、工事現場での施工管理や竣工検査の強化などが図られると思われますが、業界特有の体質を改善しないことには今後も同様の問題が発生する可能性が高いと思われます。
問題の可能性があるマンションの数
問題を起こした旭化成建材は現在までに全国3040件の建設に係わっており、そのうちデータ改ざんを行った問題社員は1都9県の41件に係わっていたとされています。具体的なマンション名は公開されていません。
41件の内訳は、愛知県が23件、岐阜県が6件、三重県が5件、東京が2件となっており、東海地方に集中していることが分かります。
今のところ、マンション名の公表されておらず、国土交通省や旭化成建材からの発表を待たねばなりません。
マンション傾斜の原因は個人の問題か
旭化成建材の幹部は「工事の経験は10年以上のベテラン」だが、「ルーズで事務処理が苦手そうだった」と個人の責任とも取れる発言をしていますが、その社員のキャラクターを知っていながら管理や指導を怠っていたのであれば、明らかに経営者(会社)側に責任があります
また、旭化成建材は2次下請けであり、1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、元請の三井住友建設、販売元の三井不動産レジデンシャルの各社にも、発注者側として管理責任が問われるべきであり、決して個人の問題として片づけてはいけない事案であると言えます。
建てられたマンションの地盤も大事
2021/10/7に千葉県北西部を震源とするマグニチュード5.9の地震がありました。震度4以上は東京、千葉、埼玉、神奈川、茨城、静岡と首都圏を中心に大きな揺れが、各地で被害がでたようです。
テレビ朝日のぐっとモーニングで放送されていた映像によると、東京都・足立区、埼玉県・川口市、宮代町で震度5強となっています。これは震源からの距離かもありますが、地盤が弱いことが考えられるので自治体などの情報を集めてマンションが建てられている場所の地盤がどうなっているか調べてから購入することが大切です。
まとめ
我がマンションに何本かの杭無し
"@ifitself: これはひどい pic.twitter.com/9GFb2RX9e3"
声だして笑った、、
— アギゾウ@MHP2G (@agi0824) 2015, 10月 24
Twitterではこんな投稿が話題になっていますが、当事者となったら気が気じゃないですからね。
あまり心配しすぎたら何も買えなくなってしまいますが、一生に一度の買い物なだけに自分だけで悩むのではなく、専門家のアドバイスを受けることが大事になると思います。
<2015/11/14追記>
また、実験スピリッツさんの「マンション傾斜問題から学ぶ建築業の限界。」という記事が参考になったので引用させていただきます。
マンション購入の際は、施工業者(ここでは三井住友建設)や下請け業者、施工体制を見るだけでなく、同一グループが設計・施工・販売・管理までを一貫して行われているか確認して下さい。今回のように万が一欠陥が発覚した場合、三井住友グループが全面的な責任を取ってくれます。購入者にとっては建て直しまで責任を取ってもらえるため、最高の保証が用意されています。そういった意味で、横浜傾斜マンションを購入された方々の判断は間違っていませんでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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